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【日記】99.1の確率

金曜、明け方にソファで目が覚めてから二度寝したせいか、寝起きが悪く、おまけに内容こそすぐに忘れてしまったものの、「好きだった人」が夢に出てくるという特典が付いて朝から情緒が落ち着かなかった。部屋の掃除を済ませて美容室へ。カラーとカットをしてもらったがずっと眠く、あくびが止まらなかった。担当の美容師さんに「ほとんど地毛に戻ったね」と指摘される。本当はまたギラギラにブリーチがしたいけど、副業先でのイメージ維持のために我慢している。次にやるのはまたフジロックの前後だろう。真冬の寒さがぶり返して芯まで冷え込む日だったが、少しでも春を纏いたくてピンクベージュに染めてもらった。

一度家に帰ってベッドへ潜り込み、少し休憩したのちにまた支度をして家を出る。Aちゃんと肉麦で開催されているTeenage Brewingのタップテイクオーバーに行く約束をしていた。夕方から合法的に酒を飲める幸せ。寒さを除けば100万点である。今度仕事でも関わらせてもらう予定なので、ブルワーの森さんに改めてご挨拶をした。バンドマンでブルワーでライブハウス運営も展開している、物腰柔らかく器用な人だ。

ティーンエイジのビールは平均度数が8.5%と高めなので、醸造所のあるときがわ町産の野菜を使用したフリットなどを肴にしながらゆっくりと歓談しつつ飲んだ。気づけば夜になっていて、ハーフパイントを計4杯飲みかなり酔いが回った。Aちゃんと場所を変えようとなって、コーヒー屋に行くつもりだったが、寒すぎてそこまで足が伸びず、LUGに突撃して1杯だけ飲み、名物のスキレットオムレツで身体を暖めた。わりと酩酊しつつもなんとか会計を済ませて解散。家に帰り、耐えきれずカップ麺の中本を食べ、ベッドのシーツに赤い汁をブチ撒けて絶望に浸りながら寝た。開始が早かったので、こんな風にだらだらと時間を浪費していても寝入りは確か21時半か22時頃だったから、深夜2時に中途覚醒してそのまま朝まで眠れなかった。漠然とした不安からネットサーフィンをする手が止まらなかった。

土曜、朝10時頃に体を起こして支度する。久しぶりの快晴。好きだった人の夢が脳裏から離れず、どうしてこんなタイミングで、と困惑しながら、自分の今の心境を整理するために筆を執った(スマホのフリック入力で書いたのもあって、稚拙で取留のないものになってしまったけど)。記事内にも記したが、自分が本当に大切にしている記憶というのは色褪せずにいつまでも覚えているものだ。そして、自分はまだ彼のことが諦められていない、ということをここに認めたい。あまりにも救いのない片思いだし、今の彼氏にはとても酷なことを言ってしまうが、彼ほどの人を超える男性には生涯通して見ても易々と出会えそうにない。そんなことばかり言って、いつも目の前の相手から距離をとって、終着地のない恋愛を繰り返してしまうのだけど。あの穏やかな眼差しと、ちょっと皮肉を効かせながらもユーモアに富んだ言語感覚と、いつも同じ目線に立って話してくれる姿が本当に好きだったし、今でも同じ熱量で恋焦がれている。本当に呪いをかけられているのはどちらだろうか。

夜、コーヒー屋へ。イワサキさんは休みらしく、いつも通り健さんの日だった。ノーゲスになったタイミングで「来年からイギリスに住もうか悩んでて」と人生相談をした。そう来ることはわかっていた、むしろそう言ってほしくて聞いたまであるが、健さんの答えは無論「99.1行った方がいい」だった。必ずしも良いことばかりではないと思うけど、という意味の0.9残し。50代に差し掛かる寸前の健さんは、人生でやり残したことの一つが海外経験だと言っていて、今行けるチャンスがあるなら行かない手はない、日本での生活に浸かってばかりいないで選択肢を広げて欲しい、と言っていた。天下のBEAMS出身で、30代で独立した健さんの言葉には強い説得力がある。遠くの友人より近くのコーヒー屋だな、と思うなどした。

もし来年、YMSに本当に申し込むなら、自分は今よりもっとブーストかけて働く必要がある。ただでさえ生活サイクルの異なる学生の彼氏にあまり構っていられる余裕は正直ない。でも人生という規模で考えた時に、今の関係を維持したいために海外経験を諦めるというのは全くもって論外だ。元々器用な質でもないのだから、取捨選択はどこかでしなくてはいけない。だとしたら今なのか。色々と考えながら帰宅し、簡単に夕食を済ませて、寝入りばな、件のあの人に花見前に会えないかとインスタのDMを一通送った。すぐに返事が来て、予定確認して折り返すよとのことだったので、良かったと安堵した状態で23時頃に寝た。

日曜、昨夜服用した薬が効かず、鬱々とした気持ちで起床する。夜に彼氏と会う予定だったが、心身がちぐはぐで色々と間に合ってなかったので断ることにした。夕方に渋谷で『ボーはおそれている』を鑑賞。3時間に及ぶアリ・アスターのフェチズムが妥協されず全面に塗られた変態映画。精神的ダメージ7、ゴア2、グロ1ぐらいだと感じた。監督も配給のA24も好きなので、鑑賞体験としてはさすがだなと称賛するしかないのだけど個人の体感としてはめちゃくちゃ嫌(良い意味で)だった。あんなに「早く終われ」と懇願した映画はない。最近カロリーの高い映画ばかり観ているので、もう次に劇場へ足を運ぶのはデデデデとかがいい。観客に二度と観ないと言わせるほど強烈なパンチを食らわす映画って本当の意味で良質な作品なんだと思う。熱心な映画フリークではないので、あまり熱を持って語ることは避けるけれど。

最寄り駅に着いても気持ち悪さから抜けられずに肉麦へ寄った。映画好きのスタッフの子がシフトに入っていたので、あなたの感想も聞かせてほしいと伝えておいた。長居したかったが、翌日は連休明け出社なので、トートピアの甘酸っぱいサワーIPAをハーフパイントで流し込んで会計。スーパーに寄るとキャベツ半玉が半額39円に値引きされていたので、迷う暇なく買って帰り、冷蔵庫のウインナーと合わせて焼いて食すなどした。ビールの前では金に糸目をつけない癖にスーパーで買う食材には貧乏性が出る。Threadsを眺めていたら、健さんが以下のようなことを投稿していたので、頼れる大人が近くにいる街に住んでいて良かった、と思いながら優しい気持ちで寝た。