マガジンのカバー画像

とりあえず全力で ―外界由来害獣駆除班活動記録―

17
誰かが消える時、何者かがやって来る。それは、まるで世界のバランスを取るかのように。 現代社会には有り得ないはずの「幻獣」。 それらが害を成すと判別された時、「外界由来害獣駆除班…
運営しているクリエイター

記事一覧

とりあえず全力で ―外界由来害獣駆除班活動記録― 目次

ゴブリン(群生) 「発見、目視による確認」 「処理完了」 「回収、報告」 「組織概要と撤収」…

榊かえる
5年前
9

コカトリス 「サンプル回収」

 一階まで降り、静かな廊下を歩く。こぶりなコンビニが隅にあり、そこで炭酸と茶の一リットル…

榊かえる
5年前
14

コカトリス 「入院病棟(個室)」

 入院病棟のドアが、控えめに叩かれる。どうぞ、と答えたのは剣吾ではなく、真文であった。 …

榊かえる
5年前
12

コカトリス 「現場での緊急対応」

 剣吾の服に触れ、繊維を軟化させて引き裂く。あらわになったのは灰色の肌。いや、石だ。尾羽…

榊かえる
5年前
12

コカトリス 「拮抗状態」

 剣吾に突き刺さった尾羽は完全に石へと変化していた。敷地内に転がっている動物の石像と同じ…

榊かえる
5年前
15

コカトリス 「接敵、被弾、被害状況」

 言われて初めて、残りの二人も石像についている「長い何か」を注視した。 「くっついてるん…

榊かえる
5年前
12

コカトリス 「個人の邸宅、敷地内」

 異様な光景が広がっていた。  いやに精巧な石像が転がっている。猫の石像だ。驚愕の表情のまま固まった、とでも表現すれば良いのだろうか。 「キャッ」  暗がりの中、その石像につまづきそうになって玉乃が小さく悲鳴を上げた。 「タマちゃん、大丈夫?」 「うん、ありがとキョウちゃん。ビックリした……」  バランスを失った玉乃を咄嗟に支える鏡也。 「タマはアレだ、足が持ち上がってねえんだよ。何もねえとこで転んだりするのもそれだ、足。足をだな、ちゃあーんと持ち上げてねえの。筋力

番外 G 「六平氏、自宅にて」

 光にはならなかった。願いは、届かなかった。 「どうして……ッ……!」  握り締めた六平…

榊かえる
5年前
15

リッチ 「収束、その後の調査」

 砕けた赤いものから、急速に光が消えてゆく。既に朽ちた体が、糸の切れた操り人形のように倒…

榊かえる
5年前
13

リッチ 「戦闘」

 ほれ見たことか、と言う体で剣吾が真文を見やり、真文はただ頷くしかできない。なるほど確か…

榊かえる
5年前
14

リッチ 「電話にて救援要請、質疑応答」

 真文には一人、この件を解決に導く人物に心当たりがあった。五重塔の裏手から足早に歩きなが…

榊かえる
5年前
15

リッチ 「救援活動の際の囮作戦」

 干乾びた皮膚が骸骨に張り付き、眼窩に眼球は既に無く、それはミイラと呼ばれて然るべき状態…

榊かえる
5年前
15

リッチ 「特殊監視網による発見、急行」

 特殊監視網、というものがある。剣吾にはどこがどうなっているのか分からないが、ある程度の…

榊かえる
5年前
15

ゴブリン(群生) 「組織概要と撤収」

 この組織の目的は名称そのまま、「外界」からやって来た害獣の駆除だ。生け捕りできるようならそうするが、目的は駆除であるのでその限りではない。  ならば、その「外界」とは一体何か。正直なところ、分からないのだ。推測できる、としか表現はできない。  行方不明、神隠し、表現方法は色々あるだろう。ただ、突然人がいなくなるという現象があり、その代わりにと言わんばかりに別の何者かがそこに来る。このような怪現象がしばらく前から発生している。極稀に「帰ってくる」人間もおり、彼等は口を揃えて