見出し画像

#1 月へ鳴門へ、はじめの一歩の話


はじめまして。西麻布のフレンチレストラン・フレンチモンスターの、錦織信子と申します。コロナ以前から、通販、お菓子製造、小売り、卸など、いろんなことにチャレンジしてきました。こんな時代なので「どうやって始めたの?」と聞かれることも増えてきたので、少しまとめてみようかな、と思い立ちました。圧倒的「わたし目線」でお届けします


2017年夏の頃、夫が言い出した。
「徳島銘菓、作ろうと思うんだ」
これが、鳴門金時のクリームサンド「月へ鳴門へ」のはじまり。


夫は専門学校時代のともだち・上原くんにお願いして、すでに、何種類かのお菓子を作ってもらっているという。
徳島へ行って、いろんな人に食べてもらうんだ、という。

家にあった、袋のサンプル、
阿波番茶を入れるのに使っていたワイヤー付き袋のひとまわり小さいサイズのやつを見て。

「これがいい。そうだ、ノブのお母さん、習字の先生だったよね。
袋にちょっと書いてもらおう」と。

那須の実家に帰省したときに
「お母さん、ここにちょっと、【月へ 鳴門へ】って書いてもらえませんか」って、わあ、上手だなあ、さすがだなあってワイワイ盛り上げながら書いてもらった。


上原くんがこの時作ってくれたのは確か、
・酒粕を使った渦巻クッキー
・すだちとクリームチーズを合わせた小さなタルト
・鳴門金時のクリームサンド
だったように思う。

徳島から上機嫌で帰ってきた二人。
「みんな、美味しいって喜んでくれたよ。
鳴門金時のクリームサンドが一番評判良かったから、それにする」
と。

月へ鳴門へはこうして、
まるで夏休みの自由研究みたいな感じでスタートした。


私は。
「徳島銘菓を作ろう」というミッションに、ちょっと心が踊っていた。
西麻布のレストランは13席と小さい。
コースの利用が中心で、平均客単価2万円を超える。
この道数十年の夫とシェフがいれば、お客様にご満足いただける空間。

「飲食素人」の私は、労働力としてすら役に立たなかった。
しかも、「ちょっと今度、レストランきてよ」なんてお友達を誘えるような金額帯でもない。
いつも、レストランの隅で、自分を持て余していた。

でもお菓子なら。
作ってもらったものを販売することなら自分にもできるかもしれない。
お友達に「これ、美味しいから食べてみて」っておすすめすることもできるかもしれない。

持て余していた自分をなんとかできるチャンスかも。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?