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【シン・エヴァ感想】元オタク、元エヴァ信者中学生のシンエヴァ感想。ーーこれからも一人で


アニメ映画を映画館で観るなんて久しぶりだ。
もしかしたら『涼宮ハルヒの消失』以来かもしれない。

というのも、僕は『ハルヒ』や『らき☆すた』辺り(高校生だった頃)を境にアニメを観なくなっていたからだ。
アニメから離れたことに、別に深い理由はない。
単に、アニメ自体が若年層(今の僕より若い層)をメインターゲットにした産業なんだろう(と感じる)し、元々僕が、にわかオタク(これも多分死語だろうな)でしかなかった言うだけの話だろう。


そんな僕でも、エヴァだけはやっぱり特別で、広告を見て、「ああ、ついに完結するんだな」と感慨に耽っていた。

僕は(リアルタイムでは無いものの)中学生の時にエヴァTVシリーズを観て、いっちょ前に感銘を受け、クラスで友達に勧めてまわったり、親にエヴァと聖書の蘊蓄を垂れたり、設定集や考察本を買い漁ったりと、まあ、ごく一般的なハマり方をしていた。

当時は本当に、シンジの悩みが自分と同一のように思えたし、生き方そのものに関わる作品だ!と真剣に思っていた。

もちろんそんな感傷を抱いたまま生き続けることは出来なくて、
進学・就職・結婚なんかをしていくうちに、なんだかんだで他者との適切な距離感も分かってくるし、社会にも迎合して、
「ま、生きるなんてこんなもんだろう」
と、何か分かった風な顔をして毎日出社している。

それでも、人との付き合いでうんざりするような事があると、シンジやアスカのことを思い出して、「彼らみたいに振る舞ったらどうなるだろう?」などと思ったりしていた。


だから、「あのエヴァが完結する」ことはやっぱり無視できなくて、
平日にわざわざ半休を取り、ネタバレ防止のためSNSをシャットアウトし、代わりに旧作のBGMをリピート再生したりしながら、ついにシンエヴァを観たのだった。

そういう訳で、以下はそういう元々エヴァ信者中学生の、あくまで主観的な、個人的な感想ということでご容赦頂きたい。



(以下ネタバレ注意)





一言で言うと、
「皆幸せになれて良かったね。じゃあ僕は、これからも一人で引き篭もります」
という気持ちになった。




そう思った理由は、シンジが立ち直れた理由に、いまいち納得出来なかったからだ。

シンジは元々、社会的な活動が嫌いだったんじゃないのか?
その反動で、父親の愛を求めたり、アスカやレイ、カヲルの個人的な愛情を求めていたのでは?

そう思っていたので、「コミュニティに触れる」がきっかけでシンジ君が立ち直れたことに納得が行かず、僕だけ置いてけぼりを食らったように感じた。


「物語を綺麗に終わらせる」という観点で見れば、これ以上無いほどの出来だったと思う。
絵も綺麗だったし、戦闘も(何が起きているのか今いち分からないが)迫力があったし、脇役の葛藤も描写・解決されていて良かった。

だが僕はそもそも「綺麗に終わらせる」ことにそれ程期待していなくて、
エヴァには、他の作品には無い価値観の提示や、ラストを求めていた。

なので、「あーあ、綺麗に終わってしまったな」というのが正直な感想だ。

しかも、テレビ版や旧エヴァも含めての総括ということなので、
「旧シリーズのラストは、あくまでも通過点でした。本当のラストはシンエヴァです」
と言われた感じがして、それも寂しかった。

—-

こういうラストになった理由として、もちろん庵野監督の変化(精神の安定?)はあるのだろうが、
それ以外にも、
「作品の規模が大きくなりすぎて無難に終わらざるを得なかった」
「分かりやすく終わらないと許されない時代になった」
と言った点もあったのだろう。

そうした考えを否定する気は無いし、むしろ商業作品としては大正解なのだけど、
個人的な感想としては、やはり「寂しい」ということになる。


前作から8年も経っているし、
別に「エヴァのことだけ考えて生きてきた」とかいう訳では全然ないのだが、
僕の中で、「うまく解決しておらずグチャグチャしたままの作品がある」という事が、どこか救いになっていたのかもしれない。


—-

結構ネガティブなことも書いたが、
自分が「訳分からん倒錯したファン」である事くらいは理解しているので、僕みたいな人の感傷は、無視すべきだと思う。



そういう訳で、エヴァ製作者の皆さま、お疲れさまでした。

初めて観た瞬間から、新作を待ってる間、ずっと楽しかったです。
ありがとうございました。




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