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俳句2句・葦芽  思い出を添えて

葦芽の想いつなぐかビルの群れ
あしかびのおもいつなぐかびるのむれ

葦芽という季語を聞いたとき、まず読み方がわからず、
ググってみました。あしかび、と読み以下のことが分かりました。

「葦牙は、川の水が温む頃に川の面に顔を出す葦の新芽のことです。  
葦牙が姿をあらわす頃になると吹く風も暖かく、切れるように冷たかった川 の水も心地よい冷たさに感じられるようになります。
春なんだなとつくづくと感じる頃です」

私の住んでいる街は、かつて沼であったそうです。
ヘルパーをやっていたころ、お年寄りに今住んでいる街の名を言うと
「あんた、あんな沼に住んでいるの?」
と言われたことがあり、
「河童じゃないんだから」
と思ったものです。

沼のままであれば、今頃は葦芽がスクスクとのびていた頃でしょうね。
今わが街でもビルの間の街路樹が芽生え始め、植え込み花壇の花が
風に揺れながら通る人の目を楽しませてくれています。
そんな場面を17文字で表せているか全く自信ありませんが、冒頭の句にしてみました。

最初詠んだ句

葦芽の沼は今わがビルの街

わかりやすいけれど、説明的で俳句としてはちょっと、と思ったので
推敲し冒頭の句に。よくなっているでしょうか?

ちょっと脱線
あれは小学3年生くらいのころでした。学校の帰り、ランドセルを背負って、いつもの県道を歩いて来ると、むこうから知らないおじさんがやってきました。道の横に生えている草の茎をプチっと折ると、いきなり、左手の
人差し指を目の下にあて、アッカンベーをしたのです。

こんな感じ、さすがに舌は出していませんでしたが。そして言うには
「めんたまの下のあたりに虫が入っていると思うんだよ。痛くて。
この草の茎でちょっととってくれんかねぇ」
よく見ると、いた、いた、小さな黒い虫が眼球の下のあたりに
張り付いていたのです。その草を受け取り、つい、と、とってあげました。
「とりました」
「ありがとう、おお、痛くなくなった」
おじさんは嬉しそうに歩いて行ったのでした。

帰って、その話を母や姉にすると大うけで、みんな大笑い!
「あははは!!いきなりアッカンベーって!」
思った以上の反響に、わたしはちょっと得意でした。
あの、おじさんは今どうしているでしょう?こんなことがあったなんて
きっと忘れているに違いありません。

あの県道は舗装されて車がバンバン行き交うようになり、あの頃ののどかな道ではなくなりました。そういえば、小学校へと上がる坂の手前に池があって、葦が生えていたように思います。

学び舎を見守りすらら葦黴よ
まなびやをみまもりすららあしかびよ

話が長くなりました。ここまでお読みいただきありがとうございます。
ご感想、ご指導よろしくお願いいたします。

               以上 礼!


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