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詩と暮らす #シロクマ文芸部

詩と暮らす日々は、心の中にちいさな星を抱いている日々だ。普段は目立たない星が、なにかを感じてキラリと光る瞬間、詩が生まれる。

詩の会に入ってもう二十年になる。それぞれが詩を持ち寄って感想を話し合う会なのだが、詩には心模様を詠んだものも多く、心を開いて話すためたちまち親しくなる。新鮮な感覚に刺激され心が洗われるような感動をしたり、胸が痛くなるほどの共感に涙ぐむことも一度や二度ではない。

この会で初めて発表した詩

君というバインダーに
バタンと抱かれ
はにかむ私は
ピンクの
コピー用紙

ちょっと照れますね。
今まで詠んだ詩はそれこそ厚いバインダーいっぱいにたまっていますが
その中からいくつか紹介します。

不意に流れ来た
懐かしいメロディに
心が震えるように
一年ぶりの風に自然がふるえる
それが 春

ゴールという
獲物をめがけ
トップスイマーたちは
しなう矢となって
水中に放たれる

一年のほんの数日だけ
振り向かれる
それで充分?それでは不満?
そう聞くと 
あなたはどうなの? と 金木犀

陽射しを浴びて園児たち
ジャンケンポンの声響く
まだグーのままの蕾たち
パー出したくて
うずうずうず

その他心の星が煌めいたとき生まれた詩

すれ違う老女と女子校生
若い日を懐かしむ目と
老いた日など
考えもしない目とが
チラリ合う

姿も見せず
漂うだけで
幸せな気分にさせる
珈琲の
香りという力

炎もないのに
熱々にしてしまう
電子レンジの
秘めたる情熱

最新2作

砂色の砥石で
包丁を研ぐ
シャリリ
小石を抱いて
引いていく波の音だ

空港へ向かうバス
病院へ向かうバス
待つ人たちの列は
それぞれの
雰囲気をまとって

これからも詩と一緒に暮らしていく。
無限の星を抱きながら。

     おわり


小牧さんの企画に参加させてください。
小牧さん、お世話をおかけしますがよろしくお願いいたします。



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