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【日記】26歳ラストウィーク

火曜、深夜3時頃にガバッと目がさめる。森の中で熊に襲われる夢を見たからだ。四人グループで動いていて、必死に逃げ回ったが距離は縮まるばかりで、飛び込んだ川の中で手のひらの一部を爪で抉られた。昨夜の客が話の流れで「小さいクマだったら勝てそう」とかほざいてたせいだ。普通に無理だと思う。その後も6時に一度起き、8時に起き、となかなか寝付けなかった。結局10時に起き上がって支度し、溜まっていた諸々(郵送物の記入など)を済ませて店Aへ。

待機中に面接室からの会話が響いて聞こえ、やたら今日は面接に来る子が多いなと思った。しかも、どの子も実年齢は自分より下ながらものすごく流暢に出自を喋るのだ。多分、普通の会社面接の場でもなんなくパスしてしまいそうだと感じるほどにはレスポンス上手な子が多かった。自分が21〜23のときはそんな風には話せなかった。すべては経験値の賜物でできているので。夕方にフリーの客を1人受けた。コワモテ系か…と思ったら「触ってくれるだけで俺は十分幸せなんですわ」と謙遜するタイプで優しかった。退勤して、恵比寿のIBrewでアマクサソナーのaninnをパイントサイズで飲む。樽で飲むと完全に酔えるピルクル。カウンター席は午後7時前にもかかわらずほぼ満席で、クラフトビール・インフルエンサー的な妙齢の女性(インスタ特定してしまった)が隣席のツーリストにカタコトの英語で話しかけていた。その光景は自分もよくやるので、良いな…と思いつつも、その中にわざわざ割り入って入りたいとは思わなかった。直感的に、当の女性とあまり馬が合わなさそうだと思ったからかもしれない。

1杯で会計して帰路へ。夕飯、パンのストックがあったなと思って、それを中心に献立を組んでいたはずが、冷蔵庫の余り物の消費を兼ねたらフードファイトする量になってしまい失敗。珍しく少し残して、膨れた胃を抱えて22時頃には寝てしまった。

水曜、朝起きて店Aへ。昨夜、本指から「もし明日行けそうだったらその後飲みに行きたい」と誘われていて、ウーンと悩んだままとりあえず承諾したのだけど、今朝店の予約一覧を見たら見事に埋まっていて断る理由づけができ、安堵した。もともと店Bのシフトも入ってたので、事なきを得られた。

最初の客は癖が強く、永遠に一人で漫談のように話し続けるので適当に相槌を打ちながらも内心しんどいなと思った。聴診器を持ち込んでいたり(店のオプション以外での持ち込みはNG)、その場で30回ほどジャンプさせられたりとイレギュラーなことが多く、終盤は愛想笑いしかできなかった。二人目の客は先月ぶりの本指で、「どうやら誕生日の人がおるらしいなあ」と陽気に迎えてくれ、前回教えてくれた千葉で人気のパン屋のカレーパンとアップルパイをプレゼント代わり(?)にもらった。復帰してからも徐々に本指がついてきて、皆自分と相性の良い面白い人ばかりなので、どんなに苦手な客の相手をしようが、そういう人たちに救われながらこの仕事は続けられている。

はしごして向かった店Bは客がつかなかったので、そのまま23時頃に帰宅した。ほたてバーとサラダチキンを食べ、空腹を耐え忍びながら0時すぎに寝た。

木曜、販売職の研修二日目のため原宿へ。退職して以来の竹下通りに懐かしさを覚えながら店舗に向かう。私服勤務がベースなので初日の池袋店も皆自由にファッションを楽しんでいたけど、原宿店の方は金髪ショート女子に赤髪ハーフパンツの店長…と、さすが原宿、と言わんばかりのファッショナブルなスタッフ陣で溢れていた。

この日も5時間の勤務で初歩的な業務知識を色々と教わった。自分がバイト時代に勤めていた飲食店やコンビニと違って、一気に店内が満杯になるタイミングはあれど、客はほとんどが勝手に商品を見て、買うなら買う、買わないなら出る、だけなので、ランチ帯のようにせかせかとすることもなく比較的穏やかだ。これも原宿ならではだなと思うのだけど、スタッフのうちほとんどが英語での接客を会得していて、純粋にかっこいい〜と思った。ワーホリ準備のためにオンライン英会話を始めたけれど、こういうところから慣らしていってもいいかもしれない。

夜はそのまま店Aに向かった。途中の間食?朝昼兼用?はマックシェイク。固形物を取り入れたくない気持ちが空腹よりもぎりぎり勝っている。新規の客を一人受けて、0時頃帰宅し、急いでシャワーを済ませてサラダチキン、ゆで卵、ほたてバーを食べた。明日は26歳最後の日。

金曜、終日休み。10時頃に起きて掃除と洗濯、日記の下書きを進めてから、正午に美容院の予約をしていたので原宿へ。前職の最終出社日以来の原宿は相変わらず人が多くて暑くて歩くだけで気疲れしてしまう。前回担当してくださった美容師さんが今回もついてくれて、過去数十回にわたるブリーチと偏った食生活で傷みまくった髪の毛を見て「スッカスカですね、海苔巻きで言うところの具がないキンパみたいな」と言われた。ので、美容師さんの提案を受けて自己補修してくれるトリートメントをつけてもらうことに。カット含めた施術が終わる頃には生き返ったかのようなサラサラ感。話の流れで、実は明日誕生日なんですと言うと「でも全然27歳に見えないですよね。僕も小さい頃から顔変わらなくて」と変化球での共感を受ける。聞けば美容師さんは1個上らしい。この夏はどこかでエルレガーデン観たいですよねとも話した。話のテンポが合うのと、顔が良いので目の保養になり、まだ二回目だけどもありがたい。

13時に美容院を出て渋谷へ。Bunkamuraル・シネマで「悪は存在しない」が上映中とのことで、やっと観られると当日の朝にチケットを買っていた。少し時間があったので、スタバの新作バナナブリュレフラペチーノを買う。渋谷ツタヤの店舗、2階に上がらないといけなくなってるし、完全キャッシュレスだし、何よりツーリストが多く平日なのに大混雑していて、ル・シネマは途中入場禁止とのことだったので、間に合うかかなり不安がっていた。商品を受け取ってから小走りで劇場に出向き、なんとか開演3分前に飛び込む。誰が / 何が悪いんだろうか。いや、誰も悪くなんかないのか?タイトル通りに深く内省をかえりみて、「悪って存在するんかなあ」と一人思い耽ける作品だった。予告やあらすじを読まず、情報0で観た、というのも大きい。普段やりすぎなくらいの感情人間で動いているので、巧のようなマインドで仕事ができたら楽だろうなと思う。

終演後、スタンダード・プロダクツで小皿を買って、16時半に一度自宅に戻り、暑かったので軽くシャワーを浴びた。トートバックから小さいショルダーバックに切り替えて、身軽になった状態で人生初の整体に行く。ホットペッパーのポイントがそこそこ貯まっていて、30分のお試しコースを1650円で受けることができた。

担当してくれたのは大柄な男性で、失礼ながら熊さんのような方だったので「こいつは信用できる…!!」と勝手に一目で信頼感が芽生えた。実際、施術も痛気持ちいいぐらいの力加減でよくほぐれ、「腰が張りすぎてますね」と指摘され、腰と肩を重点的にゴリゴリやってもらった。最後は店舗責任者の方に変わってもらい、足のマッサージ。同い年の方らしく、相手は何人も施術している身なので大して気にしないかもしれないが、「同い年でこんなに凝り固まってて恥ずかしい」という羞恥心がややあった。27歳、美容に追加して身体メンテも定期的に行わないといけないのか。出費が少し心配だなと思いつつ、次回の予約をとって店を出た。

19時前にコーヒー屋へ。バテレのヘイジーIPAをハーフパイントで頼み、健さんと将来について軽く話す。自分が健さんの年齢、47歳になったときに、健さんと同じフィジカルは保てそうにない。週の前半は本業のアパレル仕事、後半から週末にかけてはフードも古着も提供するコーヒー屋、なんてフル稼動ですごすぎる。ただ、自分も年齢を重ねるごとにどんどんやりたいことが山積しているのは事実で、避けられない体力の衰弱化を前に、もっと生き急いだ方がよいのだと思う。26歳はダブルワークの会社員だったこともあり、仕事を言い訳にして手が回らない部分が大きかったので、これからはもっと加速したい。否、しなければいけない。

1杯で会計して、そのままキッチンかねじょうで誕生日の前祝いをした。過食に走るのが怖く、普段ほとんど一人で外食はしないのだけど、誕生日ぐらいは外の美味しいご飯で自分をねぎらってやりたかった。かねじょうのウフマヨと久々に対面してにやつく。おすすめしてもらった鹿児島のブルワリーのサワーIPAも軽い飲み口で、今日みたいな暑い日と相性抜群だった。アスパラのメキシカンフリット、フォカッチャ、イサキのカルパッチョを頼み、メインに移行しようかと思った矢先で、この日のメインメニューの鹿肉が売り切れてしまった。少し悩んで、かねじょうの会計をしてから家の通り沿いにあるLUG Hatagayaへ。ここに来るとき、大体酩酊している or 一軒目利用なのに飲みすぎてしまう ので今日はどちらに出るか不安だったけど、この店のスキレットオムレツがあまりにも好きすぎるので来たことには大正解だった。ふわふわであつあつのオムレツを独り占めできる幸せ。オムレツと、イチボのロティもハーフサイズでオーダー。3TAPあるうちの2TAPのビールが切れてしまってハートランドしかなかったのが唯一残念だったけど、微発泡のワインも追加してゆっくり味わった。

23時すぎに店を出て、スーパーでアイスを買い足したけど、家に帰ったら睡魔が襲ってきていて冷凍庫にアイスをしまったまま部屋着に着替えて寝てしまった。「今日だけは過食をしない」と事前に自分と誓いを立てていたので、無事に達成できてよかった。26歳の最終日を最も充実させた形で終えられたので、今日ばかりはさすがに自分に満点をつけたいくらいだ。深夜に父親から誕生日おめでとうのLINEが来ていて、ちょうど中途覚醒していたのでありがとうとお礼の返信を送ってからまた朝まで寝た。