見出し画像

乗り鉄を極める~近鉄特急乗りまくり旅

首都圏に住んでいると名古屋や大阪といった他の大都市の鉄道に乗る機会があまりありません。
乗り鉄を目的にしてもJR以上に「私鉄」に乗りまくるというのは中々難易度が高いです。

そんなことを考えていた時、社外コミュニティでお世話になっている方から名古屋集合・解散の伊勢神宮参拝ツアーのお誘いをいただきました。

名古屋から伊勢までの往復は近鉄特急「伊勢志摩ライナー」と「しまかぜ」を利用するという、乗り鉄的にも魅力的なものです。

ツアー開催は10月の土曜日。名古屋までは各自ということで、「あること」を思い付きます。
前日の金曜日の朝に名古屋入りし、バリエーション豊かな近鉄特急を1日乗れるだけ楽しむということ。

一人でも実行しようと考えていましたが、伊勢神宮のツアーに参加する乗り鉄仲間に声掛けしたところ、乗り気な返事が。

かくして「近鉄特急乗りまくり」を友人と二人で実行することとなりました。

近鉄特急の魅力

近鉄特急ネットワーク 近鉄公式HPより

近鉄(近畿日本鉄道)は、大阪、京都、名古屋といった大都市や奈良、伊勢志摩、吉野といった観光地を結ぶ広大な路線網を持ちます。
その距離は501.1kmであり、JRを除く私鉄の中で最長となっています。

そんな路線網の中を張り巡らせるかのように特急列車が高頻度で走っており、そのバリエーションが豊富なことが大きな魅力です。

今回は時刻表を駆使してできるだけ多くの「近鉄特急」に乗車することにしました。

1  近鉄名古屋→大和八木「アーバンライナー」

アーバンライナー

金曜日の早朝に新幹線で名古屋駅向かい到着後「近鉄名古屋駅」に移動します。
さあ、ここから「近鉄特急乗りまくり」旅がスタートです。

トップバッターは長く名阪特急で活躍している「アーバンライナー」。
今や名阪特急の主役を「ひのとり」に譲りましたが、停車駅が多い名阪の乙特急で活躍中です。

「アーバンライナー」で「近鉄名古屋」から奈良県の「大和八木」まで向かいます。
座席は通常の「レギュラーシート」に加え、JRでいうグリーン車に相当する「デラックスシート」があります。

1号車のみ「デラックスシート」

「デラックスシート」は「レギュラーシート」の特急券プラス420円。格安な追加料金で横3列のゆったりとしたシートで快適に過ごすことができました。

2 大和八木→橿原神宮前

橿原神宮前行き汎用特急

大和八木から乗り継いだのは特に愛称のない一般的な特急車両。「汎用特急」ともいうようですが、この区画はわずか5分。ただ、近鉄特急の場合、一部を除き30分以内で特急列車同士を乗り継げば特急料金が通算されます。
つまり、同じ列車に乗り続けている時と同じ料金体系であり、接続も考慮されているところがいいですね。

3 橿原神宮前→吉野

吉野行き汎用特急

3つ目も2つ目に続いて「汎用特急」です。
塗装は変更されていますが、恐らくは40年以上使われているの車両と思われます。

吉野線を走る2両編成の特急で乗客もあまりいません。単線区画なので交換待ちも多くのんびり走っているローカル特急といった感じでした。

4 吉野→大阪阿倍野橋「青の交響曲(シンフォニー)」

青の交響曲(シンフォニー)
青の交響曲(シンフォニー)1号車
青の交響曲(シンフォニー)カフェ車両

吉野駅に待ち構えていたのは本日のメインともいえる「青の交響曲(シンフォニー)」。
一般の通勤型車両を改造したとは思えない、とんでもなく豪華な観光特急です。
見ただけで早くもテンションが上がりました。

青の交響曲(シンフォニー)客室

内装も豪華。横3列のデラックスシート車ですが、吉野から大阪阿倍野橋までの料金が何と乗車券にプラス720円(特急料金520円+デラックス車両料金200円)。
あまりにも安くて驚きです。

3両編成で両端の1号車と3号車が豪華客室。そして真ん中の2号車はまるまるカフェ車両という何とも贅沢な造りなのです。

吉野からすぐに折り返し、来た方向を戻りますが、発車後すぐにカフェ車両でランチを兼ねた昼飲み。

2号車 カフェ車両
売店カウンターがあります。
最高の呑み鉄

乗り鉄(呑み鉄)が趣味で良かったと心から思えた瞬間でした。同行の友人と至福の時を過ごせました。
橿原神宮前までは先程来た道を戻っているわけですが、カフェ車両で飲みながら見る景色は全く違うものに見えました。

「青の交響曲(シンフォニー)」、絶対にオススメです!

5 大阪阿倍野橋→橿原神宮前「さくらライナー」


大阪阿倍野橋到着後は次の列車まで時間があったので、あべのハルカスの「ハルカス300展望台」に行きました。

近鉄「大阪阿倍野橋駅」とJR「天王寺駅」を展望台から見下ろします

次なる特急は「さくらライナー」。車体がピンクで愛称同様有名な吉野の桜をイメージしているものと思われます。

4両編成で一般の特急と違うのは「アーバンライナー」同様デラックスシート車が付いていることですが、今回はレギュラーシートにしました。

さくらライナー

5 アクシデントのち、学園前→大阪難波「あをによし」

さくらライナー車内でも放送による案内があったのですが、近鉄京都線内で線路点検の影響で一部区間の運転見合せが発生しているとのこと。

今回は京都線に乗りませんが次に乗る特急は京都発奈良経由大阪難波行きの観光特急「あをによし」。この列車を大和西大寺駅から乗る予定にしていました。
始発が京都であり、京都線を通って大和西大寺にやってきます。

と、いうことは運行に支障が出ていそうで、もしや運休?そんなことを覚悟しつつ、橿原神宮前から大和西大寺まで急行電車で向かいます。

大和西大寺駅で駅員さんに確認してみるものの「あをによし」については、情報がないので分からないとのこと。

発車時間まで待ってみると遅れてはいるものの発車案内が出ました。

特急あをによし 大阪難波行きの案内

運休を覚悟したもののとりあえず一安心。1番ホームに紫色の煌びやかな車体「あをによし」が入線してきました。

大和西大寺駅に「あをによし」が入線

「あをによし」が入線してきて停車。ところが何か様子がおかしい。 
車内を見ると誰も乗っていないのです。それどころか電車側面の行き先表示幕は「回送」。ドアも開きません。

慌てて車掌さんのところに行き「この電車の指定券を持っているのですが。」と言ったら「運転取り消しになったので駅員に言って払い戻してもらってください。」とのこと。

案内が出てそのとおり電車が来たのに運休という何とも不思議な現象だったのですが、そればっかりは仕方ないですね。

この観光特急は京都を出てから大和西大寺を通り奈良に行き、再び大和西大寺を通り大阪難波に向かうという変わったルートになっています。

つまり、大和西大寺と奈良の間は重複しており大和西大寺は2回通るのですが、1回目は停車し2回目は通過というダイヤになっています。

「あをによし」運行区間 近鉄公式HPより

我々は大和西大寺から乗って奈良を通って大阪難波までの乗車を楽しもうと思っていたのですが、諦めて急行で大阪難波まで向かうことにしました。

ただ、この時「あをによし」は奈良方面に向かって走って行きましたので、もしかしたら奈良から大阪難波までは営業運転するのではないかと考えたのです。

「あをによし」という名のとおり奈良観光への行き帰りに乗ることを前提に運行されているので、京都から奈良まではやむ無く運休になったとしても、奈良から大阪に帰る人が指定券を持っていると思われるので。

大和西大寺から大阪難波方向に急行で1駅5分のところに「学園前」という駅があります。
この駅に「あをによし」は停車するので急行で移動しダメ元で待ってみることにしました。

結果は…来ました!今度はお客さんを乗せて営業運転をしている大阪難波行き「あをによし」が。

疲れましたが敗者復活戦に勝った気分で1日目の目的達成。

車内で購入した抹茶ジェラートを食べながら、窓に向かって豪華な椅子が配置されたツイン席にて車窓に広がる素晴らしい夕景を眺め大阪難波までの一時を過ごすことができました。

この日はここまで。2日目に続きます。

大和抹茶ジェラート
車窓からの夕景

6 大阪難波→近鉄名古屋「ひのとり」

名阪特急ひのとり
「ひのとり」名古屋行きの表示

難波に宿泊し、2日目は大阪難波7時発の「ひのとり」からスタートです。

ひのとりにはレギュラーシートとプレミアムシートがあり、プレミアムシートはそのシートの豪華さに加え先頭車両の一番前が展望席となっているのです。

1か月前の発売と同時に予約し、一番前の席を確保することができました。

プレミアムシート(後方から撮影)
名古屋まで2時間あまり前面展望を楽しめました
「ひのとり」同士のすれ違い

シートは本当に快適過ぎるとしか表現のしようがなく、つい眠ってしまいそうになりましたが、全面展望も楽しみたいのでそこは我慢。何とも贅沢な葛藤です。

名阪特急ひのとり弁当
名古屋手羽先、大阪たこ焼き、そして辛いチリソースのチキンカツは「ひのとり」を意味するようです

名古屋までの2時間はあっという間でした。
カフェスポットで買ったコーヒーも美味しく無料ロッカーも完備。レギュラーシートにおいても一般特急に比べかなり快適なようです。本当に素晴らしい列車でした。名阪間の移動において、新幹線に比べるとどうしても時間はかかりますが「ひのとり」を選択する人も多い理由が分かったように思います。

7 近鉄名古屋→伊勢市「伊勢志摩ライナー」

伊勢志摩ライナー

「ひのとり」で近鉄名古屋駅に着いた後、9時45分に集合し「伊勢神宮参拝ツアー」に合流しました。

この日は伊勢神宮がメインですが名古屋からの往復に近鉄特急を使いますので「乗りまくり」に加えたいと思います。

「伊勢志摩ライナー」はレギュラーシートに加え、デラックスシート、4人用サロン席、2人用ツイン席があります。

伊勢志摩観光用の特急として30年程前にデビューした「伊勢志摩ライナー」は今年でデビュー10周年の「しまかぜ」に主役を譲った感がありますが、リニューアルされていることもあり古さを感じません。

今回はレギュラーシートでしたが土曜日ということもあり満席でした。
まだまだ活躍しそうな車両ですね。

8 宇治山田→近鉄名古屋「しまかぜ」

しまかぜ
プレミアムエクスプレス「しまかぜ」のロゴ

いよいよ「乗りまくり」もラスト。
ラストを飾るのは「しまかぜ」です。全席プレミアムシートと個室のみの超豪華仕様。もはや「食堂車」ともいえる本格的な食事ができるカフェ車両も付いています。

デビューから10年経ちますが今に指定席券の入手が困難な列車です。

この「しまかぜ」には以前乗ったことがあるのですが、今回乗車して改めてその凄さを感じました。

国内でも有数の夢がある豪華特急。
いつまでも走り続けてもらいたいものです。

1日目はほぼ乗るのが目的、2日目は観光の行き帰りという形での「近鉄特急乗りまくり旅」。都合上ビスタカーに乗ることはできませんでしたが、ほぼコンプリートし今回の目的は達成できました。

バリエーション豊かで魅力ある近鉄特急の旅。充実の乗り鉄旅となりました。

長文、最高まで読んでいただきありがとうございました。

近鉄週末フリーパス4400円を使用。特急券は別途チケットレスで購入。

【行程】
1日目

近鉄名古屋930(アーバンライナー)1118大和八木1121(特急)1126橿原神宮前1146(特急)1228吉野1234(青のシンフォニー)1351大阪阿部野橋1510(さくらライナー)1545橿原神宮前~(急行)~大和西大寺1650(あをによし)1734大阪難波
2日目
大阪難波700(ひのとりプレミアム)908近鉄名古屋910(伊勢志摩ライナー)1134伊勢市
宇治山田1623(しまかぜ)1744近鉄名古屋




この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?