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pSSR「プラスチック・ツリー」芹沢あさひ

この記事↓のインスパイアです。正しくフォロワーだ。


ないSSRのコミュの感想文。

◾️コミュの構成は、
「たねをまき」
「けずりだし」
「ひかりをあてて」
「くみたてる」
+ トゥルーエンド「てんまでとどろけ」
の全5話。

◾️植物が育つ様子と、建築物ができていく様子を並列において、あさひの変化(あえて成長とは言いません)の比喩として使っています。プラスチック・ツリーというカード名は某バンドからでしょうか。トゥルーのタイトルは「届け」と「轟け」の言葉遊びかと思います。

◾️イラストは建築足場からビル街を見下ろしているあさひ。また逆光ですね。スカイツリーが見えますし、コミュの中での描写を見るに、五重塔の補修工事の途中、ということで浅草寺とかかもしれません。アイドルゲームに作業着フル装備のイラストってOKなんだ。度肝を抜かれました。ワークマン女子ですね。

【たねをまき】
◾️あさひにロケバラエティ番組のレギュラーの仕事を勝ち取ってきたP。内容は、いろんな「これって誰がやってるの?」という職業を体験取材するというもの。Pがあさひの好奇心を仕事で満たしてあげようという姿勢でいてくれることは、これまでの経緯を踏まえていい落としどころだと思います。が、それはそれとして「おしごと」だからより繊細な手綱さばきが求められる気もしますね。がんばれるのか。

【けずりだし】
◾️さて最初に選ばれたお仕事は五重塔の補修作業とのこと。早速作業の際に目視確認を課されまくって焦れるあさひ。「いちいち見なくてもルールは守ってるから大丈夫っす!」あさひのこういう考え方はあまり変わりませんね。

◾️当たり前ですが現地スタッフさんに叱られます。「ルールというのは大量のクソみたいな前例が積み重なって生まれてるもんだ、文句をたれるな」とややガラの悪い物言いですが、正論っちゃあ正論なのかもです。こういうときどうしてもあさひの肩を持ちたくなりがち。

◾️その場は大人しく引き下がるあさひですが、帰りの社内でやや不満そう。選択肢は「知らないこともある」「困らせたいわけじゃないもんな」「ルールが生まれるかも」右が1番好きなルートです。たとえあさひが大丈夫でも、他の大丈夫じゃない人のためにルールがある。ルールが人を守るんだ、ってヤツです。でも、それはあさひにとっての不自由なんでしょう。目をつむって「そっすか…」というあさひ。

【ひかりをあてて】
◾️「どうして、照明さんをやろうと思ったっすか?」を言ってしまうあさひ。
出ました、シャニの得意な現実味溢るるSNSでのネガティブな反応描写。他者との断絶。Pは「ロケをやったから、いろんな仕事に興味を持ったんだよな」と慰めるものの、当のあさひはどこ吹く風です。

◾️建物の直し方に興味を持ったので図書館で建築の本を読みたがるあさひ。図書館は以前ユニットのみんなと行ってからお気に入りスポットになったとかでしょうか。カワイイ。

◾️世界中の色んな建築物に大工が自分の名前を落書きしていると知るあさひ。世界のどんなものにも「作った人」がいる、ってことに改めて驚き、喜びます。

◾️コミュタイトルの「光」をあてる対象が、植物の若芽/名前も知らない職人さん達/アイドルに加えて、本を読む時の明かりとして出されました。本もまた、知らない世界を誰かに届けるためのもの。埃っぽい図書館から持ち出して、あかりを当てて読まないと誰にも知ってもらえない。

【くみたてる】
◾️五重塔のロケの続きに来たあさひですが、あろうことかおじいちゃん職人スタッフに向かって、「こっそり名前を落書きしよう!」と誘ってしまいます。笑い飛ばす職人さん。優しい人でよかった…。しかし老人とあさひは親和性がありますね。あっという間に可能性と足跡、未来と歴史、0と99の対比構造ができるからだろうか。

◾️自分を知らしめて、愛されないならそれはそれと思うあさひ、万人に愛されるものの一部になれれば、自分の名前が残ることは重要ではないと語る宮大工の老爺。

◾️あなたの署名のない素敵なもの。あなたの署名のない嫌なもの。素敵なものが残ったらうれしい。じゃあ、嫌なものは?

◾️あさひの「ルールの、前例になるみたいに、っすか?」が良い…。きっと最初のガラの悪いスタッフさんと、Pの言葉をちゃんと受け止めて、あさひなりに「ルールを増やすことはあんまりよくない」と思う人たちの存在に納得がいったからなんだろうな。あさひに届けようとした言葉は意外とジワジワ効いていることが多い。

◾️スチルシーンは、足場の頂上から風景を見るあさひでした。この時、「あさひちゃんの顔が見えるように」とライティングの指示を受けてたのは例の照明さんだろう。あさひの弾ける笑顔と、「うわあかっこいい!」「ありがとっす!」が答えなんですよね。あさひ1人じゃ1番美しく輝けるとは限らない。光に当たるのが自分じゃなくても、美しいものを生んだ達成感は偽物じゃない。スタッフたちもまた、「アイドルのあさひちゃん」を組み立てている。あさひが望む望まないにかかわらず。

【てんまでとどろけ】
◾️五重塔ロケの帰り、ずっと見えていたスカイツリーに行きたがるあさひ。展望台から自分の直した五重塔を指差す。あさひの署名はないけど、これからも何十年何百年残るだろう。

◾️名前を残すことについて、プロデューサーさんは、冬優子ちゃんは、愛依ちゃんはどう考えていると思う?それぞれの考えがある。いろんな人がいる。いろんな人がいて、いろんな人が残したものがある。

◾️床窓を見つけて走り出そうとするあさひを嗜めるP。大人しく足の動きを緩め、歩いて向かうあさひ。おどろきながら褒めるPへの答えは、「作ったっす」「使ってるっす」「立ってるっす」。建物を、ルールを、ステージを、歴史を、という、そういう話だろう。

◾️署名のない塔は、あさひのことが忘れ去られても残り続けるもの。天まで轟く歌声は、一瞬で消えて無くなってしまうもの。どちらがいいとか悪いとかではなくて、そういうものが誰かに届いた、届いている、届いていくという事実。それが、生きる意味の一つになる。

◾️全部嘘です。

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