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どうしたんだってばよ、ずとまよ。

はい。皆さんVaporwaveはご存知ですか?大体こういうものです。

このPV。。。とうとうやりやがったな。ずっと真夜中でいいのに。。

いやこれはVaporwaveではないよね?Futurefunkからの流れの方が強くない?

と思う方もいると思うが、今回は音楽性を細かく見ていくというよりかはVaporwaveをたらしめるモチーフについて考えたいのだ。VaporwaveもFuturefunkも大体一緒くたにして扱います。はい。正直僕はこのPV好きですよ。この90年代アナログテレビのような映像でレトロオシャレ攻めをされたらもう堪らないですよ。なんですけど、はっきり言うとこの曲に対してこのPVである必然性は感じないですね。必然性を探す必然性はないですけど。このPVのような質感との出会いを別の場面で果たしていた自分からすると、こういうPVにしてきたことに対してある種の便乗ムーブを感じ取ってしまうわけですよ。

というわけでVaporwave、Futurefunkの楽曲群をざっくり時系列で見てゆくと

こういう楽曲が2010年代からインターネット上で流行り出していたわけです。下2つはVaporwaveから派生したジャンルFuturefunkの曲です。

これらの曲の根本にあるのはチープなノスタルジーなんですね。チープというのは皮肉で言っているわけではないです。チープさは発展途上にあった技術を象徴するわけです。このジャンルが勃興した理由の一つとして考えられるのは、加速する近代文化、コンテンツの大量消費、その速度に人々は耐えきれなくなったためだと自分は思います。だからいつかの過去のコンテンツ、時代の嵐に飲み込まれ吹き飛ばされたものにどうしようもなく惹かれ、今再びそれらに浸ろうとするのだと。。。特に日本のアニメ、楽曲を使用したものも多く、山下達郎が再評価された流れもそれが影響の一つだろうと思います。またsuchmosに始まるシティポップブーム、サカナクションが「忘れられないの」を8センチシングルとして出したことも記憶に新しい。全てこのノスタルジーの文脈で語ることができます。歴史が繰り返すことの証明になっているわけですね。


という風にここ10年はノスタルジーがネット上を中心に徐々に大きな流れを生み、ようやくメインカルチャーの舞台に到達してきたところなのだとわかりますね。

それで、ずとまよのことですが、彼らはニコニコブームの流れから始まる歌い手二次創作文化(これ自体非常に素晴らしいものだと思っていて、揶揄する意図もなく、ただ単に便宜上カテゴライズしたくなっただけです)、それに伴って手書きイラスト雰囲気PVサブカル界隈(これも揶揄してないです)での注目の新人というわけで、EVEさんとかヨルシカと同じく中高大学生に青春の味を教えてくれるアーティストだと思っていましたが、どちらかというとアングラのボカロっぽい雰囲気がありますね。まぁそれなら、「秒針を噛む」もかっこいいしミステリアスなPVもいいなと。急にYouTubeのレコメンドに流れてきてなんだこれは俺は「知ってしまった」ようだなみたいなのも胸躍りましたね。

うんうん。。。

でも今回のこれはなんなんだ。このPVはこれ完全にノスタルジーに振ってるじゃん。違くない?リスナーの層違くない?君たちが欲しいのノスタルジーじゃないよね。ちょっとダークで何かを隠喩するアニメーションと、孤独に寄り添ってくれるような寂しさのある歌詞とかそういうのじゃん。なんか、近年のレトロブームに便乗して、lo-fiな映像を大衆に広めようとしてるのって、どうなの?ノスタルジーは俺らのもんでずとまよのもんじゃねぇ。それは文化の加速に加担する行為だ。また同じことを繰り返すのか?目も止まらぬ速さで、レトロやノスタルジーが食いつぶされるのを俺は見たくない。ノスタルジーのぬるま湯にずっと浸っていたいんだよ。あの頃感じ取れなかったものを感じ取りたいんだ。だからノスタルジーを消費しないでくれ!

そんな安いもんじゃないんだ俺らの過去は。。。


というわけで今後の、ずっと真夜中でいいのに、の活動に注目ですね!



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