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告白雨雲

僕は雨雲。人間は僕のことを嫌いみたいだ。空を見上げて、僕を見つけるとため息をついたり、舌打ちする人さえいる。僕は人間が大好きだから、できるだけ下まで降りて「やあ!」なんて挨拶したいのに。

ある日、ベビーカーに乗っている赤ちゃんをみつけ、あんまり可愛いからそばに寄ってみた。赤ちゃんは僕を見てびっくりしている。泣き始めるんだろうな、悲しくなってつい雨粒を落としてしまった。そしたらどうだろう!
キャッキャと嬉しそうに笑ったのだ。

お母さんがそれに気づいて真っ赤な傘をベビーカーの上に広げた。一か所だけ透明な部分から赤ちゃんの笑顔が見える。手を叩いている。よくみると
まわりの大人たちも嬉しそう・・・

街路樹のプラタナスも大きな手を広げて僕を受け止めている。下を向いていた花も嬉しそうに顔を上げる。ひび割れていた地面めがけてポツリ落とすと、すいと吸われてかすかな水音・・・
なぁんだみんな仲良しじゃないか。だったら好きって言ってよ。

            おわり(420文字)


たらはかにさんの企画に応募いたします。
よろしくお願いいたします。

アイデアが出て来なくて、すなお~~に書きました。
童話調もたまにはいいか、と自分を慰めています。😅

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