闘病記(51) 横文字
「へえー!」と病室で思わず声を出してしまった。某番組で使われていたボタンでもあったなら、20回ぐらい押していたと思う。なんと、なんと、リハビリテーションの起源は、古代ギリシア、医学の父と呼ばれるヒポクラテスまで遡るらしい。
このテキストを書くときは、何も調べることなく、記憶だけを頼りにすると決めているが、普段リハビリテーションを行っている時の自分はそうでは無い。
疑問に思うこと、行っている運動の効果、運動を効果的に行うためにどういったマインドセットをすれば良いかなど、療法士の方が教えてくださった以上の情報を収集し、高いモチベーションを保とうとしている。
目の見え方に問題があるため、かなり大変な作業となるのだが、この習慣はリハビリテーション病院に入院していたころからずっと続いている。
冒頭、リハビリテーションの起源について触れたが、これについて調べるにあたってはちょっとした理由があった。
普段自分を担当してくれる療法士の方がお休みをされるような時、代わりにリハビリテーションを行ってくれるスタッフの方の中に、いつも大変興味深い、リハビリや人間の脳について話をしてくれる人がいた。その人の話の中にちょこちょこと登場したのだ。「横文字」が。
例えば、
「……と言う考え方があって、実際患者さんの中には回復につながっている人もいるのですが、その説にはエビデンスがないんですよね。」とか、
「今、行ってもらった運動には効果があると言われているんですが、6ヶ月後、9ヶ月後のキャリーオーバーが無いんですよ。残念なことに。」のように。「なんか、かっこいいな。」と思ったミーハーな自分はその療法士さんとの会話の中で、積極的にそれら「横文字」を使うようになった。そればかりか、自分が素人なりに読んでみた論文に出て来た「横文字専門用語」を使ってみたりした。なんとなく「デキる人」になった気がしてみたり、
「すごいなぁ。赤松さん。よく勉強してらっしゃいますね!」
と褒められたりするのが嬉しかった。今にして思えば、いわゆる「意識高い系」の迷惑な患者だったなぁ、と赤面してしまう。
ただ、浅学であった事は否めないにしろ、リハビリについての多くの知識を学んだ時期でもあった。リハビリテーションの起源と歴史についてもそれらの中の1つだ。
古代ギリシャでは、食事療法、薬物療法のほかに、太陽の熱、水などを治療に用いた物理療法が既に存在し、それらはリハビリの起源と言われているらしい。その後、リハビリテーションがどのように発展し、その概念や目的、治療方法などが時代とともに変化してきたのかはここでは語りつくせないので、興味のある方は是非調べてみてください。
次に、自分が出会う「横文字」は、「デュアルタスク」だった。
その言葉についてのエピソードは、また次回に。
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