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クミちゃんとブレーブス①

 休日の昼下がり、本屋さんで一冊の本を見つけた。「阪急ブレーブス 誇り高き勇者の魂」
 手に取ると、1970年代の阪急全盛期、西本監督から上田監督に至る時代を当時の選手のインタビューや対談を軸に構成されていた。
 読んでいるうちに40年以上前の出来事が思い出され、気がつくとレジに向かっていた。

 1977年、小学5年の時、住んでいたサッポロの西の町に大阪からクミちゃんが転校生でやって来た。
 クミちゃんはスレンダーで、メガネをかけ、優等生だったが、気さくで明るく、関西弁を駆使しながら、サッポロでも友達を早々と作っていた。

 秋のある日、クミちゃんから「うちに遊びに来ない?」と誘われた。「何で?」と思いつつも、土曜の授業が終わった後、手土産を持って、クミちゃん一家が住むマンションに向かった。借り上げ社宅のマンション、それもエレベーター付きなんて行ったことがなく、緊張気味だったと思う。
 本を読んだり、鬼ごっこかかくれんぼみたいなことをしていたと思うが、どんな遊びかだったまでは覚えていない。

 1時過ぎにクミちゃんの父さんが帰って来た。そこからの記憶は何となく覚えている。「遊びに来てくれてありがとう。クミ、良かったね。友達来てくれて」と話してくれ、「今日は日本シリーズがあるから、ビールでも飲みながら野球観るか」とテレビを付けた。
 阪急ー巨人の日本シリーズ。当時、サッポロのテレビでは巨人戦の中継ばかりで、野球好きの贔屓は圧倒的にジャイアンツ。パ・リーグのチームは、周りも殆ど知らなかった。


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