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中国辺境の公安(出国手続き)

パキスタン→中国国境の世界一の標高を誇るカラコルムハイウェイ(最高地4,700m)の中国国境での入国手続きのうち、個人的な持ち物検査はサクッと越えたはずが、新疆ウイグル自治区のカシュガルからキルギスへ抜ける国境で、持ち物検査にだいぶ手間をかけてしまったので、やり取り含めて残すことにした。

この日の行程は、朝4時半(北京時間)中国のカシュガル出発、夜20時半キルギスはサリタシュ着。直線距離約200km、走行距離約300kmの道だが、主に中国出境で時間がかかり1日を使った。

新疆ウイグル自治区は中国西端に位置するが、約2,500kmも離れた北京時間を採用している。そして国境は平日の北京時間9-13時、16時半-19時しか空いてない。そこで午前の国境越えを目指すべく早めに向かった。

中国、イルケシタム国境。

中国の公安は皆若く、男性は丸刈り、女性は肩に髪がかからない程度の長さの髪、どちらも色白、鍛えられていない体、通じない英語、ダボダボの制服、手には防御用のスタンガン、顔には表情がない、という、インテリとは程遠く個人の戦闘力は高くないような人ばかりだ。中国国家はそれを公安の数や監視カメラなどのテクノロジーによって補っている。

今日は警察6人がかりで、午前だけで3時間ほど、カメラ、スマホの画像を約2万枚、PCの文字データも約1万文字調べられた経緯を残しておく。

事の発端は3つ。一つは、カメラに入っていた、インドはラダック地方のチベット仏教の僧院と砂曼荼羅を作り上げる僧侶の写真。もう一つはウイグル人の陳さんと一緒に撮った写真と連絡先。最後にラダック訪問記の際書いていたチベット仏教や文化大革命の文字が見事に彼らの携帯を通じて翻訳されてしまった事だ。

これらが見つかってから、ついに別室に移動する羽目になり、全写真と全文書を検閲されるようになった。

「協力をしたいからどの観点で何を確認したいのか明確にしてください、そうすれば適切な画像や文書も見せられるし、リクエストがあれば消すこともできます」と言っても明確に質問には答えてもらえず、一般的なチェックだと言う公安の姿に理解を示しつつも心ではかなりうんざりする。中国渡航以前の写真も延々と見られていく。

スマホの写真になればなるだけ大変に厄介である。僕の場合は食べログの情報、旅先の情報、友人とのラインやメッセンジャーのやりとりをスクショで割と残してあるため、それらを過去まで遡って、かつ削除済みフォルダを含めて、全て見られた挙句、彼らの携帯に内蔵されてるGoogle翻訳みたいな翻訳機能で、全く関係ない翻訳をしまくっている。

例えば(画像はうんざりした挙句消してしまったが、ニート最高!というスクショが中国語翻訳で訳され、うまく翻訳されない場合その意味は(ここではニートとは)何か?を丁寧に聞かれるわけだ。

さすがに辟易したが、気づけば同乗していた他の旅客はいなくなり、北京時間13時になり、お昼休憩だからお昼でも食べ行けば?と言われて国境を追い出されて振り出しに戻った。

そこから3時間半はお昼タイム。ご飯を食べビールを2本ほど飲んでその辺のベッドで休みながら、午後に向けた準備をする。PCのデータ、カメラのデータを全部消し(バックアップしてるから問題なし)、スマホも文字データを削除、削除済みフォルダも空にする。


正しい中国語でない旨は分かっているが苦肉の策で画像を作る。彼らの検査の目的に合致していることを祈りつつ…。


16時半になり、結論としては一番偉そうな人に話しかけて画像を見せたら、上記画像が映ったスマホを持った僕の写真を撮られ、午後の部は別室検査なしで通過できた。

長い検査で疲労が一気に押し寄せてきた。イミグレをする国境の街から実際の国境まで120km。そこで出国をし、キルギス側のあっけない入国手続きを終えて、適当な車を捕まえてキルギスの街サリタシュへ。北京時間では22時、キルギス時間20時にサリタシュへ到着。


今後中国の辺境を旅される方には、同じようなハラスメントが待ち構えている可能性は大いにある。その際僕から言える心構えは、チベットとウイグルに行った場合は写真は早急にクラウド保存をして端末から消すこと(文書も同様)、余計なスクショは中国と関係なくても疑われる可能性があるので写真フォルダから消すこと、を心からオススメする。

サポート頂けたら、単純に嬉しいです!!!旅先でのビールと食事に変えさせて頂きます。