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一筋縄ではいかない人々(改心)

人は誰しも多かれ少なかれ何らかの悩みや心の問題を抱えて生きている。施設に収容されている人も同じであるが、抱えている問題がやや複雑であったり大きかったりするケースが多いのではないかと思う。

気持ちを抑えきれなくなって大声を発したり部屋の物を破壊するなどの派手な動きに出るような人がいるかと思えば、書類やトイレットペーパーを食べて腹痛を訴える人、髪の毛を少しずつ抜くなどの自傷を繰り返す人、職員の目を盗んで食べ物を隠し持つ人、そして自分の便をゴミ箱に入れて過ごすといった想像を超えることをする人もいる。職員は、こうした人々に対して型通りの助言指導はするが、それが奏功することはまれである。

型通りの助言指導の次は個別にじっくりと話を聞いて解決の緒(いとぐち)を探ることである。話の内容は、いつどのようなときに何をしたかといった事実関係の確認から始まって、そのようなことをした理由あるいは原因は何だと思うか、同じことを繰り返さないためにどうしたら良いと考えているかといったところの確認を行う。また、その日の朝起きてから問題となる行為までの間の生活について、起床時、朝食時、日課中など、何時頃に何をしたか、誰と会い、どんな話をしたか、といったことを聞く中で問題となる行為とつながる出来事が見つかる場合がある。次に聞くべきは、過去に同じようなことはなかったか、あったとすればいつ頃どのようなことがあったか、そのときはどのような状況にあったか、何が原因だったと考えられるか、といったことであり、それらを確認してみる。施設内で問題となる行為が繰り返されている場合は資料が残されている場合があるので、それを参考にすることが可能である。じっくりとこうした話をしても問題行動の原因ははっきりしないことが多いが、話を聞く中で、原因となる可能性のあることが多少は見えてくる。それを踏まえて、その後の対応を行うことになる。

問題となる行動の原因がぼんやりと見えてきても、ヒトの行動というものは簡単に変わるものではない。しかし、突然に変わることもある。

施設の職員が対応しようとしても、施設内での問題行動であるがゆえに心を開けない人もいると考えられるので、外部の専門家を招聘して話を聞いてもらうという方法を取る場合がある。実際、ある外部専門家との面接後に行動が一変する事例があった。その専門家の力量や人柄などによるところもあるかもしれないが、処遇困難者と言われてきた人自身が、徐々に考えを改め、行動も改めても良いと考えるようになっていたことが考えられる。急変の真の理由は不明であるが、変化する準備ができている人は、きっかけがあれば驚くほど急に変わるものである。大切なのは、相手に変化が見えなくても、地道に変化を促す働きかけを継続することであろう。

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