日本史のぬかるみに足をとられてその2 徳川家康を育てた女性編
はじめに
日本史を女性目線から見ていくと、面白いことに気がつきまして、女性が関わる小説などを中心に、歴史小説の本を探し出して読んでいます。
今回は、徳川家康。NHKの大河ドラマ『どうする家康』では、悩み多き家康像をテーマに描いていました。でも何か、女性目線の内容が少なかった気がします。徳川家康という人物は、祖母、実母、正妻、側室、様々な女性の力で作り上げられていったのでは?そう思っています。そのような気になる小説を中心に紹介したいと思います。
◎『月を吐く』
諸田玲子:著 集英社 集英社文庫
(徳川家康の正室であった、築山殿こと瀬名姫の話です。こんな感じの恋愛小説みたいにして良いのかな。しかも、殺されなかったということになっていますが、どうですかね?)
◎『越前宰相 秀康』
梓澤 要:著 文藝春秋 文春文庫
(徳川家康の次男、結城秀康とその生母のである「お万の方」の小説です。秀康は実は双子だったのですが、当時は双子は忌み嫌われる傾向にあって、それに気づいた「お万の方」は、城を抜け出してこっそり出産をして、もう一人の子供を他家に預けることで、双子では無かったことにして、秀康を助けたのでした。そのようないきさつから、父親にはなかなか認めてもらえず、秀吉の養子となり、さらに結城家の養子として出されるという形になりました。父親に認められたいという強い気持ちがあったのでしょうか、頑張りすぎてしまったのか、あまり長生きできませんでした。秀康が2代目将軍になっていれば、歴史も違った形になったのかな?)
◎『家康の女軍師』
近衛龍春:著 新潮社 新潮文庫
(家康の側室のお奈津の物語です。関ヶ原の戦いや大坂夏の陣・冬の陣では、影武者として、さらに軍師として活躍をしていたとのことです。裏から見た、家康の晩年の合戦の様子という感じでしょうか。)
◎『仇花』
諸田玲子:著 光文社 光文社文庫
(家康の最晩年の側室となった「お六」の話です。しかも、途中で突然いなくなってしまいます。それは、実は・・・。)
◎『家康を愛した女たち』
植松三十里:著 集英社 集英社文庫
(家康に関係する七人の女性が、語り口調で家康についての話をするという小説です。歴史の裏話的になっていて、なかなかおもしろいです。七人とは、祖母の華陽院、正室の築山殿、母の於大の方、秀吉の正室の北政所、側室の阿茶の局、孫の徳川和子、家光の乳母の春日局です。)
◎『家康と九人の女』
秋月達郎:著 PHP研究所 PHP文芸文庫
(家康を取り巻く女性の目からの話です。祖母の源応尼(於富)、母の於大、曳馬城主のお田鶴(たづ)、正室の瀬名姫、側室の於葉、側室のお須和のちの阿茶の局、などが主だった登場人物です。(あれ、六人しかいないな?)話の中身としては、桶狭間の戦いから、三河、浜松、駿府を手に入れるまでの話と、最晩年の話です。三河で独立してから駿府を手に入れるまで、ものすごく時間と労力がかかっていることが語られています。日本史などでは、サラッとすぐに手に入れることができたみたいな感じで語られるのですが、実はものすごく苦労をして手に入れたことが分かります。そういうことを感じられることも、歴史小説の良いところです。)
※徳川家康について、大まかに知りたい人は、漫画が出ていますので、それを読むと良いと思います。ちょっと量が多くて、お手軽とは言えませんが。
◎『徳川家康』(全八冊)
山岡荘八:原作 横山光輝:作画 講談社 講談社漫画文庫
(横山光輝さんの良いところ? は、登場する女性の顔がほとんど一緒の所です。側室のことなども詳しく出ているので、徳川家康について知るのには良い本です。)
※扉の写真
JR静岡駅の南口あたりにある、マンホールの蓋。気にしながら見ると、色々なのがあります。静岡だと「ちびまる子ちゃん」のマンホールの蓋などもあります。ちょっと、足下とか気にすると新しい発見があります。