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【日記】泣けない人には優しくない世界

*リバイバル上映中の映画『千年女優』の内容に言及しています

木曜の深夜にセブンイレブンへ行く。卵と練り物バー、揚げ鶏を買った。全然忘れていたけど三日連続揚げ物パーティーだ。しかも夜更けに、太るのかなと少しだけ不安が過る。一番搾りを買って飲んだけどあんまり美味しく感じられなかった。疲れ切っている時のビールはなぜあんなに美味いのか。味覚バイアス。辛くなって薬飲んでから2時頃に寝た。

金曜、朝起きれず。しかしなんとか間に合わせて出社。朝、駅のホームで何か音がするなと思ったら30代ぐらいの男性が電動髭剃りで髭をじょりじょりと剃りながら素知らぬ風で歩いていた。急いでいるような様子でもなかったし、あれがルーティンなのか。昼にクーリッシュのやみつき練乳を吸いながら『バビロン』の続きを視聴した。仕事、大きな原稿の校正がやっと片付いたが、以降頭が空っぽになってしまい写真を捌くぐらいの作業しかできなかった。帰り道、疲労でフラフラになりながらMomの「泣けない人には優しくない世界」を聴く。

泣けない人には優しくない世界 あなたがいるから旅は続くよ
線路の向こうでは幽霊が行進 見惚れちゃった君を抱きしめて歩き出す

なんて暖かくて心地良い歌詞なんだろうと思う。一人で閉じこもるしか哀しみを追いやる方法を知らなかった自分にさす一筋の光のようで。辛いことに直面する度、自死をした当時の親友に後ろ髪を引かれてしまう悪い癖から、だめだよと優しく振り払って手招きをしてくれるみたいで。この先も、打ちひしがれて諦めそうになる度にこの曲を聴くんだろう。同い年というバイアスも相俟って、Momが描く心の琴線に触れるリリックが本当に好きだし、リスペクトしている。

一度帰宅して重すぎるトートバックをベッドに捨て、洗濯物を適当な袋に詰め、家から徒歩5分のコインランドリーへ行く。彼氏が泊まりに来るのにタオルがないので仕方なく。そのままコーヒー屋を梯子。常連のYさんとオーナーの健さんとお喋り。バテレのヘイジーが繋がっていたのでパイントで飲む。濁っているけど口当たりクリアで癖がない。アマクサソナーの新作は数種類の果物とクッキークリーム。クッキークリーム…?とさすがに半信半疑で飲んでみたら確かに後味がオレオでびっくりした。でもベタベタした嫌な甘さはなく、ココナッツやバナナに近いジューシーな果実味が先行して感じられて非常に美味しい。計2杯飲んで、1時間ちょっと経ち、コインランドリーへ乾燥させた衣類を回収するため退散した。

夕飯はマックとビール。チキンフィレオとポテトのM。最近揚げ物欲が強い、絶対に毎回胃もたれしているのにな。1日一食とはいえ、連日遅い時間の高カロリー摂取でそろそろ太りそう。鏡に全身を映す時はいつも「太っていないよね」という確認作業の意味で見ているから、自分が例え本当に太ってしまっても気づかない自負がある。飲み直しつつYouTube視聴してたら、0時すぎにインターホンが鳴った。彼氏だ。バイト帰りでまかない持ってきてたので皿にうつしてレンジにかけてあげた。療養明けで、ライブで会ったとはいえ二人きりで会うのは2週間ぶりくらい。自分の部屋で顔を見て、改めて恋しかったことに気がついて、この人のこと本当に好きなんだなと自覚し嬉しかった。1時半ごろ寝た。

土曜、スタジオ練のため11時に家を出ると言っていたのに起きたら11時半で急ぎ支度する彼氏。朝から冷たい雨。ビニ傘渡してあげた。2時間だけの練習で終わり次第戻るということだったので、その間軽めに掃除したり、映画『バビロン』視聴したり。出かけようとしてメイクまで済ませたけど寒すぎて断念。ネトフリで映画観ながら、アマクサの缶一緒に飲もうと言っていたのに我慢できず飲んでしまった(LINEで謝った)。胃の中で消化しきれていないマクドナルドが控えめに暴れている。

夕方に翌日のライブの機材をキャスターで引きずってきた彼氏がスタジオから戻ってきて、ソファに腰かけながら少しの間雑談した。やっぱり学生のうちは家賃を両親に持ってもらってるし、できるだけ心配かけたくないから、という理由で同棲の話は卒業後に持ち越し。正直、こちらも色々な準備ができていないのでちょっとだけほっとした。心置きなく海外に行ける、というのがやっぱり大きい。その代替案じゃないけれど、もうすぐ春休みなので、その間はスケジュール調整がしやすくなるから今よりフットワーク軽く自分の部屋に来てもいいかと言われた。一人の時間がないと死んじゃう人間だけど、まあ8割いいよと答えた。

帰国日、早朝のパディントン駅

自分が年上として扱われることへ葛藤を感じている、ということも正直に伝えた。三個下の彼にはわからなくても話しておくべきだと思った。年を重ねていくこと、見た目が変化すること、どちらも今は怖いし受け入れられない。抗えない自然の摂理なのにね。いくら見た目が幼いとはいえ、実年を突き付けられると自分がその数字に見合った生き方をしていないことが丸裸になって苦しい。つまりは彼のコミュニティのせいではなくて自分のせいなのだ。いつまでも瑞々しくありたい。口だけなら言うのはタダ。ファッキンエイジズム。

とりとめのない会話を巡らせ、アマクサ缶を補充するついでに二人でコーヒー屋へ行き、1杯引っ掛けることに。健さんが学生の彼氏に対して「この先どういう大人を目指すか」という重ための相談テーマについて真摯に回答していたのを隣で聞く。帰りしな、何か得られたわけではないだろうけど、気持ち表情がすっきりしていたように見えた。スーパーに寄ってから帰宅し、二人で夕飯の支度。アボカドが安い時に買っていたので1/2個使ってサーモンと玉ねぎとカマンベールを彼イチオシの旭ポン酢で和え、ベーコンとキャベツでマスタードベースの炒め物をしたりした。惣菜コーナーのわかさぎの唐揚げも軽くフライパンでリヒートしてつまむ。お互いビール党だとペアリングとして作るものに迷いがなくて助かる。冷蔵庫掃除をかねてのメニューで凝った料理はしていないけど、おいしいと喜んでくれてよかった。気圧のせいか、早めに眠くなってしまって、TVerで水ダウなどを観てから23時頃に寝た。

日曜、また雨。神奈川でのライブのため自分より早く支度をする彼氏を見送ってから、自分も準備して外出。昨日は何もしなかった(彼はスタジオ練という用事があったが、自分は本当に昼に起きて終日酒飲んでただけだ)けど、彼といる時間は心が休まるのを実感する、それだけに毎回があっという間に感じて寂しい。

夕方にヒューマントラストシネマ渋谷で『千年女優』観覧。COSTAでアイスのヘーゼルナッツラテ、チョコレートソースかかっていてデロデロに甘かったがナッツの風味が利いて美味しかった。今敏監督作品、恥ずかしながら実は初。劇伴が平沢進というのも相俟ってストーリーの壮大さが増幅され、女優としての彼女と人間としての彼女が交錯しながら一人の人物像を観客に浮かび上がらせていく──というレトリックの美しさに圧倒された。病床のシーンでじんわり泣く。自分が亡くなった親友に対して生前も今も感じている想いは「追ってる自分が好き」という最後のセリフが最も的確に表していると思う。高校時代からあれだけ夢中になって一番近くで君を知っていたいと思っていて、今も事あるごとに懐かしんだりするのは、忘れないままでいる自分の存在が可愛くて仕方ないからなのだと思う。叶わなくてもいいけれど、切実な恋心に近い感情が今もあの小さな背中を追いかけさせている。終演後、中央より少し後ろあたりからスクリーンに向けて拍手が贈られていた。自分もこの作品が観られたことへの感謝の意味で手を叩いたが、控えめにしたせいで音が出なかった。

劇場出てHMVの新刊コーナー物色。面白そうなものばかりだったが選ぼうとするときりがないので買わなかった。もうちょっと時間に余裕がある時に。和山やまの原画コーナーがあって写真撮る。カラオケ行こ!も映画やってるんだもんな、観たいけれど都合つくかどうか。

最寄駅について肉と麦へ。カウンターがノーゲスの中、オーナーの伊藤さんと話しながら1杯引っ掛ける。志賀高原ビールの新作は柑橘味の強すぎないさっぱり系のIPA。夕飯をかねてフードを頼もうか悩んだけれど、絶対に家でナポリタンを作りたい衝動に駆られていて会計した。スーパーで一番安い個包装の蜂蜜などを買う。急ぎ足で帰宅し、爆速で調理と洗濯を並行させた。気圧のせいか、おかしいくらいにHPが残ってない。

数年ぶり?のナポリタンはまずまずの出来。というかナポリタン経験が浅いのでこれが美味いのかどうかわからない。不味くはないと思うけど。ほうれん草とナスと玉ねぎを入れた。平日は炭水化物を抜いているから土日にしっかり摂取しておく。前日に彼氏と悪ノリで買った鬼辛唐辛子を嫌ほど振りかけて、鼻先に汗をかきながらビールを飲み進めた。辛いものが好きなのはビールが好きだからだ。酢と七味に関しては味覚異常ぐらい入れる癖がある。バビロンをついに完走してしっかりダウナーな気分になった。千年女優観た後にわざわざ毒薬みたいな映画観るんじゃない。でもラストの『雨に唄えば』の名シーンを直接引用している部分はグッときた。映画に生きる人間たちの栄枯盛衰。グロテスクで陰湿で皮肉にまみれた作品だった。

22時ごろに眠くなってしまって早々に寝床へ。彼氏は無事にライブを終えたみたいだったが、帰宅はまだまだ先とのことだった。寝るのもったいないなあと思いながらいつの間にか寝た。深夜1時に目がさめて、Xを観ていると関ジャムのベストトラックにPAS TASTAがランクインされていた。やっぱりね、と予想的中して嬉しくなった。Tumblrで長年相互フォローになっている人の投稿をさかのぼると今の自分が感じていることとリンクするテキストが綴られていて、なんだかお守りみたいに感じられて少し安堵した。クォーターライフクライシスをブチ壊したい。帰路をたどる彼氏のLINE返してまた寝た。ずっと17歳でいたかった。