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『チェンソーマン』9巻 感想+展開予想 ーーここが物語の谷?


※ネタバレ注意




・物語は最悪の展開へ。
全員が不幸になると確定した状態で物語は進んでいく。もう元には戻らない。

・デンジは、ここにきてようやくセンチメンタルな状態に。
マキマの誘いも断り、パワーの裸にも興奮しない。そして知らなくていい事があると知っていく。
これは乱暴に言えば「成長」だろう。
成長も、物語と同じく不可逆だ。元には戻れない。

・ここに来て振り返ってみると、今まで無軌道に話が進んでいたように見えて、実はしっかりアキ達の絆が育まれていた(それが描かれていた)ことが分かる。
そしてそのままハッピーエンドになる線はぷつりと切れた。

現時点で生き残れそうなのはマキマさんとデンジ(主人公補正)だけだ。あとは皆死ぬだろう。マキマに勝てるとは思えない。

・デンジがマキマの誘いを断るという結構衝撃的なシーンがあった。
というかマキマが力づくで服従させないのってデンジくらいじゃないか?
そうなると、デンジ(ポチタ)にはマキマ以上のポテンシャルがあるのだろうか。

・物語上の大きな謎はもう、この「チェンソーの悪魔(ポチタ)とは何なのか」という所くらいしかない。
おそらくポチタはチェンソーではないのだろう。もっと恐ろしい何かの悪魔……。

「悪意」? 「無知」? 「破壊」? 「慈愛」? 「終末」? 「死」? 「恐怖」?

うーん、あんまり良いのが思い付かない……。




細かい点。


・「表世界の最後の砦」としてアメリカ大統領が登場する展開は熱いくて良いですよね……ワールドイズマインとか刃牙とか……どうしても雑魚として描かれてしまうけど。

・銃の悪魔の真相(?)には素直に驚いた。あーあ。
この漫画のパターンとして、「○○という強いやつが居る」→「○○が大暴れすると見せかけて、それ以上の△△が登場。○○はあっさり退場」というのがある気がする。
でもそれにしても、銃すらもマキマの盛り上げ役とは……。

チェンソーマンは、ある程度漫画を読んできた人に向けて、予想を覆すことを意識して描いてるんだろう。
「暴力の悪魔が力を解放したらどうなるんだろう……」と想像させておいて、それを描かないことが逆に面白い。

でもこの「さらに強い描写をポンポン出す」のって刃牙っぽくもあるな……死刑囚編でオリバ登場したみたいな。つまり結局は男のコっぽい漫画なんだな。あー好き。 

・西暦に関する描写があった。97年かあ……確かに携帯も出てこない。でもソ連が残ってる訳だからパラレルワールドには違いないな。悪魔も居るし。
 でも、それなら何故わざわざ西暦を描いたのかな。
 最終話で「23年後ーー2020年。」とかやるため? いや〜〜エヴァじゃないんだから〜〜。
 大穴予想としては、「終末の悪魔」(恐怖の大王、世紀末の悪魔)がラスボスだったりして。ちょっと安直かな。



展開予想。

・以前予想していた「アキの死によりデンジが成長(シリアス化)する」という展開はようやく実現した(しそう)。

流石に今後アキ以上に親しい仲間が出来る(出てくる)とは思えないので、今後はアキ達のことを想いながら戦うのだろう。

・もはや人間(国)にマキマを止められるとは思えないし、他の強力な悪魔は会話も通じなそうだ。
となれば、マキマとデンジが対峙するのだろうか。
(「実は知能を持った悪魔の種族が居た!新章突入!」みたいな展開は止めてほしいな……ていうかそれ破面篇だな)

ということは終わりが近いのかな。でも終わってほしくない。予想の出来ないどんでん返しをあと3回くらいやってほしい……。

・ここまで来ると、マキマが誰かにあっさり殺される展開もありそうか? と思ったけど、それだとアキが死んだ物語的意味が薄れるし、無いかな。
マキマが死んで茫然自失のデンジ一人ぼっちなんて、そんなシグルイみたいな終わりは嫌だ……。


・最終話は、デンジもマキマも全員死んで、新たな生命達が生きていく……とか?
「世界(宇宙)が崩壊していく中で抱き合っているデンジとマキマ」みたいな神話的なオチだったら嫌だな……でもそれくらいしないと話が終わらないような気もする。
もうイデオンみたいに全てを終わらせるしかない……。



—-

まとめ。
9巻も意外性抜群で、最高に面白かった!
毎回言ってるけど、強い奴の描写が楽しすぎる!


ただ、何にせよこの漫画ではもう「楽しい日常回」は見れないだろう。残念だ。
寂しすぎるし二次創作ってやつを読んでみようかな……。

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