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【勾配フェチの坂の話】このドーナツ型の凹みがあると、それは激坂確定のサインです!

こんにちは!坂好きの副偏集長の外山田です。趣味がトレイルランということもあり、急勾配の激坂を見つけると駆け上がりたくなるオカシな志向性を持ち合わせている勾配フェチでもあります。

さて、そんな激坂好きの私にとって、初見の坂でもそれが激坂なのか、そうではないのか、一発で見分けるノウハウを持っています。せっかくなので(何がせっかくなのか…)、そのノウハウを余すことなくお伝えしようと思います。

その名を『真空コンクリート舗装』と呼ぶ

急勾配の坂によく見るOリング

街中で、この丸いドーナツ型の凹みをした道を見たことはありませんか? すべり止めの「Oリング」と呼ばれるそうですが、これこそが激坂のサインです!この形状をした坂道を見つけたら、そこは100%激坂です!

道路は通常、アスファルト舗装だと思うんですけど、これはコンクリート舗装なんです。コンクリートの舗装路を見かけたら「もしや、ここは激坂か?」と疑ってかかると良いでしょう。さらに、そのコンクリート舗装に丸いドーナツ型の凹み「Oリング」があれば、激坂確定です。

この「Oリング」があるコンクリート舗装のことを『真空コンクリート舗装』と呼びます。では、なぜ激坂はアスファルトではなく、コンクリートなのか?

激坂にアスファルトが無理なわけ

これは典型的なアスファルト舗装の動画です。

路盤をしっかりと整地したあと、アスファルトを敷き詰める工程になりますが、その時に活躍する重機が「アスファルトフィニッシャー」で、大きさによりますが、重さ5トン以上あります。

アスファルトフィニッシャーでアスファルトを敷き詰めたあと、アスファルトを押し固めて道路を整地する重機が登場します。「ロードローラー」です。

ロードローラーは、大型の車輪とその重量合わせて6トン~16トンで押し固めるので、アスファルトフィニッシャーより重くなります。この重量が激坂でのデメリットになってしまうのです。激坂を登れません!激坂を下ったら危ないです!

整地用ローラー"コンダラ"(Wikipediaより)

ロードローラーには、グラウンドの整備などに使う手動式のローラーで「整地用ローラー」もあります。俗称として「コンダラ」とも呼ばれるものですけど、重さは500kgくらいあるそうで、リヤカーのように牽引するのではなく、押すのが正解だとか。

激坂で500kgのコンダラを人力で押せます? 激坂の下りで勢いのついた500kgのコンダラが暴走したら死人がでます!

つまり、アスファルト舗装特有のローラという機械で材料を締め固めて仕上げる工法が、激坂では不可能になってしまうのです。そこで編み出されたのが『真空コンクリート舗装』だったのです。

それでは、株式会社フロアエージェントさんの真空コンクリート舗装施工動画を貼っておきます。


激坂の定義

東京都世田谷区岡本の富士見坂(岡本3丁目の坂道)

では、どのくらいの勾配からコンクリート舗装が採用されるのでしょうか? 各自治体によって違いがあるのかもしれませんが横浜市の「都市計画法による開発許可の手引」によると、勾配が9%を超えるものは、原則としてセメント・コンクリート舗装又は滑止め効果を有するアスファルト・コンクリート舗装とする。と書いてありました。

9%とは、水平に100m動くと9m上がることを意味しますが、実は坂の街・東京の激坂をご紹介すると、こんなラインナップになります。

・まぼろし坂(品川区/29%)
・富士見坂(豊島区/25%)
・のぞき坂(豊島区/23%)
・鉄砲坂(文京区/23%)
・闇坂(新宿区/23%)

ちなみに、日本一急勾配の国道激坂と呼ばれているのが、東大阪市にある国道308号線の峠道「暗峠(くらがりとうげ)」と言われています。ヤマハ電動アシスト自転車PAS激坂チャレンジNo.1による簡易測定だと、最大斜度26度(48.7%!)だったとか。

国土の70%が山林と言われる日本は、高低差天国であり、激坂のデパートでもあります。あなたの近所に名もなき激坂が埋もれているかも! 

走る人も、走らない人も、車やバイクでも、アシストが付いていようといまいと自転車だったとしても、心のギアを一段上げて(車両ならギア一段下げて)激坂を登ってみてください。そして、施工した方々への敬意もぜひに!

文責:副偏集長 外山田洋
フリーの編集者 兼 ライター/デザイン制作会社のプロデューサー/ラジオパーソナリティ・MC などと、落ち着きのない仕事感をごちゃっとカバンに詰めて、雨のちハレの精神で生きる人です。趣味はトレイルランニングと農業。土木は門外漢。