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世代屈指の勝負 vs 尚志

【プレミアリーグEAST最終節プレビュー】
12/3(日)プレミアリーグEAST最終節 vs尚志(3位)について、ここにおいておく。これはプレミアリーグ最終節でヤンフロのリーグ優勝がかかった試合であり、また尚志という今冬の選手権優勝候補と今国内で勢いのあるクラブユース・川崎フロンターレU18がバッチバチの喧嘩試合を展開するかもしれないという、非常に重要かつサッカーファンからしたらヨダレが出てしまうほどの楽しみなゲームである。紹介する、この試合の面白さを。いざ。


この試合の意味

首位・青森山田(勝点46)とは勝点2差の44と2位に位置するヤンフロ。この最終節で優勝が決まる。ただ、尚志も勝点は同一の44。上位3チームに優勝の可能性がある。

(チーム/勝点/得失点)
青森山田 46 +27
ヤンフロ 44 +41
尚志   44 +25

ヤンフロが優勝するためには、シンプルに勝つしかない。その上で青森山田が引き分け以下になることが条件。得失点差で十分な差があるので、青森山田が引き分けでもヤンフロが勝ちであればヤンフロの優勝だろう。ただ、尚志にも優勝の可能性はヤンフロ同様にあり、バッチバチの試合となる。

同時刻で行われる青森山田の試合にも触れておく。青森山田の対戦相手は、FC東京U18。FC東京U18の今シーズンは、非常に苦しいシーズンだったか。21戦5勝7分9敗の9位。ただリーグの残留は決まっているので、試合のプレッシャーがあるのは青森山田なのは間違いない。最終節FC東京U18のホームで試合ができるのもポイントか。直近、青森山田が勝点を落とした試合は昌平戦と尚志戦だが、それはどちらも青森山田からしたらアウェイの地。またFC東京U18は、前半戦の青森山田ホームでの試合では2-0と勝利している。先日のU17のW杯や少し前のアジア杯でも大活躍した、MF佐藤龍之介くん、DF永野修都くん、GK後藤亘くんらがいる。前半戦の青森山田戦で2Gを決めた吉田綺星くん、前節の流経大柏戦でもゴールをあげており期待十分。この試合、実は何が起こるか分からないのだ。

リーグ優勝すると、どうなるか。プレミアリーグファイナルへ進出し、プレミアリーグWEST優勝チームと決勝戦を行うことができる。昨年、ヤンフロはファイナルへ進出したが現在バイエルン・ミュンヘンでプレーをする福井太智擁するサガン鳥栖U18に負けた。

ヤンフロは、リーグ優勝の先のその舞台に再び立とうとしている。


尚志について

さて、尚志について紹介する。

昨年の選手権では、惜しくも2回戦で国見高校にPK戦にて敗れたが、当時の2年生(現3年生)がピカイチだったのでその時点でプレミアリーグEASTの優勝候補は尚志だと感じたし、そして今回の選手権でも尚志が最大の優勝候補と見ている。

プレミアリーグWESTを含めて、そしてその他の全国の高体連クラブユースを見渡しても世代屈指のメンバーが揃う。タレント軍団。それが尚志。

各ポジションに全国屈指の実力者が並ぶが、特にこの3選手を紹介したい。これから紹介する選手は前回の選手権でも2年生ながらスタメンに名を連ねており、また世代別代表に選出されている選手。覚えておいて損はないというか、将来Jリーグの舞台で活躍する選手だとみている。選手権の後にプロとなる選手がいるかもしれないし、仮に進学となっても4年後にJクラブが争奪戦を繰り広げるであろう選手だ。

DF市川和弥くん、世代屈指の左利きCB。CBを基本にしていると思うが、SBもハイレベルにこなす。飄々とした顔立ちだで(失礼ながら)フィジカルが強そうには一見見えないのだが、球際と競り合いの強さは抜群で必見。左足からの楔のパスやフィードはすでに一級品。今年の年明けのデンソーカップにも高校生選抜として出場し、大学生相手にも引けを取らないどころか球際で勝つシーンを見せる。プロのスカウトの目にも止まったはず。

MF安斎悠人くん、世代屈指・・・ではなく、世代No.1ドリブラーか。左サイドを主戦場に小刻みなタッチとボディフェイントで中にも縦にも力強く切れ込む。2-0で勝利した後半戦の青森山田との試合では、力強いドリブルで何度も切り裂くシーンを作り、1G1A。そう、切れ込むだけではなく決定力もありリーグ戦では5G。選手権予選福島県大会決勝でもゴールを決めている。

そして、FW網代陽勇くん。尚志出身のJリーガーといえば、アビスパ福岡の山岸祐也、東京Vの染野唯月。彼らはオン・ザ・ボールだけでなく、2人目3人目いやその先の動きについてもアンテナを張れるオフ・ザ・ボールにも長けた選手。そして、クロスへの反応がよくワンタッチで決め切れる選手。まさに彼らの後に続く選手が、この網代くんである。前回の選手権では2年生ながら初戦の徳島市立戦で2G1Aと躍動。当時「染野2世」という記事が出たが、まさにの選手。リーグ戦7G。

その他も素晴らしい選手が揃う。ボランチ神田拓人くん、川崎のFC川崎CHAMP(チャンプ)ジュニアユース出身。彼もまた世代別代表であり、先日のU18スペイン遠征も帯同。FW桜松駿くん、リーグ7Gを決めている湘南ベルマーレU15出身の選手。GK角田くん、DF白石くん、渡邊くんらも外せない。このチームに注目選手は多い。

リーグの戦績も置いておこう。21試合14勝4分3敗、得点44(12チーム中3位)、失点19(12チーム中2番目に少ない)と、非常にバランスの取れたチーム。特に失点は19と、非常に少ない。

ヤンフロ予想スタメンと両チームの特徴

スタメン予想は以下とした。
  岡崎 髙橋
岡野一    志村
  尾川 矢越
元木     江原
  土屋 由井
    濱﨑

仮にこのメンバーとした時に、ベンチは岡田くん、香取くん、八田くん、恩田くん、名賀くん、柴田くん、加治佐くん、林くん、関くん、菊池くんらで争うか。

ヤンフロは尚志と同じ勝点と勝ち数引き分け数負け数であるが、特筆すべきは得点数と失点の少なさがリーグで一番ということ。56得点15失点。素晴らしい結果である。

「では、なぜ、2位なのか」「1位ではないのか」と思う人もいるかもしれない。過去の結果を思い返してもしょうがないが、端的に言うと追いつかれた試合が多かった。試合の締め方に問題があった。4試合が試合終了間際に失点をしてしまいドロー。後半戦で改善されてきて、10試合を戦い8勝2敗。とはいえ2敗してしまっているし、前半戦合わせた3敗の相手は全て高体連(昌平、青森山田、市立船橋)。ちなみに昨年から高体連と相性は良いわけではない。

特に、この時期に高体連と試合をするのは非常に難しい。なぜかと言うと、彼らの最大の目標は選手権の優勝である。あの舞台で活躍することを夢見ている選手達だ。何が言いたいかというと、前半戦アウェイで尚志にヤンフロは3-1で勝っているが、当時と同じようにことは進まないのではないかと思っている。高体連は冬に行われる選手権に向けてチームを仕上げてくるからだ。実際、尚志の後半戦は10試合8勝1分1敗(19得点9失点)。かなり調子がいい。

と聞くと「ヤンフロ大丈夫なのか?」と思った人もいると思う。ここから、ヤンフロについても盛り返していきたい。後半戦の10試合8勝2敗と伝えたが、得点は27、失点はわずかに5である。そう、かなり調子がいいと言った尚志をも上回る内容でチームは勝ちを積み重ねてきた。特に、昨年からプレミアリーグを経験しているメンバーの存在は心強い。

スタメン予想に置いた3年生をまず紹介しよう。彼らは昨年のプレミアリーグからスタメンで戦ってきた選手たちでもある。

GK濱﨑くんはトップチームにも帯同しており、また先日のU18スペイン遠征メンバーでもある世代屈指のGK。フロサポみんなが知っていると思うが、CBにはトップ昇格のリリースが出た由井くん。SB江原くんは昨年からのリーグ戦全試合スタメン起用中。元木くんは可変をする長橋フロンターレでは欠かせないヤンフロのノボリ。ボランチには10番尾川くん、トップチームの夏のバイエルン・ミュンヘン戦でも国立のピッチに立った彼はこのチームを攻守で引っ張ってきた1人である。SHには、世代別代表経験有りの現在絶好調のアタッカー岡野一くん。志村くんはフロンタウン生田でブライトンの三笘薫から直接指導を受けたアタッカー。FW、ポストプレータイプの髙橋宗杜くんはこの1年で急成長した1人で、リーグ5Gをあげる。そしてエース岡崎くん、今季リーグトップの17Gをあげ得点王へ突き進む。昨シーズンの8Gも合わせると、2年間で25Gを叩き出している。

2年生、ボランチ矢越くんは次代のフロンターレの中盤を担えるだろうという期待の選手。CB土屋くん、U17W杯やアジア杯で活躍したヤンフロの谷口彰悟。柴田くんもU17W杯で活躍した縦への突破が力強いアタッカー。加治佐くん、今回のW杯メンバーからは惜しくも外れたが候補として入っていたこちらも縦への力強い突破が魅力のアタッカー。

そして、1年生。今シーズン試合に絡めたのはCB林くん。CBSBストッパーボランチでプレーができる。アウェイ青森山田との試合、屈強な相手にも堂々たるプレーを披露。個人的にはヤンフロの遠藤航だと思っている。

見たか、俺たちヤンフロ。
そうこちらも世代屈指のメンバーなのである。

これは世代屈指のユースと世代屈指の高体連との戦い。

ヤンフロ、攻撃がいいから守備もいいのか。守備がいいから攻撃がいいのか。「どちらと言えない」と答えたくなるのは、全員が攻守において非常にハードワークできるからかもしれない。2トップも守備をサボらず、CBのフィードもシンプルな縦に向けたものだけではなく対角線に向けて発射をし攻撃に色をつけている。全員が守備に関わり、全員が攻撃にかかわるのは今年アップデートされた。

相手を見ながら陣形を変えるのはスムーズ。右SB江原くんを押し出し、下は左から元木-土屋-由井くんでボールを動かし相手2トップに対して前進させることができる。江原-矢越-志村くんの右のトライアングルで縦を陣取ることもできれば、ヤンフロ右サイドに相手を集中させて由井くんに戻し、由井くんからスペースのある左ワイドの岡野一くんへ展開して一気にゴール前に侵入する。また前線の岡崎くんが相手のマークが付きにくいハーフスペースでボールを受けて前を向き、岡野一-尾川-岡崎くんというトライアングルでボックス侵入もできる。髙橋宗杜くんがCBを引き連れてサイド深く流れフォローに入った岡野一くんから岡崎くんでフィニッシュを狙うのパターンは何度も見てきた。

尚志は、4-4-2を基本とする。非保持は前からのプレッシングよりしっかりと陣形を整えて相手が中にボールを差し込んだ時に刈り取るようなイメージ。地上戦だけでなく、DF陣特にCBは空中戦にも強い。中盤の切り替えの早さからのボール奪取はヤンフロに近い。左CB市川くんのフィードは正確。ただ仮に跳ね返されたとしても中盤の選手のセカンドボールへの反応は非常に良いものがある。保持ではダブルボランチ+網代くんが収め落ち着かせながら、左右のアタッカー特に左の安斎くんに預けて前進するような形。単独で突破できるのはもちろん、「THE・尚志」といった、2人目3人目4人目5人目がオフ・ザ・ボールの動きをして相手を撹乱してくる。

試合立ち上がりの15分-20分はキー。まずは、先制点を与えないこと。試合1本目のシュートは先に打とう。ボールを動かされる時間帯があるかもしれない。ボールだけではなく、特に尚志を相手にする場合はボールホルダー以外にもアンテナを張っていこう。網代くんの動き出しには注意。またそのほかの選手の2人目、3人目の動きには注意。相手のアタッカーに対しては複数人で挟みにいきたい。仮に0-0で時計の針が進んだとしても、焦れずにボールと人を動かしながら、相手の隙を作る作業を続けて、隙を突こう。中央は堅いかもしれない。相手のCBとSBの間にボールを落とすのも有効だし、相手を横に揺さぶりながら、サイドを攻略していきたい。相手CBをサイドに誘き寄せながら、また岡崎くんがCBを引き連れて降りてきた後のスペースを利用するとか、頭を使いながら。大丈夫、焦れずにやり続けることでスコアを動かした試合は昨年から何度も、何度もある。仮に失点しても、下を向かない。ここはホーム等々力。青森でも、海浜幕張でもない。大丈夫。90分で勝てばいい。90分で勝てるチームだ。

プレミアリーグファイナルに進出して、またあの舞台で、昨年見れなかった景色を。でもまずそのために、この試合を勝とう。まずこの試合。


バモスよ、ヤンフロ。

そして、この状況を楽しめ!!



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