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サービスデザインを学びfreeeへ、新卒2年目で見えてきた課題とは

こんにちはfreee株式会社でfreee会計というクラウド会計ソフトのDesign Leadをしているhiroです。

freeeには2021年7月に中途入社しました。新卒でfreeeに入った人がどんなことを考えているのか興味があって、この新卒入社したデザイナーを紹介する記事の執筆に参加することにしました。今回は全4回のうちの2回目です。1回目では入社1年目編を紹介しています。まだ読んでない方はそちらもぜひどうぞ。

というわけで、2020年4月に入社したデザイナーのnagomuさんに話を聞いてきました。nagomuさんは大学時代はプロダクトデザイン、大学院時代にはサービスデザインのデザイン思考を専攻していたそうです。それがfreeeでの業務の中で、どのように活かされているのでしょうか。

大学院ではサービスデザインのデザイン思考を学んだ。チャレンジできる環境を求めてfreeeへ

nagomuさん顔写真

-- freeeに入社する前は、どんなことをしていたんですか

学部生のときには技術、ビジネス、デザインと分野に捕らわれず、浅く広く勉強していました。大学院(慶応大学大学院メディアデザイン研究科)では何かに絞って勉強したいと考えて、もともと興味のあったサービスデザインとデザイン思考のゼミ(OIKOS)に所属することにしました。あとは、入学してゼミを選ぶ際に、先輩たちとノリが合いそうと思った、というのもあります。

OIKOSでは、理想の世界を実現するために必要なサービスを考えるために、様々なワークをしていました。例えば、哲学的に「こんな世界があったらいいな」という理想の世界観と「その世界にいる人は誰か」を考え、次に現実にそれと近い経験をしている人を探します。そして、その人たちのところを実際に訪れて、民俗学的なフィールドワーク調査をします。その人がどんな行動をしているのか観察することを通して理想のサービスを逆算的に考えたりしていました。

-- その後、freeeに入社するまでの経緯を教えてください

逆求人というイベントに参加した時に、freeeの先輩社員と意気投合して冬のインターンシップに参加することになりました。その後、ニューヨークに留学をしていたのですが、freeeから採用の案内があったのでオンライン選考に参加しました。当時は留学先から、深夜に面接に参加していました。同時に、もっと大きなIT企業の選考も受けていたのですが、freeeくらいの規模の方が、自分が貢献できる部分が大きそうだし、自分の力になることにチャレンジさせてもらえるんじゃないかと思ったので、freeeに入社することにしました。

入社して、freee人事労務のいろいろな機能を担当

-- 担当業務について教えてください

現在のメインの業務は、freee人事労務のマスタ領域のデザインを担当しています。他に、同じサービス内の年末調整の領域の担当をしていたり、UXデザインチームの社外向けPRの取り組みにも参加しています。

人事労務というのは企業の従業員に関するあらゆることで、私はfreee人事労務の下記のような機能を担当してきました。

身上変更
従業員情報の変更(引越とか結婚)があった際に、従業員が申請し管理者が承認するという業務フローをfreee上で行えるようにして、「従業員が自身で変更内容を入力できつつ、管理者(労務担当者)が反映前に内容を確認することができる」状態を実現しました。

住民税月別管理
従来の仕様では、確定申告などの理由で住民税額が変動したり、休職により特別徴収を中止するなどした場合に、その年の全ての税額が書き換わってしまう仕様でした。これを月別に管理できるように再設計し、上記のような事態に対応できるようにして、利便性を向上しました。

顔写真登録
freee人事労務にて従業員ごとに顔写真を登録できる機能を追加しました。詳細はこの後説明します。

大学院で勉強したサービスデザインの考え方が、freeeでのデザイン業務で活きていると思います。ペルソナ、メンタルモデル、ステークホルダーなどの要素の中心にサービスがあり、サービスを介してそれぞれの要素の間でどのような行動が起こるか、その理想の状態はどういう状態か、ということを考えます。freee人事労務に当てはめて言うと、経営者や管理者、労務担当者、そして個々の従業員、それぞれの間でどのような情報の受け渡しがあるのか、それが快適で効率的であるのはどういう状態か、という考え方を自然にできるのは、私の強みだと思います。

-- 中でも印象に残っているプロジェクトがありますか

顔写真登録のプロジェクトは、いろいろな意味でインパクトが大きかったと思います。これは、freee人事労務にて従業員ごとに顔写真を登録できる機能を追加するプロジェクトでした。顔写真がいれられる人事マスタとして新たな流入が見込める上に、既存ユーザーはマスタのメンテナンス頻度を上げてもらうという狙いがありました。freeeには他にもいくつかプロダクトがありますが、freee人事労務が先行して機能開発するという稀な例に携われたり、さらに自分の考案したデザインが世に出る達成感やワクワクを初めて感じたプロジェクトになりました。
また、freeeの機能を紹介しているYoutubeチャンネルでポジティブに取り上げられているのを見て、自分の仕事が世の中に影響を与えていると実感しました。

freee人事労務の顔写真登録UI

組織図のプロジェクトも、深く印象に残っています。それまでは先輩社員と一緒にプロジェクトに参加していましたが、これを境にデザイナーとして独り立ちすることになりました。もちろん今でも周囲のサポートは受けますが、自分にとって一つのマイルストーンになったと思います。このプロジェクトでは、UXデザインの一連のプロセス、調査・設計・エンジニアとのコミュニケーションを全て自分自身で遂行しました。

-- そんな中で感じた難しさがあったでしょうか

そもそも、自身でUIをデザインする経験が不足していたと思います。このプロジェクト以前のデザイン提案は、全体のデザインができているものの修正や、メッセージを付加したりする部分変更が多く、ベースの無い状態でのデザイン提案は初めてでした。

まず、最初はデスクリサーチからはじめました。具体的には、競合他社の製品の中で組織図がどのように表示されているかを確かめました。次に、社内の関係者と組織図の理想像を創り出して、共有するためのワークショップを行いました。関係者が多いプロジェクトでは参加者の意識を揃えることが大切です。この時は、ユーザーにこのプロダクトをどう使ってもらうか、という観点で考えることが大切だと考え、ユーザーストーリーマッピングの手法を活用することにしました。大学院のデザイン思考でもよく使っていたので、その経験を活かしてスムーズにワークショップを進めることができたと思います。

しかし、実際のUIデザインとして作り上げるのに本当に苦労しました。振り返ってみると、当時の自分はデザインで守りに入っていたと思います。Vibes(freeeで運用されているデザインシステムの名称)の中には便利ないろいろなコンポーネントがあるのですが、その枠に捕らわれすぎてしまっていたかもしれません。先輩社員の請け売りですが(笑)まずは理想のデザインいわゆるまっさらの状態から自分だったらどのように操作したいかを考え、その後、そこから実装面やfreeeのデザインルールに照らし合わせながらUIに落とし込んでいくのですが、先にいまあるVibesのコンポーネントで作る行動をしてしまったのかなと思っています。Vibesに足りない部分があったらそれを逆に提案する、という姿勢で取り組むべきだったと思います。

freee人事労務は業務アプリケーションなので、自分の個性が出てしまわないように気をつけながら、freee独自のデザインガイドラインを参考にして、一貫性のあるデザインになるよう心がけ、UIの提案を完了することができました。

モットーは「やさしいUI」

-- 新卒の頃と現在で、自分の意識が変わった部分がありますか

最初はアサインされたプロジェクトにとにかく集中して、目の前の課題をこなしていたと思います。2年目になると人事労務の業務に関する知識が増えて、周辺の課題にも気付けるようになりました。例えば、freee人事労務の中にある機能どうしの統一感であったり、競合他社の製品と比較して足りない機能などです。そういう自分が見出した課題も、自分発信でどんどん提案して、それを解決していきたいと思っています。

あとは、UIデザインをすることに指針を持てるようになりました。私のモットーは「やさしいUI」です。これは、言ってみれば「自分の親に見せても伝わる、理解できるようなもの」という意味です。freee人事労務で言えば、年末調整の機能は1年に1回しか使いません。使う人は、前回触った時のことを忘れてしまっている場合も多い。そういう人にとっても、初めて見た人にとっても、分かりやすくて使いやすい、そういうUIを作っていきたいと思っています。

freeeで働く魅力は、チームと人

-- nagomuさんにとって、freeeで働く魅力とはなんでしょうか

私はにぎやかな雰囲気が好きなので、一緒に働く人やプロジェクトチームの雰囲気が自分にとってはとても大事です。大学院のゼミ選びも、freeeに入社することを決めたのも、そこにいる人たちと波長が合いそうだった、というのが理由の一つです。

freeeでは、新卒とか2年目とか年次に関係なく、とりあえずやってみようと思ってやりたいと立候補すると、それを任せてもらえる雰囲気があります。実際に、freee人事労務の年末調整や勤怠管理の新機能など、自分から手を挙げて大きな役割を任せてもらいました。

そのようなチャレンジの中で、自分のよく知らないことに突き当たります。そんな時に、プロジェクトのチームメンバーに質問するとすぐに教えてくれたり、相談に乗ってくれたりします。また、UIのデザインでも迷うことがありますが、デザインチームにレビュー体制があるので、すぐに集まってあれやこれやと様々な視点で意見がもらえます。

やりたいことができる。それをサポートしてくれるチームがある。それがfreeeで働く魅力だと思います。

おわりに

freeeの新卒についてもっと知りたいと思った方、2021年10月27日18時30分からReDesignerさん主催の合同説明会にデザイナーが登壇するのでぜひご応募ください!