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【編集部座談会】フリースタイルな僧侶たちVol.59 前半

フリースタイルな僧侶たち59号 特集「ひとり」が11月30日にリリースされました。

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リリース直後からSNSではたくさんのご感想をいただいています。また、今まで『フリースタイルな僧侶たち』を知らなかった方からの「読みたい」というお声もたくさん伺っております。本当に嬉しいです。

さて今回は、「ひとり」特集をさらに多様な視点で楽しんでいただけるよう、編集部メンバーで座談会を実施しました。その模様を書き起こし形式でお届けします。


59号の詳細はこちらから。
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参加者:編集部
・稲田ズイキ(編集長)
・福井裕孝(デザイナー)
・K NORIMASA (編集)
・藤山亜弓(編集)
・秦正顕(編集)※今回は欠席



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11月27日夕刻、15000部のフリーペーパーを封筒に封入し、全国の配布先へ郵送しました。この座談会はその直後、59号のリリースに関わるすべての作業が終わった後に行われました。

稲田:あー、お疲れさまでした。発送作業が終わりまして。ようやく、明日、明後日くらいに皆さんの手元に届くという状況まで来たわけですけど、改めて今回の59号は、なんかすごい大変やった気が…(笑) たしか去年の春ごろにテーマが決まったんちゃうかな…

K:そうですね。

稲田:いや〜長い道のりやったね。というわけで、それぞれ今回の制作でどういう役割をしたのかを振り返ってもらって、今回の号の語りたい部分とかがあれば、話してもらおうかと思います。じゃあ…Kくんから。

K:はい。Kです。撮影担当してました。僕は今回の号で初めて編集部に参加して、

稲田:そうそう、前回の号を制作してめっちゃ大変やったから、編集メンバーを募集したいと思って、その要項をSNSに投稿してはじめに連絡くれたのがKくんやったんよ。

K:そうでしたね。その募集の投稿を見て、ずっと気にはなっていたんですけど、一週間くらい入るか入らんか悩んだんですけど、入らせてもらって。今は基本的に撮影を担当させてもらっています。

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編集部:K NORIMASA

稲田:撮影だけじゃなくて、もう全作業のサポートというか。59号に関してはコンテンツの掲載順とかでアイデアをもらったりしたこともあったし。K君の写真がデカデカと掲載されたグラビアみたいなページもあるよね。

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K:感慨深いですよね。自分の写真が紙となって雑誌に載るって……なんか感動しました。実際に出来上がったものを手にとって開けて見て……うん、嬉しかったですね。

稲田:これはフィルムカメラ?

K:そうです。近くの展望台みたいなところから一人で撮ったんです。別に「ひとり」ってテーマを考えて撮ったわけではないんですけど、すごい思い入れがある写真で。

稲田:なるほど。この写真いいよね。島が写ってんねんけど、この島を見ている主体が見えるんよね。展望台に行ったら、何見ていいかわからんくて、とりあえず島見てる感を思い出すというか(笑)

K:そうですね。僕は見てもらった人の捉え方でいいんかなと思ってて。もちろん、僕はいろいろ考えて撮ったんですけど、あんまりテーマを語りすぎるとアレなので。

稲田:ちなみに、この写真選んだのって福井君よね。

福井:…… 

稲田:たしか何枚かあるうちの写真を選んでくれたはず…

福井:そうやったと思う……

一同:(笑)

福井:なんやろう…前回(58号)は写真バーンみたいなページがなかったから、それが今回あってよかったなっていうのと。でもなんか、Kさんがくれたいくつかの写真の中ではこれが一番いいなって思った。

これを撮ったKさんがあんまり見えないというか。ここに写ってるのがどことか誰のものとかじゃなくて、誰にでも等しく開かれている感じがあった。この風景に対しては誰もが一人になれるみたいな。

K:…ありがとうございます。

稲田:Kくん的に59号の見てほしいポイントある?

K:1ページずつめくっていく中での緩急のつけ方というか。テーマはあるんですけど、まとまりすぎずバラけすぎず、いろんな見方ができる余白があるというところですかね。

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稲田:はい!じゃあ、次は藤山さんに聞きます。

藤山:私もKさんと一緒でこの号からの加入で、たしか参加したのは5月ごろだったと思うんですけど。私はOQTA HATOのページのライティングをしました。

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OQTA HATO:株式会社OQTAが開発する、言葉にならない思いを届ける鳩時計。定刻では鳴らず、誰かが専用アプリのボタンを押した時に鳴る仕組み。

藤山:私、OQTA HATOをおばあちゃんと実際に使ってみたんです。そしたらおばあちゃんすごく喜んでくれて。「孤独を和らげるんやな〜」って思ってたんですけど、お坊さんに取材した時に「孤独にいいも悪いもない」っておっしゃられて。解消するのではなくて、「同じ時間軸に生きているということをお互いに感じ合える」って捉えられていたのが、印象に残ってます。

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編集部員:藤山亜弓

福井:そこ、すごい本質的な話でしたよね。この号は全体的に「ひとり」っていう大きいテーマの周辺にあるものをフワッと語ろうとしてる感じやったから、こういう直接的に言及してるページは読むと際立ってました。

 稲田:でも、それを直接的にコラムで書くんじゃなくて、OQTAっていうアイテムを挟んでそのリアクションとして載せるのは、ちょうどいいバランスになったなぁって思った。

あとね、ライティングだけじゃなく、藤山さんは校正で、すんごい働きをしてくれたんですよ。多分ね、僕らメンバー全員、細かく文章のチェックするのとか苦手で。

藤山:でも、私が一番苦手なんですよ。

稲田:そうなの? いやでも、苦手な人のチェックの仕方ではなかったよ。誤字脱字とか文章の細かい開き閉じとか詳細に見てもらって、本当に助かりました。

今回の号で見てもらいたいポイントはある? 

藤山:どのページも好きですね……俳句、いいですよね。そういえば、これどうして俳句にされたんですか?

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今回の誌面では、尾崎放哉の著名な自由律俳句「咳をしても一人」を紹介し、さらに6名のクリエイターにそれぞれの「咳をしても一人」を詠んでもらいました。

福井:俳句やるって、3月くらいには決まってたような。エッセイとかインタビューやと常に相手とか読者との関係の中での言葉になるから、閉じた一人の言葉を拾おうって考えると、なんか俳句なんじゃないすかって。

稲田:そうや、俺はその時、西行っていう和歌を詠んでいた平安時代のお坊さんの本とかを読んでて。その人は庵を建ててそこで生活しながら和歌を作っていたから、コロナ禍のステイホームは西行っぽいね、みたいな話になり。で、その上で、尾崎放哉にたどり着いたんは、たしか福井君がなんか言ってた気がする…

福井:………忘れたなぁ、覚えてないっすね。

一同:(笑)

 稲田:まぁでも、尾崎放哉の句って、やっぱすごい句なんよね。そもそもこの句自体が孤独を詠ってるんやけど、その上で「なんで今これ詠むの?」って感じで、場面自体が孤独であるという。詠んでること自体が寂しいっていうんかな。今回の号も直接的に孤独を語るんじゃなくて、言葉の主体自体に目が向けられるような構成にしたかったっていうのがあると思う。

K:そうっすね。あと、自由律っていうところですかね。五七五の俳句とか短歌にしよかって色々議論があったと思うんですけど、自由律に落ち着いたっていう。

稲田:短歌だと冗長だからエモに傾いちゃうし、形式があるとどうしても大喜利っぽくなってしまうって話があったような。

福井:そうですね。サラリーマン川柳みたいな。「ひとり」を面白おかしくする昇華する感じに偏るとよくないなって。今紙面に並んでる句は絶妙ですよね。

稲田:そういう意味では、ここに載ってる俳句は本当にいい作品を寄せていただいたなって思うな。作品についてはあまり僕の口からは語りたくないんですけど、一つだけ。

伏見歴道さんというお坊さんが詠んでくださった句があって、ご本人も言ってたんやけど、禅語をそのまま詠まれてて。すでにある言葉をそのまま自由律俳句として読むって、なにその技術!ってびっくりして。

福井:サンプリングっすよね。

稲田:そうそうそう。すごすぎてびっくりしちゃった。他の5名の俳句もそれぞれに尾崎を自由に解釈して詠んでいただいてて。文字数の少ないページのはずなのに、何度も噛み締められるページになったと思う。

(座談会の後半は後日公開予定です)

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