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Wizardry1リメイク感想(FC版のみ経験者)

Wizardry1のリメイク(Switch版)をプレイし、初回クリアしましたので、レビュー的な感想です。
表題のとおり、自分はWiz1はFC版のみ遊んだことがある人で、Wizマニアというほどではありません。

本記事はただの個人的なプレイ感想ですが、ネタバレがあるので未プレイの方はご注意ください。

FC版Wizの好きなところ

まず前置きになりますが、自分がFC版Wizで好きな点をざっと挙げます。

  • ダンジョン探索とハクスラ以外の余計な要素をとことん排除しているところ(UIが極めて簡素、尺を食うイベントがないetc)

  • それでいて、末弥純さんのモンスターグラフィックと羽田健太郎さんの音楽によりチープ感がまったくない、気品のあるテイストに仕上がっていること

  • テンポが異常に良いこと

3Dダンジョンは別に好きではなく(ただテンポの良さの要因の1つはそれですが)、ロスト・石の中テレポートに代表されるシビア要素はむしろイヤです。笑

特に大きいのが3番目の「テンポの良さ」で、FC版を見たことがある方ならご存じのとおり、ものすごい速度でダンジョンを移動できるし、よくあるレゲーRPGのような鬼エンカもしません。
戦闘シーンではテキスト表示以外の演出が一切なく、Aボタンをずっと押していると何が何だか把握できない速度で戦闘が進行します。

ただ探索とハクスラができればいい。
余計な要素は一切要らない。
という、他に類を見ないほどの潔さがたまらなく好きです。

ちなみに自分は個人ゲーム制作もやっていますが、何よりも重視しているのがこのテンポ感です。
そもそも爽快感を得たくてゲームを遊ぶのだから、テンポがもっさりしてたら台無しでしょ、と思うのです。

ボリューム感と ”映え”

しかし、商業ゲームにおいては、必ずしも「テンポ感は早いほうが良い」という考え方ではないかもしれません。

1つには、あまりにサクサクゲームが進行してしまうと全体のプレイタイムが減ってしまい、最終的に「ボリューム感に欠けるゲームだった」という印象をプレイヤー与えてしまう懸念があります。

また、時代を経るに連れてゲームには豪華なグラフィックや演出が求められるようになってきました。
「求められる」といっても、ユーザが豪華さを本当に求めているというより、「メーカーの威信にかけて、貧相なグラフィックのゲームを世に出すわけにはいかない」「単純にグラフィックが貧相だと見てもらえない」という動機のほうが実は大きいのではと感じます。
いわゆる "映え" が必須な時代になっているわけですね。

静止画のグラフィックが美しい分には別にテンポ感も損なわれないのですが、美しいグラフィックと統一感をもたらすためには相応のリッチな演出があるほうが自然で、結果としてテンポ感はある程度犠牲にせざるを得ないはずです。

リメイク版やってみた

前置きが長くなりましたが、ともかく実際に触ってみないと話にならないのでSwtich版を5/24に購入してクリアまで遊んでみました。

宿屋とレベルアップボーナス自由配分、好感触

これは初日の感想ですが、ポスト文面の上2点で書いたとおり、まず宿に1回止まれば全快できるのはかなり嬉しいポイントでした。
加齢を気にしながらちまちまと安宿でHP回復するのはあまり好きではなかったので。笑

また、レベルアップ時にボーナスポイントを割りふれるのはありがたいですし、腕の良し悪しも問われます。
割り振られるボーナスポイントがマイナス値ということももちろんないので、ようやくレベルアップしたと思いきや「HPが1あがった、ちからが1さがった」みたいな「おい、退化しとるやないか」という悲しい事態が発生しないのも安心です。

リセットさせたくない制作サイド、リセットしたいプレイヤー

続いてこちら。
(文中の「マカニト」は「マハリト」の誤記です!)

制作サイドの意図はわかるんだけどなーと思いつつ、けっきょくはタイトル画面でセーブデータの複製(バックアップ)ができるので、ここぞという場面では事前にバックアップしてから進めば事故を防げたりします。

といっても、(自分がやったのはSwitch版なのでSwitch版の感触でしかないですが)一度ソフトを落として立ち上げ直し、バックアップからデータを復元して再開、というのはそれなりにめんどくさくて抑止力にもなりますし、Wizらしさをキープするためにはこれくらいが妥当な仕様なのかもしれません。

低レベル間接呪文が弱体化

これは地下10階でグレタさんグループに会ったときのもの。
(グレタさんは地下10階を拠点にする活動家です。よく熟練の冒険者に捕まっています。)

Xのリプライで教えていただいたのですが、モンティノはレベル8以下の敵にしか効かないらしいので、FC版のようなモンティノで封じて養殖、という技は使えないようです。

ま、グレタさんの養殖はさておくとしても、モンティノのみならずカティノもFC版に比べると効く相手がかなり限られています。
ちなみに逆にラカニトはグレタさんやワードナにも効くことがあり、マバディに至ってはなんと必中らしいです。

このあたりはそれぞれのバージョンの違いで面白いところでもありますが、ラカニトやマバディを覚えるのは終盤なので、どうしても中盤までほぼ直接攻撃呪文だよりになってしまうのは、自分としてはちょっと戦略の幅が狭まって残念に感じました。

お宝ハントはたのしい

お宝に関してはFC版とあまり変わらない感触でした。

B4Fのブルーリボン突破くらいまではほぼゴミだけど、宝箱を全スルーすると金策がつらいのでそのために宝箱を開ける。
ブルーリボン後はお宝も割に合うものがもらえるし、店売り品だけだとだんたん辛くなってくる。
さすがのバランス加減。

FC版はACバグがあって防具が死んでいた分、リメイク版のお宝ハントはWizの楽しさを存分に味わうことができます。

とんでもない最後の罠

https://twitter.com/frenchbread1222/status/1796113725524516921

最後にこちら。いやあ、これはびっくりしました。
(Xではセンシティブ画像設定したせいかnoteにうまく貼れず、画像とポストのURLを別々に貼りました。)

WizのドS要素が好きな方には「これでこそWizだよ」とニヤリとするところかもしれませんが、いやはや、なんというかこれは・・

FC版でこのクリア時アイテム没収仕様をなくしたのは素晴らしい判断だったと思います。
ファミコンは大衆向けゲーム機で子供プレイヤーも多いので(僕もファミコン時代の子供でした。まあWizは当時は難しくてクリアできなかったんですが)、これでクリア時にアイテム没収されてたらクソゲー認定不可避・・というほどではないかもですが、ここまで神ゲーには昇格されていなかったかもしれません。笑

総評的なもの

このように個々のポイントとしては、好きな部分もあったし、ここはどうなの?という部分もありました。
といっても、ここまで挙げた「どうなの?」側の要素は、大元のApple版の仕様を引き継いでいるようなので、リメイクとしての問題ではないと言えます。

しかし、そんなことより一番気になってしまったのが、記事の序盤で書いたとおりなのですが、リメイク版ではFC版の素晴らしいテンポ感が失われ、"映え" に走ってしまっているという点です。

いや、もちろん"映え" を重視するのは当たり前なんですよ!
今の時代にスーファミや初代プレステくらいのクオリティのグラフィックでリメイク出したら「大丈夫か、このメーカー」って思われちゃいますしね。

ただ、どうにも納得がいかなかったのが戦闘開始と戦闘終了にいちいち時間がかかるのと、また戦闘中のモンスターのモーションも一部遅延行為としか思えないようなものがあります。

以下、細かい話でプレイ済みの人でないと伝わらないですが、たとえば

  • 戦闘開始時にモンスターの1体が何らかのリアクションをする。人間系だったら武器を突き上げて声をあげる、獣やドラゴンだったら上体を起こして吠える、とか。これが何故か、こちらが先制攻撃のときにも発生する。気づいてないのにリアクションするのおかしいでしょ。

  • 地下1階の道場でおなじみ、マーフィーズゴーストの攻撃時のモーションや倒した時のモーションが嫌がらせのように長く設定されている。おかげでマーフィーズ狩りのストレスがかなり増す。おそらく意図的なもので、やすやすと修行されないようにしたのではないか?と疑っているが、プレイヤーに損をさせるためだけの仕様に思えてしまう。

こういった辺りは、自分としてはちょっと賛同しようがない点です。

そういうわけで、トータルの感想としては、正直に言うと「リメイク版よりファミコン版の方が好きだった」でした。

余談:プレイしながらSNS、懐かしい感覚

と、つい文句に熱が入ってしまいましたが、十分に楽しませてもらったのは間違いありません。

ゲーム内容そのものとは少しずれるのですが、今回プレイ体験を向上させた大きな要因の一つが、(日本語版の)発売直後に購入して、Xでポストしたり他の方のポストを眺めたりしながら遊べたという点です。

なんといいますかね・・子供時代に発売されたてのドラクエやFFを遊びながら、周りの友達の話を聞いたり、自分はいまここだよー、あのボス強すぎん?などと話してキャッキャしてたときに似た感覚を得られたのですよね。
実に懐かしい感覚でした。

また、そもそも自分周辺の世代の人にファンが多いWizardyという超名作のリメイク(買ってなくてもFCや他機種版を遊んでいるたくさんの人は話が通じる)だからこそ、こう盛り上がれたわけで。

ゲームそのものに夢中になったり憤激した記憶も、ゲームのプレイ体験を友達と話し合った楽しい思い出も蘇らせてくれた、なんやかんや素敵なリメイクでした。

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