ズルを助長するわな2

 ばれないと分かっているときには、多くの正直な人達も少しばかりズルをします。その際、ズルをして手に入るのが現金の場合には抑制が利きやすいのに対し、現金ではなく、現金との引換券が手に入る場合は、抑制の利きが悪くなることを先に紹介しました。

 現金を使わないことによって、消費の際に抑制が利きにくくなることは、社会のデータが示しています。

 アリエリーが紹介しているのは、10年以上前のアメリカの例です。クレジットカードによる利益は、「1996年の90億ドルから、2004年には過去最高の270万ドルにまで増加した。」とのことです。

 単にクレジットカードが普及しただけではないかとツッコミを入れられそうな証拠しかありませんが、もっとデータを掘り起こしていけば、現金からクレジットカードに代わって、ヒトの消費行動に変化、つまり、財布のひもが緩くなったことを裏付ける証拠が出てくるのでしょう。

 やはり、現金は特別な心理的効果を持つようです。

 日本では、資産を貯蓄に回す人が多く、消費が控えめだと言われています。クレジットカードなど、Eコマースが徐々に浸透してきていますが、海外と比較すると現金比率がかなり高く、クレジットがあまり活用されていない実態があります。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?