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「紅の物語」を未来へ届ける、高梁市吹屋の佐藤紅商店

取材 : 高山 和成・山口 百香 撮影 : 高山 かおり / STAR*14号掲載

佐藤紅商店は、岡山県高梁市吹屋で調味料の製造・販売をされているお店です。お店では、店主の佐藤拓也さん自らが育てている唐辛子(鷹の爪)と高梁産の柚子を使った柚子胡椒「吹屋の紅だるま」や柚子唐辛子「吹屋の紅てんぐ」、コーレーグス「吹屋のからみ」、ドライピオーネ、柚子のマーマレードなどを作っています。

多種多様な商品を生み出す佐藤さんにとっての「刺激」とはなにか。
今回のインタビューでお話をうかがいました。

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店主・佐藤 拓也さんについて

佐藤さん

佐藤さんは元々大阪のペットフードの販売会社で勤めていたそうだ。都会での生活が窮屈になり、自然に囲まれた田舎での生活に憧れるようになり、旅先で魅力的だった高梁市の地域おこし協力隊に応募。採用が決まり、吹屋での生活をスタートさせた。

最近開発した柚子のマーマレードは、紅だるまの材料である柚子をあますことなく使いたいという佐藤さんの考えから生まれた。柚子の小さな種を丁寧に手で取り除くことで、果肉のはっきりとした食感が楽しめるマーマレードになっている。

「紅の物語を未来へ届ける」ツール

佐藤紅商店は、2016年から岡山県高梁市吹屋にある地域の元調理場兼コミュニティハウスを加工場に変え、調味料の製造販売をされている。店主の佐藤拓也さん自らが育てている唐辛子(鷹の爪)と高梁産の柚子を使い、柚子胡椒「吹屋の紅だるま」や柚子唐辛子「吹屋の紅てんぐ」、コーレーグス「吹屋のからみ」、ドライピオーネ、柚子のマーマレードなどを作っている。
コーレーグースは泡盛に島とうがらしを漬け込んだ沖縄の調味料。吹屋のからみでは、吹屋で生産された唐辛子(鷹の爪)と地元の酒蔵「白菊酒造」の米焼酎を使用している。

佐藤紅商店第一号の商品「吹屋の紅だるま」には、「吹屋の紅の物語を未来へ届けていきたい」という佐藤さんの思いが込められている。

「『吹屋の紅だるま』の由来は、紅(ベンガラ)のまち吹屋からきています。昔の吹屋は、酸化鉄から取れる天然の顔料『ベンガラ』の名産地で、東大の赤門、鳥居、焼き物の絵付けに使われていました。ですが、安価で大量生産できる工業用ベンガラが誕生、普及すると高価で生産に手間がかかる吹屋ベンガラは衰退し、昭和末期に最後のベンガラ工場が廃業。まちは衰退していきました。

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【上写真】ベンガラ格子が代表的な吹屋のまち

ベンガラにかわるまちの特産品を作りたいと思っていたある日、近隣の集会で偶然食べた赤色の柚子胡椒が驚くほど美味しく、同じ紅色というベンガラとの共通点から、吹屋の『紅』の物語を未来に繋げていきたいと言う思いを込め、吹屋産の柚子胡椒、『吹屋の紅だるま』が生まれました。」

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【上写真】「吹屋の紅だるま」は、和食に合わせると柚子の香りで上品な味に、「吹屋の紅てんぐ」は唐辛子と柚子果汁で作った柚子唐辛子だ。パッケージデザインは岡山のデザイナーCOCHAEさんが手がけている。(写真提供:佐藤紅商店)

「刺激」は日常生活にあふれている

「自分の商品開発のアイディアは、脳みそを半分空っぽにすることで得られる日常生活の刺激からきている」と佐藤さんは語る。

「移住する前は、仕事のことで頭がいっぱいでしたが、吹屋での生活はあらゆる体験が刺激になり、脳のキャパシティにも余裕が生まれたので色々なアイディアが出てきます。アイディアがあれば試作をし、知り合いやお客さんの意見をもとに改善する。自分が理解できない農薬や添加物は使わずに、胸を張って『美味しい』と思えるものを作り続ける。競合社会から離れ、豊かな自然に囲まれて暮らす中での仕事はストレスもなく楽しいですし、やりがいも感じています。」

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【上写真】原材料の唐辛子を収穫する佐藤さん(写真提供:佐藤紅商店)

佐藤さんが自分の「美味しい」という感覚を大切にし、トライアンドエラーで徹底したものづくりをされるからこそ、県内外の人々も惹かれる吹屋の魅力が「吹屋の紅だるま」をとおして伝わってくる。
 吹屋の紅の物語を未来へ届けていきたい。そう力強く語る佐藤さんの手によって作られる「紅」の物語が、これからも多くの吹屋の魅力と共に広がり、町と人を未来に繋げる新たな「刺激」を作っている。

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【上写真】通信販売や岡山県内に留まらず北海道、東京など佐藤紅商店のコンセプトに共感される店舗へ商品を置いている。吹屋内では長尾醤油酒店(岡山県高梁市成羽町吹屋704)など、各所で取り扱われている。

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佐藤紅商店
TEL |080-1487-6077
MAIL |benisyouten@gmail.com
WEB |https://satotakunejp.stores.jp




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