ズルを減らす十戒1
「世界一長い川の名は?」
「白鯨の著者名は?」
「ギリシャ神話において愛の女神とされるのはだれか?」
このような問題を50問、ハーバード・ビジネススクールの学部生及びMBAを対象としてやってもらいました。
時間は15分。その後、答えをマークシートに書き写し、教壇にいる試験監督にマークシートを提出します。試験監督は、正当の数一つにつき10セントを支払います。
最初はこれだけの実験です。次のグループには、条件を一つ変えて、同じ実験をやってもらいます。変更する条件とは、最初のグループのマークシートには必要な枠などのほかには何も書いてありませんでしたが、このグループのマークシートには正答がマークしてあることです。
回答を写し終えた学生等は、正答数を数えてマークシートの上にその数を書き、作業シートとマークシートの両方を試験監督に提出します。試験監督は、正答数として書かれた数字を見て、正答1問につき10セントを学生等に渡します。
もう一つのグループは、2番目のグループとほぼ同じですが、作業シートを破棄してマークシートだけを提出します。
最後のグループは、3番目のグループとほぼ同様ですが、作業シートに加えてマークシートも破棄し、正答数の申告も不要で、正答数の分だけ10セントコインを取り出し、そのまま部屋から出て行きます。
学生等はズルをしたでしょうか。したとすれば、どんなズルをしたでしょうか。
上から順に、第1、第2、第3、第4のグループとして、以下に結果を記載します。
第1・・・32.6(50問の質問についての正答率:ごまかせないときの正答数です)
第2・・・36.2 自己チェックのみ
第3・・・35.9 自己チェック+破棄
第4・・・36.1 自己チェック+破棄+お金の瓶
第2から4は、ほぼ同じと見てよいでしょう。学生等は、チャンスがあれば、50問中の3~4問についてズルをするけれども、バレる危険がなくなっても同じ程度のズルしかしないということです。ハーバード以外に、MIT、UCLA、プリンストン大、イェール大でやっても、ほぼ同じ結果だったそうです。普通に正直な人は少しだけズルをするけど大きなズルはしないのです。
40キロ制限の道路を、多くの人が50キロ程度で車を走らせている状況にはしばしば遭遇しますから、絶対にズルをしないというのは、むしろ柔軟性が不足しているということかもしれません。
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