白骨化スマホ

「お母さん、ハッコツカってなに？」
と幼稚園「ゾウ組」の二郎が聞いた。
「お兄ちゃんが本読んでくれたんだけど、ゾウは死ぬとき場所が決まっていてそこに集まるんだって。そこにはハッコツカしたゾウが沢山よこたわっているんだって」

「そうね、そういう説もあるわね。死んだ象はやがて骨だけが残る。
それを白骨化するっていうのよ」

「ふうん、なんだか象さん可哀そうだね」

「だから、生まれかわったら幸せになるよう祈ってあげましょうね」

　　　　　　　　　　　　　＊

「母さん、僕のスマホどうした？ないんだけど」
学校から帰った太郎が叫んだ。

「え？触ってないけど。おかしいわね、あんなにスマホが死んだ、なんて騒いでいたのに。よく探してごらん」

その頃庭の片隅に小さなお墓が建てられ、二郎が一心に祈っていた。
墓標には二郎の字で次のように書かれていた。

「しんだスマホさん、はっこつかするんだね。うまれかわるとき、
しあわせになってね」

　　　　　　　　　　　おわり(409文字）

たらはかにさんの企画に参加させてください。
たらはかにさんお世話をおかけしますがよろしくお願いいたします。