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憲法記念日の思い出

何年前だったかな、たしか2008年のはず。本間正人先生主催の研修講師塾ってのに通ってた。ゴールデンウイークの5日間フルで。

受講生はすでに各界で大活躍中の凄腕研修講師ばかり。怖いもの知らずというか世の中なめてたというか身の程知らずというか、なんだか楽しそうだなという理由で参加した俺も楽しく学ばせてもらった。

憲法記念日の授業は「朗読」。あらかじめ各自で選んだ文章をみんなの前で朗読する。1分間。細かなオーダーは忘れたけど「伝わるように朗読しなさい」って感じの課題だったように思う。

俺が選んだ文章は「日本国憲法前文」。法律に関係する仕事をしてるし、発表するのが憲法記念日だし、まあなんか気がきいた感じがしていいんじゃないかなと。何度か練習したら1分で収まらなかったので途中省略したりして。

度胸一発でぶっつけ本番というスタイルを貫いてきた俺だったが、さすがにまじめに練習した。だってみんなすごいんだもん。すごい人が一生懸命取り組んでるんだもん。まじめに取り組まないと失礼だなって。

当日。挙手制で登壇する。やはりみなさんハイレベル。プロのアナウンサーか俳優さんですか? って感じ。俺だけレベル違うの。まいったな。まあいいか。

何番目に登壇したんだっけかな。5番目くらいだったか。勇気を振り絞って手を挙げたことは覚えてる。

めずらしく緊張している。大きく息を吐いて、練習した通りに朗読する。なかなかスムーズに読めてる。最後の決意表明のところでは握りこぶしで決めポーズも。

無事1分の発表を終えて講評。その場で他の受講生数名からフィードバックを受ける。みんなほめてくれる。いかにも発展途上の俺を育ててくれてる感じを受ける。嬉しい。

最後、本間先生からの言葉。

「さすが元プロミュージシャンだけあって素晴らしいですね。舞台度胸、パフォーマンス、かなりのハイレベルです。素晴らしい」

ほ、なんかうまくできたらしい。よかった。

「ひとことだけつけ加えるとしたら、桑原さん、自分の声がオーディエンスに染み込むのを待ってから、次のひとことを発してみてはいかがでしょうか」

稲妻に撃ち抜かれた。

俺、朗読している間、オーディエンスのことなんて一切考えてなかった。練習のときもまったく。自分が上手に朗読することばかり考えていた。「伝わるように」というお題なのに、そんなことかけらも気にかけてなかった。

だからバンドもうまくいかなかったんだ、とか思った。いろんなことが反省というか後悔というか、硬くて重たいものとして身体の中に積もっていった。

その日のレジュメには「For you」と大きく書き込んである。俺にとって大きな大きな意味のある日となった。

ありがとうございます。

世界のゴキゲンが増えるといいなって考えたりしゃべったり書いたりしてます。ありがとうございます。