熊本の食材をクリエイト/藤田シェフにインタビュー(グリーチネ ディ アクアパッツァ)
2024年1月25日から2月4日まで、アクアイグニス仙台で開催された全国御礼物産フェアvol.1熊本
有名シェフが監修を務めるアクアイグニス仙台のレストラン棟でも、
「熊本×地元宮城」の食材にシェフの技が加わって、超絶なコースが準備されました。
イタリアンレストラン「グリーチネ ディ アクアパッツァ」藤田シェフに突撃取材
小松:
こんにちは。よろしくお願いします。うわぁー
藤田シェフ:
こちらはじまりの一皿は熊本県産の馬肉のタルタルです。手前のパウダーは僕が好んで使っているクロモジです。自分で採りに行ってきました。
小松 :
えっ自分で?
藤田シェフ:
色麻町の薬来山の麓の農家さんに 去年の春頃から山菜の取り方も教っていて、その時にクロモジを見つけたんですよ。それからお願いすると送ってくれるようになったんです。
クロモジのパウダーは葉の部分を使っていて、この香りが馬肉にも合うんで・・手前のピンク色のオゼイユ(かたばみ)。それから黄色い花は菜の花なんですが、水耕栽培で自分で咲かせて使っています。この時期にある食用の花は季節感のない花はあるんですが、なかなか市場に出回らないので、自分たちで咲かせて使っています。
小松:
可愛らしい黄色がお皿を引き立てますね。手をかけているんですねー
藤田シェフ:
厨房のメンバーからは面倒臭いと思われているところもあるんだけど
1こ1こストーリーがあって、なぜこのパンの向きなのか・・なぜこの一皿なのか、なぜこんな風に盛り付けるのか・・突き詰めていくと理屈がちゃんとあって、なかなか言葉にできない時もあるんだけど、それを伝えていくことが大事だなって
小松:
それにしても はじまりの一皿は華やかな香りが漂います。
(食す)
馬肉は思ったよりあっさりしている分、クロモジのさわやかさがこれから始まるストーリーの入り口をグッと引き立ててくれています。
藤田シェフ:
前菜は、阿蘇自然豚フリットのバルサミコキャラメリーゼ、松島の只木農園さんのプチぷよトマトを発酵させて、それを蔵王モッツァレラチーズでカプレーゼしています。
小松:
一皿に 山の中のような自然が描かれているよう。
藤田シェフ:
周りにいろんな色があるんですけれど黒いのがブラックオリーブのパウダー。茶色いのが宮城県富谷の新生姜を炭化させて、ここでそれをパウダー状にしてます。色も土っぽさをあえて出してみたいと・・
小松:
シェフがこのお皿にこだわった表現は?
藤田シェフ:
季節感は冬っぽくないなと思ったりもします。僕、メイン料理には 葉物とかを落ち葉のようにパリパリになるまで乾燥させて使ったりするんです。緑色のナスタチウムもそうすると海苔のような香りが立つんですね。あえてそれを狙ってます。
ハーブとか 載せることを嫌う料理人もいますが、僕はビジュアルで楽しんでもらうことも大事にしています。第一印象でお客様が喜ぶなら華やかにするためにハーブとかのせるべきだと思っています。
実は料理だけで言ったらディルだけでも良いと思ってるんです。
ナスタチウムは見栄えも良くて邪魔しない。
小松:
香りも香ばしい。少し山椒の香りにも似たような感じがします。
藤田シェフ:
それは生姜だと思います。実際茶色くなるまで焼くと、独特の香りが出てくるんですよ。香ばしさがのるというか・・
今回熊本がテーマになっているんで、南阿蘇の豚との相性がいいチーズを考えて蔵王のモッツァレラに、発酵したトマト。発酵したことで独特なビールに近いような鼻どおりの良いような・・火入れせずに、発酵のみです。塩蔵真空して常温やワインセラーとかで温度管理をしながら4日間くらいおきました。
小松:
食材を最高のステージに上げるためには手がかかるんですねー。いただきます。
藤田シェフ:
豚とトマトを合わせて食べてみてください。
小松:
おいしー。発酵トマトが料理全体に生かされてますねー。そして豚の旨みを引き立てていますね。確かにディルがお料理全体の味をまとめて、少し山椒を感じさせる生姜の香りはお料理を更に華やかにしてくれています
(メインはパスタかアクアパッツァを選べます。私はアクアパッツァを選びました。今回、特別に加藤スーシェフが、パスタも一口サイズでご用意くださいました)
加藤スーシェフ:
熊本産 初摘み生のりと柚子胡椒のトレネッテです。宮城産の海苔と熊本産の海苔を合わせて使っているんですが、熊本の海苔は佃煮を使ってるんです。そして熊本産の柚子胡椒。トレネッテは手打ちです。
小松:
ん〜いい香り🎵 いただきます。海苔が味わえますね。しっかりパスタと絡んで美味しい。少し甘味を感じます。
加藤スーシェフ:
それは海苔の佃煮の甘さです。通常は海苔だけで提供しているんですけど、熊本の食材を合わせました。
小松:
手打ちのパスタもすごく美味しいです。海苔との絡み具合もいいですねー。
加藤スーシェフ:
いつもは厚みがあって、卵を使わないパスタなんですけど、このソースと合わせた場合は卵を使ったほうがいいかな。ソースが少し重いので、トレネッテくらいの厚さが食べ馴染みがあるかなと・・卵の風味を入れることでソースに負けないかなと・・
(柚子感も最後まで楽しめました。お皿に少し残ったソースは残さずパンでいただきました)
藤田シェフ:
こちらは定番の天草産 鯛フィレのアクアパッツァです。もちろん熊本産でお刺身で食べられるお魚を使っています。
小松:
いやーさすが!!私の大好物です。
食は奥が深いですね。藤田シェフはどんなところから影響を受けているんですか。
藤田シェフ:
その土地に水があって米が育ち、日本酒ができる。そしてワイナリーができたりもする。イタリアの水は硬水で、その水で、その土地で育った小麦で作ったパスタを茹でるとやっぱり美味しい。相性がいいというか、そうやって土地に根付いた食文化は広がっていくんです。僕は山形県の東根出身なんですが、なぜさくらんぼが東根市で有名になったのか、小学校で学ぶんですよ。群読のような感じで・・
小松:
素晴らしい考え方。それも小学校で・・ふるさとの大切なことを大切な時期に伝えられるんですね。アクアイグニス仙台もそんな場所であり続けたいですね。
藤田シェフ:
小学校の時は嫌だったんですけど、大人になってその大切さがわかってきて、土地や食材の一つ一つの意味を知りたいと思うし、そう思える仕事についていることも幸せだと感じています。
フェアを通じて知らない土地のことをよく調べて知って、そうして料理にちゃんとストーリー立てすることを忘れずに続けていきたいと思うんです。
小松:
んっ?おーっ?デザート?
藤田シェフ:
熊本産 栗のニョッキとジェラートです。 栗の渋皮も手に入れることができたので、それを砕いて、栗のニョッキとゴルゴンゾーラ・はちみつ、赤ワインのソースと栗のジェラート
藤田シェフ:
僕は結構ニョッキが好きなんですよ。もっちりしていてデザートにもなるんです。迷ったのは酸味を足すか足さないか。栗は季節でいうと秋なので、唯一気になるのが季節でないということ。でも、今回は熊本の栗だからニョッキにしようと決めました。
イタリアでは手打ちパスタには歓迎の意味があると昔先輩から教わって、何かこの熊本と宮城のつながりをこれからも大切にしたいと思ったんです。
小松:
優しさに包まれる栗のニョッキのもっちり感は最高。赤ワインの酸味も良いアクセントです。
人は美味しいものを食べると幸せになれます。
グリーチネは幸せな気持ちになる空気で溢れています。
料理長の藤田シェフは、細部にまでのこだわりを持って「熊本」のディナーコースをクリエイトしてくれました。
藤田シェフ、次回の全国御礼物産フェアvol.2は福島県。
福島×宮城の食材のグリーチネのシェフによりどのような展開を見せていくのでしょう。ご期待ください!!
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