遠慮のかたまり

 先に掲載した「無料の魔力」と同様の実験です。


 MITの学生センターに仮設のお菓子売り場を設けて実験を行いました。


① キャラメル(フルーツ味)1個1セント
② キャラメル(フルーツ味)無料


 ①は十分に格安ですが、②はもっと安い無料です。個数制限なしとした場合に、学生はどのように対応するかというのがこの実験です。これまでに紹介した「無料」実験からの推測では、圧倒的に無料に流れるのではないかと考えてしまいますが、結果は、以下の通りでした。


① キャラメル(フルーツ味)1個1セント・・・ 58人毎時・・・1人当たり3.5個
② キャラメル(フルーツ味)無料・・・・・・・207人毎時・・・1人当たり1.1個


 確かに、無料に飛びつく学生は3倍以上でしたが、無料であると、たくさん持っていくことへの自制が働くようです。ほかの人の利益にために、自分の欲求を犠牲にするのです。逆に言えば、格安であっても、お金を払うことによって利己的になるということです。


 上記の例とは若干違いますが,日本では、「遠慮のかたまり」という言葉があります。言い方に地域差はあるようですが、日本各地でおなじようなことがあることが示されています。アリエリーの本の中でもこの例が取り上げられています。アメリカでも最後に残った一つは、多くの人が食べづらいと感じるようです。

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