名古屋グランパスVS京都サンガ

8/7 サンガスタジアムにて

中断を経て、再開したJリーグ。
中断明けに快勝した記憶はあまりなく、
しかし前半、パトリックの古巣への2発の恩返し弾によって、
淡い期待を抱いたのも、束の間。
まさかの逆転負け。
振り返ってみよう。

前半

スタメンとベンチを見て、
ユンカー復活はうれしいが、永井はまだ戻れないのか。
ハチャンレはベンチか。若手もいないな。
と思ったわけですが、
試合後のコメントで
「失点した後に、声を出せる選手がいない」というコメント。
永井の不在が大きな痛手となっているわけで。
それ以外にも、ハチャンレを最初から使わないというのも
気にかかるところ。

そして試合は始まります。

前半5分と早い段階で、またしても相手GKへの
バックパスを奪ったパトリックが先制。
デジャブのようなシーン。
そして19分にも右からの大きなサイドチェンジを経て、
左サイドからのクロスのこぼれ球をパトリックが決める。
ストライカーのお手本のような嗅覚を見せました。

得点シーン以外にも、チーム全体がボールを奪ったら、
前へ前へと、積極的に上がっていくシーンも見られましたし、
効果的なサイドチェンジから攻撃に移るシーンも見られ、
パスがつながり、人が動くサッカーが展開され、
中断前の柏戦、神戸戦で見られた、
若干上り調子にあったところが、
更にブラッシュアップされた感じ。
攻撃回数も格段に増えてはいました。
山岸、中山も積極的にシュートを打ちますが、得点にはならず、
「2 VS 0」で前半を折り返します。

後半早々の退場劇

後半開始早々に頭でボールを落として、裏抜けしようという場面で
内田がボールに触れようと、足を高く上げてしまい、1発退場。
この場面、足を上げた内田も悪いですが、
京都の原がそのまま胸でもいけたであろうところに、頭を下げてきた。
内田と原が5分5分の状態かと言えば、
内田のほうが先にボールコントロールの状態にもっていこうとしており、
原は後から身体を入れてきたとも言えないシーン。
内田が足を上げずに、そのまま原と交錯したとしても
DOGSOを取られてしまう可能性も大きく。
ペネルティーエリアの外での出来事だったので、
VARでの判断ともなりそうなところですが、
原という選手が1枚上手だったというか、
CBが本職ではない、内田の経験不足。
体躯という意味での差を埋めようと、
彼なりに選択した精一杯のプレーだったとといったところ。

ウッチー

世間的に、ウッチーと言えば、
内田篤人が出てくるかと思いますが、
グラ推し的には内田宅哉です。
加入当初は長谷川健太監督についてきた選手という感じで、
エコ贔屓か!とも思っていました。
本来は左サイドを得意とする攻撃的な選手。
グランパスに加入し、強度の高い守備を求められる展開に、
一時期はなかなか出場機会にも恵まれず、
このまま、FC東京に戻っていく、
もしくは他チームへ移籍していくのかとも思っていました。
しかし、昨年中盤あたりから、以前の軽い守備から一変し、
守備強度の非常に強い、頼もしい選手へと変貌していきます。
元来のテクニックと守備強度の高さ。
そして、なにより様々なポジションへの適応能力の高さ。
サッカーIQの高さが彼の魅力であり、
スペシャリストの多いグランパスというチーム内において、
そのポリバレント性の高さから、和泉同様に
チーム内の穴を埋め、チームをチームとして繋ぐ欠かせない存在に。

ハチャンレは使われないのか?

CBが主戦場という選手であれば、
一発退場となりかねない、
今回のようなプレーは選択しなかったかもしれない。
そういった意味で、内田だけに責任があるとは言えないし。
なぜハチャンレがスタメンでなかったのか。
ハチャンレがCBの真ん中に入って、右CBをケネディが務めていれば、
フィジカル的にも同等な原選手にも対応できたのではないか。
試合後、監督のコメントで「声を出せる選手がいない」というところに
引っかかりを感じているわけだが。
今シーズン、キャプテンはランゲラック。
DFの中心にはハチャンレを軸にしていたはず。
監督が言っている「声」というのはどうゆう意味なんだろうか。
チームを鼓舞するという意味なんだろうか。
それでいけば、日本語を母国語としていない選手を
キャプテン、軸としたことも考慮に入れてチームを編成しなくては。
おそらく今シーズンは「永井」が
その役を一手に担っていたのかもしれない。

移籍してしまった選手たち。
中谷、丸山。そして米本。彼らの存在が本当に大きく感じる瞬間だった。

今年のEUROからは、
試合中に審判とコミュニケーションを取ることが出来るのは、
キャプテンのみとルール変更されている。
これはJリーグでも同じようなシチュエーションが見られ、
試合中にアクシデントやトラブルが発生した場合は
キャプテンと審判がコミュニケーションが取られる。
単純にキャプテンがフィールドプレーヤーであれば、
試合中に審判に駆け寄って、コミュニケーションを取るという行為が
行いやすいと考える。
そして、海外からの審判でない限り、日本人の審判で試合は進められ、
そのコミュニケーションはやはり日本語で行われるだろう。

この試合、審判の判定には若干不可解なものもあった。
森島が受けた肘打ちに対しても、カードは出てしかるべきだろう。
勝手な解釈だが、アディショナルタイムに
やたらとグランパスのフリーキックがあったのは、
そこに引け目を感じている
審判の采配であったのではないかとも感じてしまう。

内田が退場するレッドカード以降、
試合が荒れていた。
それはどちらかに偏ってということではなく両チームともに。
グランパスがチームとして、どう立て直すのか。
そこには熱さではなく、冷静さも必要だったように感じます。
内田が退場してから、1点目の失点をするまで、約10分間。
チームとしては、交代枠を使い、ポジションを調整し、
セットプレーから惜しいシュートを数本放つことが出来た。
タラレバはないが、この場面で椎橋、森島のシュートが決まっていれば、
試合の展開はここまでひどくならなかったように思う。

これは前半のシュートでも言えることで、
山岸、中山のシュートが入っていれば、スコアは 3 対 0。
内田は無理をして足を上げることなく、
退場することもなかったかもしれない。

チームとして、
ボールよりも前にパスコースを作る動き、
攻撃回数を増やす。
シュートを打つ。
こういった好循環はできるようになってきている。

1失点目の中山の守備が軽いと言われているが、
彼にそれを求めるのか?
彼には攻撃を求めていたはず。
軽い守備という結果論ではなく、
彼が何を描いていたのか。
多くの選手が相手陣内に攻め込んでいた場面で、
彼はそこで奪って、カウンターを狙っていたんだろう。
なにより、彼の足があったから、
あの場面で相手選手に詰めていけたんだ。
1人退場者が出て、1点返されたって、
前半に2点取っているんだという事実を
もっと評価しようよ。
きっと京都は前がかりになって、
DFラインの裏には広大なスペースが広がってくる。
そんなときにはもってこいの選手。
ユンカーがベンチに控えているじゃないか。

グランパスベンチ

グランパスベンチもあまりにも受けに回りすぎた思考に
陥っていなかっただろうか。
ハチャンレを投入して、DFラインを5枚で形成するのであれば、
サイドが上下動を繰り返すような戦い方ではなく、
低めのDFラインを形成して、クロスを跳ね返し、
椎橋、稲垣のどちらかを重廣もしくは菊池に代えて、
中盤でしつこくボールを追い回し、
相手DF裏にスペースが生まれてきたら、ユンカーを投入。
奪ったボールを素早く広大な裏のスペースへ流し込み、
ユンカーの足を活かす。

前半でも、DFラインでボールを回し、
ボールの出しどころがなくなったときには、
割り切ってサイドの深い位置に蹴りだしていたじゃないか。
監督は「声の出せる選手がいなかった」と言っているが、
グランパスのベンチ自体も
京都優位の空気に飲み込まれていなかっただろうか?
ピッチの中の様子は良く見えていても、
ベンチの中の混乱ぶりを当人たちが見えていなかったのかもしれない。

鯱の大祭典

さて、ここからグランパス、夏の一大イベント「鯱の大祭典」が始まる。

普通にやれば、今のグランパスは勝てるだろう。
普通というのは、奇をてらわないということ。
選手を最も適性の高いポジションに配置して、
選手の特徴を生かした戦術をもって試合に臨む。

やったことのない選手にサイドを任せたり、
CBをやらせたりということではなくね。
それは選手を信じるということでもある。
選手がいないということでなら、仕方ないが、
本職のCBがいるのに、
他のポジションの選手がそこを任せられていたら、
選手のプライドは傷ついてしまう。

私が望むスターティングイレブン。
GKはランゲラック
CBは左から 河面、ハチャンレ、ケネディ
ボランチは椎橋、稲垣
右WBは和泉、左WBは中山
2シャドーは山岸、榊原
1トップはユンカー。

森島不在となる次節。
その穴はドリブラーの倍井ではなく、
意外性のあるパスが出せる榊原に期待したい。
もしくはユンカー、榊原ではなく、パトリック、重廣を先発させ、
後半、名古屋の暑い夏になれていないヴェルディがバテてきたところで
倍井、榊原、ユンカーを送り込み、
相手DFラインをズタズタに切り刻むというのも面白いだろう!
現地観戦できるかできないか、まだまだ未定ですが、
週末を楽しみにしています。

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