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【日記】東京に帰って飲むピザの味

水曜、朝起きて、心地好いと思える範疇の二日酔いをシャワーで洗い流してチェックアウト。京都滞在中の三日間で最も快晴の朝で、きらきらとカフェスペースのテーブルに注ぎ込む日光に見蕩れ、フリードリンクの水を飲みながら数枚写真に残しておいた。Wateringholeのデザイナーさんがお墨付きをくれたり、ぽたさんが度々泊まっていると教えてくださったとおり、元々ゲストハウスが好きであちこち宿泊先に選ぶ中でも、ロケーションや外観、清掃周りに併設するカフェバーと軒並みクオリティが高く、自分にとってもまた泊まりたいと思えるゲストハウスになった。人生ベストオブホテルが前橋の白井屋ホテルなら、人生ベストオブゲストハウスがここLenだな、と自信をもっておすすめできる。

リリースされたばかりの令和ロマンくるま・tofubeats・VaVaのコラボシングル「交差点」をリピート再生しながら、バスで京都駅に戻り、帰りの新幹線の切符を購入してから売店の土産コーナーを物色する。交差点、強火ファンにとっては賛否両論ありそうだけども、純粋にリリックがキャリアを包括していてとても良いと思った。ティンバー履いて開くティンダー、なんて特に最高。

在籍の店Aにはスタッフと本指名の客用に日持ちする抹茶の焼き菓子と生八ツ橋を買い、自分用にほうじ茶ラテのシロップ原液を買った。ちょうどスタバの新作焼き芋フラペチーノの発売初日と重なっていたので、新幹線に乗る前に京都駅構内のスタバを探してタイムアタックで買い、駆け足で新幹線のホームへ向かった。帰りの車内では買ったばかりのフラペチーノを啜りながら(血糖値バグが起きるほど甘かったが言わずもがなめちゃくちゃ美味しかった 桜の時期と芋の時期はどれだけリピートできるかに賭けている)、旅行中飲み歩いていて観られなかった分のオモコロ、ふっくら、令和ロマンのYouTubeを観た。ちょうどオモコロチャンネルのまんがタイムきらら回がバズッていたのをXで見て、やっと動画自体を視聴でき、永田の照れ臭そうだけど嫌ではなさそうな演技に思わず笑いがこぼれかけた。

昼過ぎに東京へ着き、そこから約30分ほどかけて最寄り駅へ帰還した。フジロックのときは現地との気温差に驚いたのだが、京都と東京はどちらにせよ暑い。家に帰ってからシャワーを浴びて洗濯を回し、客への土産をひとつずつラッピング袋に個包装して、それからは旅の疲れも相俟って家でだらだらと過ごした。

思い返せば20歳前後の頃に付き合っていた人が京都出身だった。自分より6個離れた人だったので、もう30過ぎということになる。とても優しく穏やかで、抜けきらない京都弁が可愛らしく、また料理上手でその人と付き合っている日々は自分の恋愛人生でほとんどベストオブロマンスと言って申し分なかったのだけど、自分が同じ熱量で注いでいた音楽愛を理解してもらえずに別れてしまった。今も連絡先を知っていれば久しぶりに会いたいなと思うのだけど、連絡先はおろかSNSの一つだって見つけられないままだ。主夫業を喜んで引き受けるようなホスピタリティに溢れた人だから、多分今はもう結婚していたり、子供がいたりするんだろう。そういう意味で、京都にはほんのささいな思い入れのようなものがあって、今回の旅行で塗り替えられたじゃないけど、一つ今の自分を形成してきた過程について見つめ直すための契機として意義のあるものだったように思う。

18時を過ぎたあたりで肉麦へ行くと、見覚えのないスタッフの男性(ヘルプで来た社員の方らしい)と見覚えのないカウンターの景色(店長の伊藤さんが少し改変したらしい)が広がっていて、一瞬本当に夢を見てるのかと思ったがすぐにキッチンからいつものスタッフのMさんが久しぶり〜と出てきてくれて夢ではないのだなと安堵した。皆で食べてくださいと客へのお土産の個包装分から余ったのを渡して、ハーフグラスでtotopia brewingのサワーIPAを飲む。京都三昧のビールを飲み続けていたので普段飲み慣れている場所とブルワリーのビールが心地良い。

飲み干してから会計し、そのまま夕飯の食材を買って帰宅した。ストックしてある出汁のもとを消費するためすだち風うどん。缶ビール開けながらだらだらと食べ、23時頃に寝た。

木曜、オフ。朝起きて、面接準備をする。午後の早い時間にエントリーしていた企業の二次面接がオンラインで実施され、可も不可もなく終えられた。フゥーーーと胸をなでおろして、図書館へ行き、借りていた本を返却した。六冊借りたが、全部は読み切れなかった。もっと子供の頃のように活字に集中したい。

そういえば、某雑誌の記事の盗作疑惑について旅行後に出版元ないし編集部へ抗議のメールを送ったのだが、その返信が編集長より届いていた。内容を要約すると以下の通りである。

・ライターは「特に参照した覚えはない」と言っている
・編集体制として内容についてはライターに一任しており、担当編集は書かれた文章の類似確認を行うことはない←?
・ということで、編集長判断としては盗用に当たらないとしたい

エンタメ系ウェブマガジンの編集者として四年半勤め上げた身として、また自分が大卒であれば出版業界に進みたかったと願っていた身として、文字通り肩を落とすほど残念、いや呆れた返答だなと思った。だから紙媒体は廃れていくのではないか。それ以外の部分(特集全体として細部までスポットを当てているところ)が非常に良い印象を持っただけに、やるせない気持ちになった。

それ以上の抗議はいくらあがいても無駄だと悟り、返信するのをやめた。後日近所に住むビアギークの女性から聞いたが、たまたま件のライターの方が近くのビアバーに来ていて、ビールはあまり詳しくなくて、と話していたらしい。明るくなかったら尚更既出記事見て情報収集したりするだろ、普通。温厚まではいかないまでも普段ほとんど怒ることがない。ただこの件に関しては腸が煮えくりかえっており、数年振りの怒り心頭案件となった。

深夜にインスタグラムを開いたらBALMUNG公式が何やら騒がしい。見るとSoundcloud発の宅録アーティスト周辺をモデルに起用した25AWのショーを関係者向けに開催していたらしい。著名なところで言えばCwondoのやや伏し目がちな表情とパッチワークのようなスタイリングの融合が良かった。一通り見て、自分もせっかく死ぬ思いで手に入れた容姿と道産子に間違われるほどの白い肌を持っているのだから風俗仕事以外の場で活かせたらいいのに、などと戯言を少しこぼして、寝た。

金曜、朝起きて店Aに行く。今日で4回目の指名客が遅い時間に来るというので出勤時間を延長した。差し入れにデパ地下のいなり寿司をもらったが、米は食べないので事務所に戻ってからスタッフにあげた。退勤して、急ぎ足で電車に乗り下北沢へ向かう。ロンドンから帰国した友人と、仲の良い共通の友人とその彼女(初対面)で飲み会。金髪ロン毛がシティ感を演出していたロンドンボーイはフレシノみたいなスキンヘッドに刈り上げていて、実際目の前にして驚いたがおそらく顔の形が坊主向け(?)なので見慣れるのは早かった。いつも集まる場として使っている三日月ロックで2時間半ほど互いの近況や友人カップルのあれこれについてよく喋った。自分に持ちネタがないのでお客さんのことを好きになったという話を無理くり絞りとって話した。話していたそばから次はいつ会えるんだろうかと思った。

ビールを3杯とレモンサワーを1/2杯飲んで店を出る。何故だかわからないが、久しぶりにチェーンスモーカーを発揮してしまって、これだけあれば十分と思っていたのが空になったので途中ファミマで新しく買い足した。駅前でチューハイを片手にまたしばらく駄弁り、尿意か、終電か、みたいな具合になったところでお開きとした。会話の流れで、今度相撲を観に行こうぜとなった。野球は恋人と、相撲は友人同士で、みたいなイメージ。

23時半頃家に着いて、歯は磨いたが風呂を諦めてベッドに潜り込んだ。件の盗用についての愚痴をXにポストしたら思いの外リアクションがあって、これ実名出してたらさぞかし燃えただろうな...と思った。1時過ぎに寝た。

土曜、朝起きるもなぜだか胃の調子が悪い。というよりかは絶望的に気持ち悪い。昨日はビール3杯とレモンサワー、チューハイしか飲んでいないのになぜ、と不思議に思いながら、様子見つつ支度してとりあえず家を出る。あ待ってやばい吐きそう。新宿に着いてから店に遅れますと連絡を入れ、店の最寄り駅付近の商業施設のベンチで20分ほど休んだ。京都旅行では散々ハシゴ酒をしたけど気持ち悪いほどの二日酔いには至らなかったのに、なぜ?焼酎が悪かったのか、それともフードの油がきつかったのか。少し収まってから出勤した。本指の客を二人受けて、今日はほどほどにしたいなと思って予定より早く上がった。

家の最寄り駅まで戻ってそのままLaundryへ。約半月の夏休み明け最初の週の営業で、行かない理由がなかった。半月ぶりに顔を合わせるイワサキさんと、久々に会うアル中と話す。旅行の土産話とかを展開した。うちゅうのマンゴースムージーを飲み干して家に帰り、サラダチキンとストックの煮卵、コロッケを食べながらトークサバイバーを途中まで観て寝た。

日曜、朝起きて店Bへ行く。2ヶ月ぶりくらいに会う客が予約してくれたが正直全然会話の内容を覚えていなくて探り探りであった。もう白井屋ホテルに連れて行ってくれた本指も連絡がなく切れそうだし、この店については辞めようと思う。スタッフの対応や設備環境については全く問題ないのだけどいかんせん集客がなくて時間を浪費することが多いので、うんざりしてしまう。退勤してからLaundryへ。半月ぶりの健さん。最近うまくやってる?と聞かれてぼちぼちです、と答える。店の休暇中はあえてこの街以外の店を開拓していたが、やっぱりここがアナザースカイだなとしみじみ思った。拠り所として自分に適合しすぎている。感触で言えば「柔らかい」場所だなと思う。

下北のTDM1824を冷やかしてボトルを2本買い、ケンタッキーの月見セットと共に夕飯とした。最近高カロリーな食事が続いていて少しざわざわした。でも食への(摂食的ではない意味での)執着は諦めたくない。元々が63kgあるデブだったので食いしん坊のポテンシャルだけは人一倍あるのだ。トークサバイバーの続き観て、23時頃に寝た。

月曜、朝起きて店Aに行く。12時から22時までの出勤で、なんだかわけがわからないのだけど忙しく完売だった。5人接客して4人目までは仲の良い客や落ち着きのある新規客で良かったのだが、5人目の爺さんが癖強系で50分間のコースが3時間に感じられた。コスプレのオプションをつけていたのはいいのだが、持参の女性用下着(それも明らかに新品ではない)を履いてほしいと強請ってきて、他にも色々と嫌だった理由があるのだけどドン引きした。事務所に戻ってスタッフにそのことを伝え、自分以外の女の子が同じ被害に遭わないよう注意勧告を促した。23時過ぎに帰宅して、サラダチキンと煮卵を食べ、寝た。

火曜、朝起きて店Aへ行くも暇。店Bへ行くも暇で気づいたら夜だった。昨日の忙しさはなんだったんだという具合には無風だった。サラダチキンと煮卵を食べて寝た。

水曜、朝起きて店Aへ、今日は取り返せるかと思ったが今日とて予約がなくやる気が削がれる。旅行前まではかなり順調に指名が入っていたのに、京都から何かヤバいものを憑けて帰ってきてしまったのだろうか。夕方に退勤して明治神宮前のハラカドへ。東京ビール界隈といういかにもシティなタイトルのイベントが催されていて、サイカドブルーイングのゴールデンエールをプラカップで飲みながら原宿を一望していた。イベント目的の人々のそばでホストが宣材写真の撮影をしているのがシュールだった。飲み干してからIKEAへ行き、ハンガーを買い足す。それから下北へ寄り道して、ずっと狙っていたインクホーンブルーイングとTotopiaのコラボサワーIPAを買った。帰宅しながらXを見ると、LAD MUSICIANのファッションショーにsyrup16gがライブ出演するとのこと。

帰宅してから急いでシャワーを浴びて視聴した。正常、ハピネス、不眠症、ほぼワンマンなのではと思ってしまうような豪華セトリ。フジロックでは観られなかったので嬉しかった。買ったサワーIPAはシナモン控えめのとろりとしたブルーベリー風味で美味しかったが食事に合わせるべきではなかったなと思った。セブンのナムルと京都駅で購入した志津屋のカルネを食べて寝た。

木曜、オフ。店に出勤しても暇な日が続いているので贅沢するのはいかがなものかと思いつつ、ずっと行きたかったのだからと気持ちを奮い立たせて気になっていた近所のピザ屋へ予約のDMを入れた。この店も昨日まで夏季休暇を取っており、店主はポートランドへ旅行していたのをインスタのストーリーで閲覧していたので「休暇が開けたら真っ先に行こう」と心に決めていたのだ。何もしてない奴が贅沢しちゃダメだからと蓋をしてせっかくの機会を逃す癖、なくす必要まではないと思うけどできる限り治したい。

スタバのパンプキンラテをショートサイズで頼んだら試飲ですか?ぐらいのカップで出てきてびっくりした。ロンドンのスタバではトールサイズでもお腹がタプタプで残してしまったくらいだったのに。午前中はネイルに行き、春画ネイルからロキソニ出演の決まったDath cab or cutieとエンドウアンリの新プロジェクト・grape kikiのネイルに変えた。その足で美容院をハシゴ。9月もじきに半月経つというのに汗が吹き出るほど暑かった。ここ最近で一番短いショートヘアに整えてもらい、一度家に帰ってタブレットを起動させ作業をする。18時過ぎになってシャワーを浴び、身支度を整えてピザ屋の前にLaundryへ。予約の時間まで暇を潰し、歩いて参宮橋方面へ向かった。

店に着くと痩せた金髪の店主がご予約の、と察してくれて席へ案内してくれた。こじんまりとしているが洗練されていて、木曜の早い時間なのに席はほとんど埋まっていた。まず最初にポートランドのブルワリーのサワーエールを頼んだのだが、これがびっくりするほど自分好みの酸味とフルーティーさでおいしかった。食べてみたかった野菜の釜焼きは店主のご配慮で一人前にしてもらったが、口の中で溶けるほどの食感であっという間になくなってしまった。次は通常盛りでお願いしようと決めた。

レコードで流れるtoeを聴きながらメインのマルゲリータを待つ。だんだんと人が掃けて店主とのほぼマンツーになり、音楽お好きなんですねと話しかけるとこのLPはポートランドのレコ屋でたまたま見つけたんです、と手に取らせてくれた。音楽もビールも好きな人に来てくれて嬉しいです、と喜んでいただきこちらも嬉しくなる。

やがてピザがサーブされて、しっかりお腹がリセットされていたので熱々の状態を手づかみで食べる。もちもちとパリパリの両方を味わえる生地の食感、最低限の具材と主張しすぎないがこだわりを感じるフレッシュなトマトソース、これは「飲めるピザ」だなと確信した。ピザ一切れにつきすいすいとビールが進むので、それを見てかメニュー表にないビールを在庫から出していただいた。あれよあれよという間にたいらげて、まだ少しお腹に余裕があったのでハムステーキを一人前で注文する。こちらも肉厚ながらくどくない脂で大変美味しかった。一人で来たのにそこそこ良い値段の会計になってしまったが、想像を上回る食体験で、またすぐにでも、というか月に一回とか定期的に来ようと思わせてくれる店だった。帰りはタクシーを拾い、家に着いてから風呂をキャンセルしてそのまま寝た。