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夏憂い

緞帳のように
目の前に
現れた
八月の

心の中にも
木が
あるようだ
風が吹くと
胸がざわめく

真夜の
枕辺に聞く
川のような雨
波のような風

誰かの胸に
雨は
降ってしまったか
やがて
月が照る

和紙を
ちぎったような
柔らかな
分かれ目を持つ
半月よ

丸くならなければ

君は満ちる
自らの光で
いびつを埋めながら


わたしは
手をかざし
見ている
どこか遠く
あてのないところ


       おわり





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