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闘病記(62)ラッキーかもしれない。

 今回のテキストは、いつもの 「リハビリ病院入院生活について」的 なものではなくて、つい最近の出来事で「これは忘れないうちに書いときたいな。」と思ったことを記します。
 もうかれこれ27年前のことになる。自宅のアパートで、とある保険会社の人から説明を受けていた。というのも、ある日、双子の兄から電話があり、
「生命保険の人にヒデのことを紹介した。連絡があると思うけど びっくりしないでね。外資の会社なんだけど、保険の内容が良かったから俺は 加入する。」
と、5秒後に自動消滅をしそうな連絡があったからだ。
 そんな経緯でやってきたのは「人の良さそうな」男性だった。
 驚いたのは、分厚いクリアファイルに入った資料を駆使して、ど素人の自分にも十分に理解できる明快な説明をしてくれたことだった。
 ご自身の話などをまじえながら「人生で直面してしまうかもしれないリスクと、生命保険との向き合い方」について話をしてくれた。とかくものごとを斜めから見てしまう癖がある自分は、「すごい 営業トーク だな。 どのくらい トレーニングをしてるんだろうな。」などと考えてしまいがちなのだが、グッと来たのが
 「保険というのは、支払っていても、 ご本人様あるいは ご家族の方に何もなければ損になる場合があります。でも それは幸せなことだと思うのです。皆さんお元気で過ごせたということですから。ただ、あってはならないことですが、万が一の事態があった場合、この保険をフルに活用していただいて、皆様をおまもりさせていただきます。」
という言葉だった。 
 結果、職場(学校の職員室)を訪ねてきた外交員の人から軽く 説明を受け、「周りの先生たちも加入してることだし。」と、コンビニで弁当でも買うようなノリですでに加入していた他社の保険を見直し、新い保険に加入し直すことに決めた。
 そして 23 年後、自分は「あってはならない万が一のこと」に直面した。 脳出血、それも 脳幹部からの出血という最悪の向き合い方で。兄が一報を入れ、ちょうど 県をまたいだところにいた彼が、車を飛ばして病院に駆けつけてくれた。 自分は当然覚えていないのだが、家族の言葉によると 彼の病院滞在は長時間に及び、こちらの質問にも的確に答えてケアしてくれたということだった。
 その後、眼の手術を2回にわたって行った際には、手術費用の申請と受け取りはスムーズに行えているかなど、こまめに連絡をくれた。さらに2度目の入院を余儀なくされた時には、入院費用の支払いが滞りなく行われるように アドバイスをくれた。   
 発病から5年が経過しようかという今に至っても、近くまで来たら(彼は日本全国を飛び回っている。) 見舞いに来てくれるし、今の自分の症状に合わせた保険の使い方を一緒になって考えてくれる。

「おまもりする。」という言葉は 決して大げさなものではなかった。

 つい先日、彼と、いつもお世話になっている相談員の女性と3人で、自分の現在の病状とこれからの生命保険との向き合い方について話し合いを持った。それから2週間ほどして、彼が書類を持って自分のところは訪ねてくれたのだが 、開口一番 、
「この前いらしていた相談員の女性の方、素敵な方でしたね。」
と切り出し、自分が説明して伝えたかった彼女の良さを全て語ってしまった。 
「あなたといい、相談員さんといい、リハビリに関わってくれるスタッフ、ケアマネージャー皆さんに本当に支えられています。」と感謝を伝えると  
「引き寄せの法則ですね。」
と笑っていた。
 病気になってしまったことは筆舌につくしがたいアンラッキーだ。
けれど、病気になってしまったあとの人との出会いは、ラッキーの連続だった。
若い頃に良い保険に入っていてラッキーだった。
息子が社会人になる時、
「趣味や 投資にお金をかけることは結構だが、保険だけはよくよく 比較検討して納得できるものに加入しとくんだぞ。まだ若いからイメージできないかもしれないが、いつ何が起きるかわからないのが人生だ。俺を見てみろ。」
と、大上段から言えることが、ラッキーなのかどうかは微妙ではあるけれど。

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