見出し画像

古典文学お手軽読本その11 落窪物語編

はじめに


 『落窪物語』は、日本版の『シンデレラ』の話です。寝殿よりも一段低い、落窪の部屋に入れられた「落窪の君」は、継母にいじめられて、毎日着物の仕立てなどの仕事を押しつけられていた。そこへ、左近少将という王子様が現れ、「落窪の君」を救出するという物語です。
 話は変わりますが、平安時代のお姫様って日々何をしていたのでしょうか、イメージ的にはズーと部屋の中にいて、「おほほ」とかいいながら、おしゃべりとかして過ごしているイメージだったのですが、落窪物語を読んで、待てよと思いました。
 仕立ての仕事を押しつけられたということは、裁縫の技術を身に付けていなければできないことです。和歌を詠んだり書いたりするということは、古今和歌集とかをそらんじることができたり、習字とかもできないといけない。漢詩とか漢籍を理解するには、漢字が読めたり書けたり、意味も知っていなければならない。お香なども、自分独自の香りのものがあったということは、お香などの知識も必要だし、自分で調合とかできなければならない。着物の生地だって、自分用に染色とかしていたかもしれない。意外と忙しい日々を送っていたのでは? などと最近思うようになりました。

1.小説


◎『おちくぼ姫』
 田辺聖子:著 KADOKAWA 角川文庫
(物語の後半にある、継母などに対する復讐の話は入れず、全半部分のおちくぼの部屋から無事に救出されて、王子様と幸せに暮らしました。めでたしめだたし。で終わっています。)

◎『おちくぼ物語』
 田辺聖子:著 文藝春秋 文春文庫
(物語の後半にある、継母に対する復讐などちょっとドロドロした内容の所は、田辺聖子流にさらっとまとめて、全体の物語を作り上げています。当時の風習などの説明も入れてくれてあるので、全体の内容もよく分かります。)

2.漫画
◎『落窪物語』 マンガ日本の古典2
 花村えい子:著 中央公論新社 中公文庫
(後半の復讐などの話は入れずに、落窪の君と少将とのハッピーエンドのラブストーリーという感じでまとめてあります。漫画ですからこれで良いと思います。)

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?