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LIFE TUNINGレポートvol.3 :『これから起こる"新しい民藝"の広まりを楽しみにしています』かねひろ取締役・プロトタイプデザイナー土田智憲さん

リモートワーク生活において、それぞれ何を考え、どのように働いているのか。また、心身ともに健康な状態で過ごすにはどうすればよいのか。そのようなテーマを追求する連載「LIFE TUNINGレポート」、第三回はかねひろ取締役・プロトタイプデザイナーの土田智憲さんにお話していただきました。

土田智憲さん(33歳)
1987年秋田県生まれ。株式会社かねひろ取締役。デザインやエンジニアリングを通じた事業開発・地域の特性を活かしたクリエイティブディレクションに携わる。2010年慶應義塾大学環境情報学部(SFC)卒業後、楽天株式会社に新卒入社。退職後、フリーランスでローカルビジネスやソーシャルビジネスを行う団体のコンサルティングを行いながら、コワーキングスペース「原宿テラス」を立ち上げ。その後、"0歳からの伝統ブランドaeru"のオンラインショップ立ち上げ、事業開発に携わる。趣味は料理。特に人に料理を食べてもらうことが好き。

「リモートワークになり、情報共有の機会を増やしたことで、これまで見えづらかったことも見えるようになってきました」

ーーリモートワークでのご調子はいかがでしょうか?

もともと月の半分くらいは、自宅や出先でのリモートワーク・もう半分は故郷の秋田で働くという働き方をしていました。コロナウイルスが広まってからは、完全にリモートワークとなっています。

調子は特に変わりがありませんが、周りもリモートワークになり、web会議が当たり前になることなどで、仕事の進め方が変わってきているなと感じます。

会社では、メンバー間のコミュニケーション量を減らさないために、zoomで全社朝礼・夕礼をはじめました。そこで各営業地域の状況などをこまめに共有しあっています。

リモートワーク になってから、こういった状況共有の機会が増え、結果的にこれまで見えづらかったことまで、見えるようになってきた気がしています。

ーーリモートワークでの仕事の進め方は重要なテーマですね。土田さんの基本的な一日の流れを教えて頂けますか?

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          (土田さんの1日の調子グラフ)

毎朝、大体6:00頃に起きています。7:00頃から朝食の時間で、パンや一手間加えた昨日の残り物、スープ、ヨーグルトなど、軽く作ったものを食べています。

時間に余裕がある時は、魚定食や、フレンチトースト、パンケーキ、そばガレット、モロヘイヤ麺など少し手の込んだ料理を楽しんでいます。モロヘイヤ麺は、アボカドとトマトと玉ねぎを刻んで、蜂蜜とバルサミコとオリーブオイルと塩と和えて食べるのがお気に入りです。

朝食後は、8:30からzoomで全社朝礼を行ってから、メールを返しつつ仕事を進めていきます。午前か午後に打ち合わせは固めた方がいいなと思いつつも、いまのところ特にルールは決めていません。

だいたい12:00頃に、昼食を食べます。くるみ蕎麦やチャーハンなど、さっと作れるものを食べることが多いです。

昼食後、調子が優れないと思ったら、少し横になって休むようにしています。瞑想アプリを使うこともあり、お気に入りは「リルック 」というアプリです。瞑想アプリは色々ありますが、英語で語りかけてくるものはなかなか集中ができないので、日本語の「リルック 」に落ち着きました。

その後、午後も引き続き、打ち合わせか作業の仕事をしています。

夕飯の前に、近所のスーパー「オオゼキ」に夕食用の食材を買い出しに出かけています。コロナ禍になってからは、少し早めの時間に行くことで、三密を避け、食材も色々とあるので、買い出しを楽しむことができています。

夕礼が終わった後は、夜ご飯を作って食べて、その後は急ぎの仕事がない限りは、なるべく仕事をしないようにしています。

夕食は、スーパーに買い出しに行く日であれば、その日一番美味しそうなものを探しながらメニューを考えます。また、近くに魚屋さんもあるので、魚はそちらで買うことが多いです。

夕食後は、映画を観たり、iPadで絵を描いたり、新しいアプリを試してみたり、友人や家族らとzoomで話をしたり、のんびりとした時間を過ごしています。

夜11:00くらいには本を読みながら、布団に入るようにしています。

ーーとても健康的に過ごせていますね。土田さんが、ご自身の心身の調子を調える「チューニング」としてやっていることがあれば、教えてください。

毎朝仕事を始める前に、気持ちが乗らない時はノートに手書きで雑感などを書きながら、頭の中を整理するようにしています。書いているうちにこれをやってみたら面白いかも、というアイデアが湧いてくることもあります。

集中力を高めたい時はノイズキャンセリングヘッドホンで音楽を聞いています。日本語歌詞があると作業に集中できないので、クラシック音楽やギターなどインストゥルメンタル、北欧のアカペラなどを聞くことが多いです。

また、料理が趣味ということもあり、スーパーに食材を買いに行くことも良い気分転換となっています。東京にいると季節を感じることが少ないので、スーパーにあるその日の旬な食材から、季節を感じています。

特にお気に入りのスーパーが「オオゼキ」です。実は今住んでいるところは、不動産屋さんで「オオゼキがある町で!」とお願いし、見つけていただきました。徒歩二分です。

オオゼキは、お正月に数の子が10種類くらい揃っていたり、売っているものに意思を感じるから大好きです。店員さんの接客も素晴らしく、質問に丁寧に答えてくださるし、今日のおすすめの品も気軽に教えてくださるので、店員さんと会話ををするのもオオゼキに行く楽しみのひとつです。

また、夕食後の食器洗いの時間も良い気分転換になっています。aeruの仕事を通して出会った職人さんの、思い入れのある食器は、長い間水に浸けておくことが嫌なので、食後にすぐ洗うようにしています。好きな食器を使うことで、堕落せず生活リズムがついているように思います。

食器を洗っているときに、手触りを楽しんだり、職人さんのこだわりに思いを馳せたり、今度この漆器にどんな料理を合わせようか考えています。丁寧に漆器を洗っている時って、集中して呼吸が深くなることもあり、自分を調えるいい時間となっています。

ーーリモートワーク で買ってよかったものや、はじめてよかった習慣があれば教えてください。

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         (土田さんのご自宅での仕事環境)

・アーロンチェア
快適にずっと座っていられるので、買ってよかったなあと思っています。リクライニングする際も、背中が落ちるのでなく座面ごと落ちるので、腰に負担がほとんどありません。また作業に集中したい時は前傾にもできるので、調子や気分に合わせた座り方をしています。

・Happy Hacking Keyboard(HHKB)

タイピングの感触が気持ちよく、指への負担が少ないキーボードです。コンパクトな作りで、指をそんなに動かさずに操作できるところも気に入っています。パームレストをキーボードの前に配置して、良い具合に手を休めながら操作しています。

・オンライン会議でのiPad活用
zoomでオンライン会議をする際、iPadの画面を共有することで、iPadをホワイトボードのように活用し、手書きのデザインを書いて共有したりしています。


ーーリモートワーク で今後試してみたいことや、あったらいいなと思うものを教えてください。

もっと「自分の手でつくる」ということを増やしたいと思っています。

個人的には今後、「新しい民藝」と呼べるようなものが広まっていくような気がしています。たとえば、近くの公園に出かけて撮影した写真を加工してポスターにして飾ってみたり、金継ぎをしたり、服を作ってみたり。デジタルでなにか目の前の人を喜ばせるだけのちょっとしたものを作ってみるのも良いと思います。

昨年末、東京でしめ縄を買い求める列ができているのを見て、「そういえば、しめ縄ってもともと稲作文化が暮らしの近いところにあって、それで作っていたものだよなぁ。今の私たちの暮らしに近いもので再解釈したらきっと稲わらじゃないもので願いを込めるんだろうな。各家庭の工夫が出てたら面白いなぁ。」と感じていたんです。

伝統産業品の中にも、農閑期の冬の手仕事として生まれた技法があります。冬に家の中にいる長い時間の中で生まれてきた、今の効率化優先の経済社会からは絶対生まれないであろう、「余裕のある美」がそこには生まれています。

家にいる時間が必然的に増えている中で、身の回りにあるもので、暮らしに近いところの「作ってみる」から、新しい民藝はどんどん広まって行くのではないでしょうか。

皆がそれぞれ暮らしを楽しむための知恵をシェアする中で、新しい民藝の動きが増えていったらいいなあ、と思っています。

多分それをエネルギーに、また新たな経済がまわりはじめると思います。

ーー「新しい民藝」というのはとても素敵なキーワードですね。最後に、土田さんの今後の目標やありたい姿について教えてください。

この前、自分の考えを整理していて、僕はそれぞれの人が自分のやりたいことに対して正直に動いてクリエイティビティを発揮している状態が好きなんだなあ、と思いました。

パッケージの仕事はそういった面があって、作り手が本来伝えたいメッセージをデザインや仕組みによって実現しています。

自分にとってデザインという仕事は、クリエイティビティの発揮をサポートするための手段のひとつです。情報設計・デザイン・プログラミング・システム導入サポートなど、相手に合わせて最適な方法を選び、プロトタイプを練るところから一緒に作っていきたいと思っています。

ーー土田さんの今後の活動が楽しみです。今日はお時間いただきありがとうございました!


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