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夏の海 #虎吉の交流部屋初企画

海はもしかして
ぬれぬれとした巨大な魚
小さな光る波がしらは
鱗のきらめき
その息づかいで
ゆっくり体をふくらませたり
平らかにしたり


盛り上がった大きなひれは波になり
端から砕けざざん と迫る
砕け散る波がしらは開放の喜びか
散り行く哀しみか

波裾は見つからない何かを捜すように
するすると伸びて
むなしく引き返す
シャリリと小石を巻き込んで


太陽の熱を吸って熱い砂に身をかがめ
波と同じ高さになった私は
夏の湿気と
ほんの少しの秋の冷気がまざった風にふかれながら
なつかしい友を見るように
海をみつめる


そしてふと
わたしの心の中にも
同じ波があることに気づく

心のなかの海は
決して枯れることのない深い哀しみにも似た
水をたたえながら
盛り上がり、砕け、押し寄せ、するすると戻る

           おわり


解説
海を見ていると命を感じます。
そして自分の中にも同じ命の波を感じるのです。
それを詩{夏の海}として書いてみました。

虎吉さんの企画に、詩{夏の海}で参加させてください。
虎吉さん、お世話をおかけしますがよろしくお願いいたします。

#虎吉の交流部屋初企画
 


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