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これから小学校へお子さんをご入学させる若きパパママへ〜学級編制にまつわるエピソード(3)〜

お話が長くなっていますが、今回で最終回です。

自分が首の皮1枚で教員として正式採用されたお話↓

からの、熊本県天草の小さな小さな分校に赴任したお話↓

からの今回です。
分校では児童9名、教師4名でした。
当時を思い出して、ボールペンで走り書きしてみました。

もしもS家のお二人が分校に通学しなかったら の図

自分が1回目の電話を受けていた3月の終わり頃、この分校のそばに住む
5人家族のS家では、この4月から3年生になるカズヒロ君と
新1年生のコウイチ君を、自宅近所の分校に通わせるのか、
はたまた自宅から5kmほど山道を下ったところにある二浦小学校に通わせるか、
まだ決められてませんでした。
決めようにも、一家の家長であるお父さんは、漁師として船で遠くの沖合に
漁に出て不在なため、お父さんを頼るお母さんは、一人で迷っておられ、
町の教育委員会から電話があっても、
「すみません、主人と連絡が取れないものですから・・・」
と、決定を伝えられずに悶々とされていたのだそうです。

それでも、もう待てない、という日が来て、
また教育委員会からの電話があったので、
「それじゃ、漁協に相談して、漁業無線でお父さんに聞いてみます」
と、返事をしたのだそうです。
お父さんは海の上で寮の仕事に忙しい。
奥さんからの無線の連絡に、
「そんなことはお前に任せるから、決めてくれ!」と、一任。
お母さんは、まあ、家も近いし、毎日クルマの送り迎えというのもな・・
と、仕方なく一人で決断を下し、
「じ・・じゃあ、うちの息子たち2人、分校で・・・・」
と、心細げに教育委員会に返事の電話。

さあ、慌てた教育委員会。
二人の子が分校に来る、となれば、
法律上、現状のままの二人指導体制から4人体制へ、
つまり教員を二人新しく見つけなければなりません。
と・・・いうのも・・・
法律上、こんな分校のような小規模校の複式学級は
「一学級に二学年のまたがりまではOKだが、三学年以上の混在はNG」
と決められていたからです。もう一度、図をご覧ください。

もしS家のお二人が の図

二人が分校に来てくれたことで、分校の子たちは9人になりました。
新1年生コウイチくん、2年生1人で低学年学級、
担任はご夫婦でこの分校に来られている奥様の方のK先生。
自分は3年生4人の担任、このうちの一人がS家のカズヒロくん。
そして、5年生の2人と6年生の1人、3人の複式学級、
担任は、自分と同じ新規採用のT先生。

ご夫婦のダンナさんの方、A先生は分校主任の専任の業務担当。

これがもし、S家の二人の息子さんたちが分校に来なかったら
2年生1人と3年生の3人をK先生が受け持ち、
5年生2人と6年生1人をA先生が受け持つ、という二人体制のまま
だったんです。

自分と、T先生はその年度からの正式採用は無し、また来年
採用試験をお受験・・・ということになっていたんだと・・・

ここまで長くお読みくださり、ありがとうございました。

つまり、お伝えしたかったのは、
一人のお子さんのカウントで、その学校や地域が
すったもんだの大騒ぎになるくらい、
学級編制に関する法律にまつわるエピソードは日本中に
あるのだ、ということをご承知おきいただきたかったんです。

いやあ、おそろしいですねえ・・・
あの時、S家のお母さんが、
「じ・・じゃあ、二浦小に・・」
と、お電話口でおっしゃって言われていたら、
どうなっていたことでしょう・・・😱

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