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「揃え」〜オーケストラヴァイオリンパートの運指の件〜

先日、久々のオーケストラ本番を楽しんだ。
素晴らしいMENU(曲並び)でお客様も楽しんでくださった。
その中の1曲 シベリウス作曲「カレリア」組曲の第1曲目を
サンプルにして書きたいことを思いついたので。

長年(足かけ・・・53年!!歳とった😂)オーケストラ活動に参加させてもらっていて、いまだに自分の中で悶々とすることの一つに、「揃え」の問題がある。

オーケストラは時に80人を越す大きな音楽団体、その中でも一番多くの人数を
ヴァイオリンパートが占める。

「あんなにたくさんの人数がいて、あの・・弓っていうんですか?あれの動きが前の方から後ろの方までいつもよく揃うなあ・・って不思議で・・」

オーケストラのことについて不思議に思うこととして、
この質問をよく受ける。

これはもちろん、「自然と揃う」のではなく、「努めて揃えている」と。
弓の上げ下げをボウイング(運弓)というのですが、
それを決定する仕事を担うのが「コンサートマスター」。
ヴァイオリンの一番前、指揮者の一番そば、
外側でお客様にも一番目立つところに座ってる奏者のこと。

コンサートマスター、略称コンマスは、その曲のリハーサルに入る前には
団員に通知できるようにボウイングを決定しておくのが仕事。

・・・で、今回の話は、その右手の激しい弓の動きを揃える話ではなく、
左手のフィンガリング(運指 指遣い)の件。

前述「カレリア」組曲、ファーストヴァイオリンの1ページ目の楽譜を
閲覧してほしい。

カレリア組曲 1ページ目(1st Violin)

ここには、自分が本番の時に行ったフィンガリングを記入している。
自分は、最初のこの部分がざわつかず、静謐を保つ、例えば
明け方の霧に見え隠れする湖の風景のように、ボウイングも音質も波立たせない
この演奏が好み。
ここでプロのオーケストラのYouTubeを観察。

チェロは弦を跨いで行っているが、
ヴァイオリンはSul D(D線1本で の意味)で演奏をしている。
これを自分たちの本番の時に、拡散した方がよいかどうか、
最後まで迷っているうちに今回は本番が終わった。

プロであれば、コンマスの奏法をすぐに完コピできる。
でも、アマオケは技量も様々、集まって合奏する機会も少ない。
だからいつもこのような悶々としたことが燃え残る。

音楽は、100点のない世界。
上を見ればキリがないけれど、この辺で、と妥協したら
途端に魅力が褪せる。
そんな世界なので、つい、本番が無事に終わっても
よかった、よかっただけでは済まさず、次はもっと・・と
思うことが、悩ましくも魅力的な音楽の世界。

次回はドヴォルザークの交響曲9番「新世界から」
この曲も、ボウイングはもちろんのこと、
フィンガリングを揃えると、美しさがより際立つ部分が多数。

さらにいい演奏を目指すことができるとよい、と
来春に思いを馳せる。

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