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【日記】「私は私よ」

金曜、終日予定がないので昼前に起床する。体調はすっかりさっぱり快復した、一時的に自律神経を失調していたっぽい。それが昨夜食べた辛ラーメン焼きそばのおかげだとしたら通常時の自分は相当な血行不良だということだ。フジロックのステージ割、FrikoもTLDPも新人で初っ端GREENなのかと驚きつつ確認してから、コインランドリーに出向いて寝具のカバーを洗濯〜乾燥にかけ、待ち時間を使って街の人気ベーカリーをはしごした。フジベーグルとカタネベーカリー。後者は平日昼間なのに4〜5人並んでいてさすがだった。ハード系のパンを計3つ買って、コインランドリーにかけていたものたちを回収して帰宅。マックシェイクをすすりながら日記書いたり、取材の起こしを進めたりしているうちに、だんだんと空が淀んできて、ピシーーーと頭部に激痛が走る。なんだか連日調子が悪い。ひどい偏頭痛にうなりながら夜を迎えて、金曜なのに全然一歩も外に出られないじゃんかと嘆き、なんとか夕飯をこしらえて缶チューハイで痛みをごまかして23時頃に寝た。

土曜、外は雨上がりの快晴で湿気も少なくすっきりした天気。連日の体調不良も消え去って、今すぐ酒が、酒が飲みたいと思ったが堪えて店Aに出向く。新規の客と本指の客を一人ずつ受け、新規の客とは向こうがロンドンに三年間住んでいたということでロンドンライフを乗り切るいろはを教えてもらい(一人1枚ピクニックシートは基本のきらしい)、絶対楽しいと思うから頑張ってねと言われ、三週間ぶりの本指には少しからかって「最近人気出てきたんだよね」と伝えたら激烈に妬かれてしまって、いや全然嘘だしごめんと謝った。大の大人が、こういう店を介してでしか会えないことをわかりきっている人が、本気で自分を好きで堪らなくいてくれるというのは、やっぱり当事者であっても歪な構図だなと思う。まあいわゆる「ガチ恋」ほどではなく、お互いに立場を弁えた上での態度なのだろうけど。

退勤して高田馬場へ。高田馬場ビール食堂で少し時間を潰してから、今敏監督作品の「パーフェクトブルー」の再上映を観に、早稲田松竹へ向かう。一週間限りの上映期間で初日というのも相俟って場内は満員御礼。本当は、日記の皆さんとの六本木サイゼ会に参加したかったのだけど、直前まで迷ってこれを逃したらもう観られないかもと思い泣く泣くサイゼ会を欠席することに。

でも、欠席しただけの価値のある作品だったと思う。今監督の映画を観たのは年明けに観た「千年女優」以来二作目だったのだけど、両者全く別の物語でありながらしっかりと監督の色が出ている構図が随所に垣間見られた。一枚の絵で裏表になるような並行世界を同時に描くところとか、観客がそう来たか、と肯いたところをまた二転三転とひっくり返していく部分とか、時間を追うごとに自分がどの地点にいるのかわからなくなってしまうほど痛快で、二時間少しの尺があっという間にエンドロールを迎えた。個人に色々な解釈の余地を残すところも今監督作品に惹かれるポイントだと思う。不朽の名作をこのタイミングで観られてよかった。

少し肌寒い中、帰路をたどる。一日中なぜかストロークスを聴いていた。最寄り駅を出てすぐの場所にコーヒー屋の営業を終えたイワサキさんがおそらくご友人であろう人とワンカンしていて、お疲れさまです〜と軽く会釈する。そのまま信号を渡ってコンビニに寄ろうとしたら、渡りきった先でまさかの兄と義姉プラスアルファに遭遇。馴染みのメンバーでたまたま幡ヶ谷飲みを決行していたらしく、終電までのタイムアタックで1杯だけ参加する流れに。

結婚式以来の兄と、何回か飲んだことのある義姉、それから兄の友人男性と自分と同い年の女の子。どうしてここに…と思いながら、兄と初めて酒をかわせるのがなんとなく嬉しい。ご友人らから「お兄ちゃんって普段どういう人?」系の質問攻めにあって、その度に兄が「お前余計なこと言うなよ」と笑いながら釘を刺す。兄は消極的かつアンダーグラウンドな関わりを持とうとする「クジラ型」で、自分はどちらかというと陽気でおしゃべりなので「イルカ型 ※ドルフィンキックが得意」という話をしたら怒られた。かなり良い例えだったと思うけど。

兄夫婦の家が遠く、一時間ほどで終電が来るというのでそこそこでおひらきに。自分もビールだけ飲んで、何も食べていなかったのでちょうどよかった。そういえば兄と自分だけがビールで、他の人らはハイボールだったな。ご友人の一人に言わせると「似てはないけど頬のエラが一緒」らしい。帰りしな、記念に写真をパシャパシャ撮られた。兄とのツーショットなんて何年ぶりだろうか。全員見送って、0時すぎにようやく帰宅。お腹がすいていたけど、時間も時間なのでセブンのサラダラップとほたてバーだけ食べ、薬を飲んでから2時頃に寝た。

日曜、朝6時頃に目がさめ、また二度寝する。起きると10時近かった。犬を飼う夢を見た。海外に行くことを決めていなければ、自分のお金の最終的な使い道は「東京で犬と暮らす」だった。でも一人暮らしだし、ただでさえ外出の多い人間なので多分飼わない方がいいんだと思う。YouTubeで唯一チャンネル登録しているモルモットの動画を久々に観た。ドライヤーが嫌いでキュイキュイ鳴いてるのが愛おしい。

雨が降る前に出かけたく、そのため速巻きで家の掃除を全力で行なった。普段掃除しないレコードラックもきっちりと拭き掃除して、倉庫と化した一片を綺麗に整理し、磨きあげた。明日からしばらくまた昼〜深夜の労働が続くので、今日のうちにやっておかなければいけない。正午頃に家を出て、下北沢はボーナストラック方面へ。過去の開催すべて参加しているビアフェス「ニュートラルケース」に今年も杯数分のチケットを買って参加。

とりあえず3杯分のチケットを買って、Teenage Brewingのブースへ向かうとヘッドブルワーの森さんが早速気づいてくださった。界隈でよくお会いするNさんも手伝いで来ていて少し話す。ブラッドオレンジとトマト、レモンを使用したサワーIPAが7%あるのに1杯目にはふさわしいほど飲みやすくおいしかった。とんでもないほどの技術力だと改めて思う。

場内を少し歩くと、WateringHoleのYuyaさんやDIG THE LINEの小川さんに声をかけられたりして、これまで自分が飲んできたビールの量と通ってきた店の数のことを思うなどした。ビアギークの一員になれたじゃないけど、縁が広がっていく感じが素直に嬉しい。テントの下の共有テーブルでじっくり味わっていたら、隣に居合わせた妙齢の女性に「何飲んでらっしゃるんですか?」と話しかけられ、そのまま目の前にいた同い年ぐらいの男性も交えてビール談義に。あそこよく行きますとか、あのブルワリーが好きですとか、ビアギークだからこそできる話に花を咲かせて、しっかり3杯分チケットを使い切って会場を出た。個人的にこの日のベストはWCBのココナッツとパイナップルを使用したIPAで、フルーツサワーのように常夏感のある甘みが効いてぜひ缶で買いたい…!と思った。

居合わせた3人で北沢小西に寄り、自分以外のお二人がそれぞれビールを買うのを見届けて駅前で解散。雨脚が強まってきたのと空きっ腹にビールを入れて胃が重たいのとで、コンビニで豆乳を買ってから真っ直ぐ帰宅した。ストックしてあったあいすまんじゅうを食べ、そのまま小一時間ほど昼寝。起きてもまだ夕方だった。よるはストックのパンにしようかと思っていたけど、消化の良いものが食べたくて数年ぶりに冷凍うどんを買った。明太子のソースであえるだけ。なすに衣をつけて揚げ焼きにした。今週は以前面接をパスした店の研修と、在籍ABのシフトと、週末は誕生日祝いに外食を予定しているのであまり家にいないからそこまで多く食材を買えない。鬼越トマホークのYouTubeを観ながらだらだらと夕餉。有給消化に入ってから炭水化物をとる日が途端に多くなって、太ってないかと心配になる。もし自分が太ったら何もかも手元からなくなってしまう。これだけが自分の誇れる矜恃だったのに。そんな風に怯える自分もなんだかなと思う。27クラブのはみ出し者。できる限り早く解放されるために死ぬべきだと思った。義姉を小声で気遣って笑う兄の顔を思い出した。公務員の兄に劣らず、好きだった人と距離を置けるような、かっこいい大人でありたいと思った。ずっと思ってる。社会人を外れて、明日からマイナーチェンジした生活が始まる。祈るように寝る、否、祈りながら寝る。