見出し画像

【東大院試】TOEFL-iBTが必要な物工入試【大学院入試】


前回の記事では自分が受けた大学院入試について、試験の形式とかの話をざっくりとお送りしました。今回はそこから、TOEFL-iBTの対策について自分が調べ、実行したことをまとめていきます。

ちなみに筆者は物工・理物ともに合格していますが(前回の記事参照)、TOEFL-iBTのスコアは68点ととんでも最低レベルのスコアなので「これが最低ラインなんだなぁ」という見方で活用してください。

この記事の前半はTOEFLの一般的な形式や、各問題の内容の話です。もう知ってるよ!という人は「物工受験におけるTOEFL対策」から見てください。

↓前回の記事

Home Editionで受験しよう!

①2つの「TOEFL-iBT」について

まず知っておいてほしいこととして、TOEFL-iBTには2種類あります。

1つはいわゆる普通の「TOEFL-iBT」であり、これはテストセンターでみんな一緒に受けるタイプです。ここで初めて受ける人はきっと騙されるのですが、これ「みんな一斉に開始して静かにテストを受ける」という試験ではありません

受付をした順番に各人PCの前に通され、そこでPC上のプログラムで試験が開始されます。

Q.パソコンで試験を受けるのになにが問題なの?

A.周りの大勢の日本人が英語を喋ってる中で英語を聞き取り、喋れるか? つまりそういうことだ。

やってみて思ったんですが、めっっっちゃキツいです。いろんな試験を受けてきましたが、誇張抜きで過去最高にキツかった。得意な人は良いでしょうが、そもそも自分の下手くそな英語が周りの人間に聞かれまくってる状況すらキツイ。
そういうわけで、自分はあまりオススメしたくない試験方式です。実際ListeningとかSpeakingは、Home Editionの方が確実に良かったです。

そうこの2つ目というのが自分がオススメしたいTOEFL-iBT Home Editionです。

②TOEFL-iBT Home Editionとは?

一言で簡単に言えば、「家のPCで受けられるTOEFL-iBT」です。試験内容は普通のやつと全く同じで、違いは「家で」受けるという、ただそれだけなのですが効果は絶大です。

先ほども言ったように、普通のTOEFL-iBTは周りがとにかく煩いです。それに比べて家の静かな環境で受ける時の環境は最高です。慣れた椅子、慣れた机とキーボードで受ける試験は、めちゃくちゃ楽でした。集中力と点数にも結構影響があったと思います。

先ほども言ったようにListeningとSpeakingは本当に劇的に変わって、

  • Listening 12→19

  • Speaking 12→16

とまぁ、テスト形式を変えるだけで2科目合計10点以上の差が出てしまうわけです。ちなみにReadingをナメてかかった結果、25→16とガタ落ちして総合スコアが残念な感じになりました(これはテスト形式とかじゃなく俺がアホなだけなのでお気になさらず)。

というわけで、環境的にはどう考えてもHome Editionの圧勝なわけですが少しだけ大変なこともあります。
それはPC・インターネットと周辺機器の準備が必要だということです。ここの設備投資をどう見るかで、Home Editionで受けるかどうかが決まります。

ざっくりと必要なものを列挙します。

  • パスポート(他の身分証でも回避できるパターン有、けどTOEFLを受ける場合はHome Editionでなくても必須級)

  • 受験料($245 円安でくっっそ高い、3万円)

  • 安定したインターネット回線環境

  • そこそこのスペックのPC

  • マイクとWebカメラ(ノートPCで十分使えるマイクとカメラがあるなら不要です)

  • ホワイトボードと水性ペンとイレイザー

  • 数時間、誰も入ってこない密室を作れる環境

こんなところでしょう。長くなってしまうので環境整備とか受験、手続きの流れについてはまた別の記事に委ねるとします。上記を用意できるなら自分は100% Home Editionしか勝たんと思っているのでそちらをオススメします。

TOEFLの試験内容と目標点数

目標点はざっくりと60点、80点のものを書きます。これは普通の大学受験で英語使った、ReadingとListeningの方が得意な大学生向けの話なので、各々の得意分野に合わせて割り振りを変えても良いと思います。

Reading

試験時間は35分で、2つの700wordsぐらいのPassageを読まされます。それに対して10問ずつ、計20問の問題がついている試験です。
これなんですが、必要となるwpm(word per minute:1分間で読める語数)の水準で考えると、だいたい120〜140wpm必要です。しかも内容はそれなりに高度な(自然環境や社会問題についての問題)内容。
とりあえず自分で一旦計測してみて欲しいのですが、普通の大学生で100wpmあったらまぁまぁ速い方と言えるので、ざっくり平均の1.5倍ぐらいのペースを、しかも共通テストの現代文みたいな内容の水準で要求されると思ってください。

【Readingの目標点数】
60点を目指すなら→20 〜25
80点を目指すなら→25 〜30

Listening

試験時間は約36分。問題数としては28問あり、基本的には「少し長い会話文/講義を聞いてそれぞれ5/6問の問題に答える」という形式です。
この問題形式は「英語が聞き取れているのに答えられない」ということが起こります。1回聞いたパッセージの内容を頭に留めておかないといけないのでそれがとにかく脳にとっては負担になります。しかも、PCで受験する関係上、パッセージが流れる前に問題を読んでおくということが不可能なのでしっかりと出題傾向を抑えて「どんなメモを取るか」も大事になってきます。

【Listeningの目標点数】
60点を目指すなら→18〜20
80点を目指すなら→20〜25

Speaking

Speakingは"Independent Task"と"Integrated Task"の2種類の問題に分かれています。全てマイクに対して録音する1人でのSpeakingで、解答時間が決まっているのでその形式に慣れる必要があります。試験時間は全て合わせて15分〜20分ぐらいでしょうか。

  • Independent Task
    1問だけ出題されます。身近なトピックについての質問をされ、それに対して自らの意見を述べる問題です。
    質問の内容は「一人旅と家族旅行のどっちが好きか」「授業は大人数と少人数どちらがいいか」のように正解が決まっていないタイプの問題です。
    まず質問内容が明らかにされ、そこから15秒間の準備時間と45秒間の回答時間が与えられます。
    とにかく考える時間がほとんどないので、メモを取る練習と、予めどんな構成で話すかのテンプレートが必須です。

  • Integrated Task
    3問出題されます。

    2問はReading(〜100 words)+Listening(会話・講義 1分程度)の後に質問されます。Readingで提示された内容と、Listeningで聞いた内容を要約して答えます。準備時間30秒、解答時間60秒。

    残りの1問はListening(2分ぐらい)の後に質問です。何かの学術的な概念についての説明と、その具体例などが挙げられるので要約していきます。準備時間20秒、解答時間60秒です。

【Speakingの目標点数】
60点を目指すなら→12〜15点
80点を目指すなら→15〜20点

Writing

自分が受験した時と問題が違う(TOEFLの現在の形式は2023/7月末〜)ので、改めて調べ直した現在の形式でお話しします。
問題は2問で、"Academic Discussion"と"Integrated Task"です。それぞれ10分、20分の解答時間が当てられます。どちらもある程度表現の型を覚えていく感じになると思います。

  • Academic Discussion
    まずReadingを行い、それに対する自分の意見展開を100 words程度で行います。どうやら従来のTOEFLの問題(Independent Task)と同じような質の問題らしいので、字数が少なくなって単純に楽になったと言っても良いでしょう。

  • Integrated Task
    アカデミックな内容をReadingで読んだのち、それについての講義のListeningをします。その上でそれぞれの要点、講義に関するポイントなどをまとめていきます。200 words前後書くことになります。

【Speakingの目標点数】
60点を目指すなら→15〜20点
80点を目指すなら→20〜25点

TOEFL対策のスケジュール

始める時期とスケジュール感覚

まず自分が取った戦略についてですが、TOEFL対策は3年生のうちに済ませることを最初に考えました。自分は4年生で卒業研究と並行して色々やらなきゃいけなかったので、4月からTOEFLに真面目に取り組めるか怪しかったからです。

具体的には、英単語自体は3年生の夏休みごろに始めてました。形式の対策は3年生の11・12月にやってました。

とはいえ、普通に研究室によっては外部院を受ける人は卒業研究を軽くしてくれるところもあります。そういう場合の目処は4年生の6月あたりまでだと思います。これはTOEFLのスコアを提出する手続きにかかる時間などを考えてもギリギリのタイミングです。
結果的に自分は3年生の12月にTOEFL1回目(普通の試験)、それからあまり多くの勉強時間は割かずに一応4年生の6月にラスト1回受験することにしたのですが、結果的には3点しか変わらなかったので1回目のスコアでも一緒だったかもしれません(笑)。

物工受験のTOEFLの立ち位置とは?

とにかく大事なのは他の試験科目(特に物理と口述)の対策の足を引っ張らないことです。結局のところ、一番大事なのは物理の試験なので。
ただし、他の内部生と平等に対策できる部分でもあり英語が得意なら高得点を狙う価値があります。そういう場合は出来るだけ早く対策して1回目の試験を受けるのがいいと思います。

もしも記事公開時点(4/16)で4年生で「TOEFL対策とか全く考えたこともないんだけど〜」みたいな人なら、TOEFLに大量の時間を割くよりは6月までに70点〜80点を目指して決着をつけるぐらいが理想でしょうか。

東大院 物工/理物のTOEFL対策

TOEFL対策の要点

前節で述べたように大事なのはいかにコスパ良く(時間をかけずに)勝負するかです。そこでとにかく大事点が以下の3つです。

  1. 英単語を早急に叩き込む

    英単語帳はかならずTOEFL向けのものを使うようにしましょう。普通の大学受験用・TOEIC用の内容ではダメです(下の方におすすめの単語帳は貼っておきます)。
    これはTOEFLで出題される内容はとにかくアカデミックなトピックが多く、それに合わせた語彙を手に入れる必要があるためです。
    もし文法に不安が(普通大学受験で使う範囲が分かっていれば不足はないはずです)あれば、文法学習は自分の好きなやり方で良いと思います。

  2. 形式をしっかりと把握して個別に対策する

    TOEFLの4科目は、全く違う試験を4回やらされてるのと同じです。それぞれの形式に対して個別に対策していく必要があり、そのための演習が欠かせません。
    TOEFLは専門科目(物理や数学)と違って探せば色々なメソッドが出てきます。TOEFL110点以上!みたいな上級者向けのテクニックは不要ですが、少し調べてみて(その際、まとめて探すより「TOEFL Speaking」などのように範囲を絞ると良いと思います)対策を個別に立てましょう。

  3. 演習(アウトプット)メインで勉強する

    特にSpeakingとWritingはどれだけ知識を詰め込んでも上手くなりません。ひたすら実行あるのみで、解く問題を増やしていく方が良いでしょう。
    この「演習量の確保」が最大にして最難の問題です。とにかく過去問とか値段的に高いんですよね。自分のおすすめは中国TPOを用いるやり方で、いずれその方法も詳しくご紹介(たぶん調べれば他の人のNoteとかも出てくる)しようと思います。

使った単語帳

英単語帳に関しては特別なこだわりがない限り普通に3800を使えば良いと思います(大体の人に英単語帳のオススメを聞くとこれって言われます)。少なくとも単語帳だけは、もし持ってなければ今すぐ買った方が良いレベルです。
Rank1〜4まであるんですが、全てを網羅する必要はなくて必要な点数に合わせて勉強しましょう。大抵はRank2か、余裕があればRank3ぐらいで十分です。

おわりに

この記事はとにかく「物工受験生がTOEFLを受ける」という目線で書かれています。他の大学院でもTOEFLを使う方はいるとおもいますが、試験の配点はよく考えて対策するようにしましょう。
物工を受ける場合、メインは専門科目。それを前提にした計画を立てていくことが何よりも大事です。

今後、TOEFLに関してもより具体的な内容(演習の方法や、対策スケジュールの例など)を紹介していこうと思います。これを読んでいるあなたが来年の1年生物工学生として同僚になっていることを祈っています。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?