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【イラスト】陰影と光の勉強、自分用のまとめ【作例つき】

もともとの自分の描きかたもふくめ、ちょっと整理できてきた気がするので、自分の参照用にまとめてみます。(2023/03/10追記)

はじめに

まずは陰影と光のおさらいから。

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自作絵で恐縮ですが……

おおまかにこんな感じだろうと理解しています。
用語はいろいろな資料からの寄せ集めです。は「アクティブハイライト(物体の表面での光源の反射)」、「パッシブハイライト(表面で最も明るく照明されている領域)」「反射光」「環境光」、陰影は「陰(Shade)」、「落ち影(Shadow)」、「もっとも暗い影(Occlusion Shadow)」があります。

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※陰(Shade)は大きい部位で画面にうまく入りませんでしたが、球面の明暗境界線から下の暗い部分です。

陰影

ここからは、私が実際の描画でどう塗っているかの解説というか、試行錯誤です。

この下絵を塗っていきます

小道具(剣と椅子)は3D素材。キャラクターはオリジナルです。
ポーズはこちらの本からお借りしました。

まずは固有色(Local:物体そのものの色)を塗ってから、陰影の「陰」を塗ります。

固有色は彩度低めに塗るといい気がします

光源と反対側にできるカゲ(陰・Shade)は面積が一番大きく、またグラデーションになる特徴があります。なので、一度全体をこのカゲ色で塗ってから、光源側をやや明るい色でぼやっと塗り、両者をまぜてグラデーションにしています。(光源は左上にある設定です)

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こんな感じで

と書きましたが、逆に固有色に影色を足す感じに塗るときもあり、さまざまです。面積が広いので、エアブラシなど、あまりタッチをつけずに塗るのがいい気がします。

次は落ち影。

落ち影は乗算レイヤーで塗ることが多いですよね

物体が光をさえぎってできるカゲは「」またはShadowといい、くっきりした輪郭を持っています。(日本語の「落ち影」がわかりやすい)アニメ塗りでいうところの1影、2影はこれに当たります。

この絵では首の部分、シャツのしわなどで、場所と角度によってはぼんやりして見える部分もありますが、陰にくらべてはっきりと描きます。おおまかに形をとってから消しゴムで形を整えるときれい。

影の色は、もとの色の明度を下げるのではなく、やや色相をずらして選ぶと無難。上に色見本をあげているパープルは、乗算でのせれば肌にも服にも合いやすい万能色です。(と言いつつ最近は別の色を使うことが多いですが……)

乗算で影を乗せるときの注意点は、重ねていくと彩度が落ちたり色が濃くなりがちなことで、このあたりをどう処理するかが最近の課題。

光・ハイライト

次に光の部分。光にはハイライト反射光環境光などがあります。

ハイライト、環境光どちらもスクリーンレイヤーで

光源側の光とハイライトは、昼の表現なら黄色系がよさそう。レイヤーモードを「スクリーン」か「加算(発光)」にしてのせます。陰・影と同様に、ぼやっとした広い部分と、はっきりした部分とあり、材質によって入り方に差があります。個人的には影より入れかたが難しいと思うので、別レイヤーにして仕上がりまで微調整しています。迷ったら控えめに、少なめに。

影のなか、あるいは近くにある青系の光は反射光(環境光)で、明部にも暗部にもあります(よね?)。これはイラスト的な表現で誇張されていたりもするので、どう塗るのかまだよくわかっていません……。影の一番濃い部分が重くなりすぎないように塗ったりしてます。

それから、光の表現のうち「光と影の境目にあざやかな色が細く入る」ものがありますよね。あれは正式名称があるんでしょうか?

いろいろ調べてみて、おそらくは明暗境界線で暗部が一番濃くなる領域で彩度が高くなるということみたいなんですが、

サブサーフェス・スキャタリングの場合もあるとの解説も見つけました。

サブサーフェス・スキャタリング【Subsurface scattering: SSS】

サブサーフェス・スキャタリングは、光が半透明な物体の表面を透過し、内部で散乱した後に表面から出て行くメカニズムのこと。表面下散乱という訳語で呼ばれる事もある。フォトリアルな3DCGの質感を生成する技術のひとつである。SSSと略される。 たとえば、人間の肌の質感などがよい例である。

Wikipediaより

太陽に向かって手をかざすと、皮膚の薄いあたりに血色で明るいオレンジが見えるあれですね。

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耳たぶも、よく血色を反映する部位

いつもではないですが、絵によってたまに入れてます。

この謎の線というか、影側に彩度の高い色をいれる手法はかっこよく見えるので、もうちょっと研究して使いこなしたい。

レイヤー構成

どのように塗っているかの例として、Clip Studioでの普段のレイヤー構成をのせておきます。

「光と陰影」フォルダを開いたところ

この構成でテンプレートに登録していて、らくがきではない一枚絵を描くときにはいつもこれを使っています。フォルダのなかに各レイヤーが格納されていて、色分けもされているので目的のレイヤーが探しやすいですよ。

塗りは緑のフォルダです。中に肌、髪、服の各パーツ、目などのレイヤーがあります。黄色の「光と陰影」フォルダはレイヤーマスク機能を使い、塗りの範囲の外を保護しています。こうすると影や光を塗るときに塗りからはみ出さなくて楽なので。

塗り分けが終わったら、「塗り」のフォルダを右クリックして「レイヤーから選択範囲」>「選択範囲」で選択範囲を作り、「光と陰影」フォルダを右クリックして「レイヤーマスク」>「選択範囲外をマスク」で選択範囲外を保護することができます。

「装飾」フォルダは服の模様やアクセサリーなど、線画の上に置きたいものを描くときに使います。「加工と仕上げ」はそのまんまですね。塗りが終わって最後にコントラストを調整したりグラデーションマップをかけたりするので、それらのレイヤーが入ります。

仕上げ

陰影をつけおわったらコントラストや色味を整え、線画と陰影、塗りのレイヤーを統合して、そこから加筆して仕上げています。

作例の完成です:

朝の窓辺みたいなつもりで描きました

個人的な勉強まとめですが、どなたかのお役に立てばさいわいです。

参考にした資料

追記(2022年3月5日):

2020年に書いたこの記事、いまでもわりと読まれていてスキもけっこういただくんですが、初学者のまとめだしまちがいもありそうで心配です。プロの方が書いたちゃんとした解説記事も貼っておくので、参考にされるかたはそちらをどうぞm(_ _)m

追記(2023年3月11日):

作例を描きなおし、文章も加筆修正しました。この記事ほんとよく読まれてるので昔の下手なイラストが恥ずかしくなったのと、ほぼ写真トレスだったのが気になっていて。




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