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【自由大学講義紹介】地球に暮らす自給学|5月21日(日)開講

「お金を稼ぐことに縛られずに暮らしたい」
「半自給自足の生活にチャレンジしたい」
高速回転する消費社会、競争社会から少し離れ、「自給力」つまり「おカネに頼らなくてもよい生き方」を学べる講義です。
今の生活の中から、少しずつ「買わない、捨てない、自分でつくる」を実践。頭脳と身体、人のつながりを駆使した「地に足のついた暮らし」を取り戻すことを目指します。

暮らしを ”買う” から ”つくる” へ

行き過ぎた資本主義経済によるさまざまな社会問題から、いま「自分の暮らしを自給すること」の価値が見直されています。
2020年もパンデミックによる社会不安で、スーパーでは買い占めが起こりました。お金があっても生活必需品が買えず、生活に困ってしまう状況に。私たちの多くが生物としての脆さを感じました。社会人になり給料をもらい、少しばかり「自立した大人」になったつもりでいましたが、いかに消費社会に依存していたか。生きる力のなさを痛感することになりました。
もし、自分で食べるものをつくれたら…
もし、自分で住むところをつくれたら…
もし、自分の使うエネルギーをつくれたら…
お金を使って「消費」する視点から、時間と体力を使って仲間とともに「自給」する視点へ。そんな自給視点をちょっとでも日常の暮らしの中に取り入れることで、生き方の選択肢が増えます。


競争から降りて、生きる実感を取り戻す

衣食住、そして趣味、ストレス解消など、ほとんどすべてを買い物に頼っている私たちは、お金がいくらあっても安心できません。
・高コスト生活⇨ 仕事が辞められない⇨ 我慢して働く⇨ ストレス解消のための消費
この負のループから抜けられないからです。識者の未来予測によると「日本はもう経済成長しない」にもかかわらず。「無理して頑張って働いて、もっとお金を貯めなくちゃ生きていけない」という呪縛は依然として強力です。「少しでも出世競争からつまづいてしまったら、いつ社会から淘汰されてもおかしくない」と常に恐怖心を抱えている人は多くいます。
しかし、本当にそうでしょうか? 一歩だけ社会から距離をとり眺めれば、「本当に大切なものは地位やお金ではなかった」ということに気づくのではないでしょうか。

自給率をあげれば、人生の選択肢が増える

自給率をあげれば、低コストでも生活できます。そうなれば、喜びを感じなくなった労働から自分を解放してあげることもできます。住宅ローンを返済するためだけに、精神をすり減らす仕事にしがみつく必要もありません。心のおもむくままに、喜びがあふれることを。生きかたをもっと自分で決められるような、創造性を発揮できるような選択肢をとれるようになります。
似合っていない働き方を捨て、安心できる暮らしを考えましょう。大事なのは「選択肢は他にもたくさんある」と思い出すこと。「お金がないと生きられない」は、これまでの社会が創りだした幻想にすぎません。

DIYは家事の延長。暮らしそのものを味わい尽くそう

「自給的な暮らし」とひと言で言っても、十人十色。それぞれ環境は違うし、個性や好みがあります。
「手づくりDIY生活は難しそう」という人も、「家事の延長」だと考えてみましょう。家事が大好きで、「暮らしそのものを味わい尽くすために生きたい」という人にはぴったりの生き方だと思います。
もちろん現代っ子の私たちには「完全な、100%自給自足」はハードルが高すぎます。それでも「自分が食べたいもの+アルファ」くらいのゆるい感覚でなら、太陽、木、水、石、土、火、微生物…を使って、やれることはいくらでもあります。
ようは、やるかやらないかだけ。達人たちの生活をのぞくと、生きるためのほとんどのモノを、自分たちの手でつくり出せることに驚くことでしょう。
例えば… 小屋づくり、古民家の改装、モバイルハウス、家具、土間、竹ハウス、自給菜園、畑を耕して食べものを作る。落ち葉堆肥づくり、野草、ハーブ、木の実を採集、養蜂、にわとりの卵、麹や味噌、蒟蒻、ヨーグルト、保存食、ヤギなどの家畜、ワイン、クラフトビールづくり、ピザ窯、囲炉裏、薪ストーブ、電気などエネルギーを自給する、水道、水路、水を引く、浄化する、太陽光発電にバイオトイレ、五右衛門風呂、石鹸、洗剤、化粧水、歯磨き粉などの日用品、衣類の藍染め、草木染め、薬草茶、薬に頼らない治療法、などなど。
初心者でも、やればできることはたくさんあります。今回の講義でこれらすべてに取り組むことは時間が足りないのできませんが、まずは、生活コストの大きな「居住費、食費、光熱費」を少しでも自給できないか考えていきます。


お金や組織からちょっとだけ独立してみる

一人きりでは自給自足は難しい。「誰かと協力し合わなければ成り立たない」のが自給的なライフスタイルです。それゆえに、社会や暮らしの中で自分がどこを担いたいのか、つまりは「自分が暮らしの中で大切にしたい部分、時間をかけたい部分」が見えてきます。
得意なテーマ(例えば家具をつくるなど)を突き詰めるも良し。苦手なテーマは、まわりの人と助け合い、物々交換でやっていけばいい。
「極力、他人と関わらなくてもひとりで生きていける」そんな現代社会のライフスタイルとは、正反対。気がねなく隣人に助けを求めるコミュニケーションも必要になってきます。
コミュニケーションに苦手意識がある人も多いと思いますが、贈与や交換は、人間の本質とも言えるもの。地域の中で支え合う暮らしづくりは、都会生活で分断されたコミュニティの中で生きるよりも、より心豊かな交流ができるはずです。


すべては「ちょうどよい暮らし」をつくる冒険だ

ストイックに「完全なる自給自足」を目指すのではなく、気負わず楽しめる範囲でいきましょう。目的は「幸せな人生」であり、「自給自足」はそのための手段のひとつでしかありません。
まずは「今より少しだけでも家庭内自給率を高めよう」という意識でかまいません。上手に、きれいに、かっこよくやらなくても大丈夫。身体を動かすのは単純に気分がいいし、大好きなハーブが収穫できたら幸せ度が上がります。
自給力の話をすると、毎回こういう心配ごとを耳にします。
「東京の狭い部屋で自給自足は難しい…」
「仕事が忙しいから…」
「不器用だから自信がない…」
「家族がいるから…」
「今さら原始人には戻れない…」
しかし、どんな環境であろうと、「精神的な自給自足」がポイントです。
たとえ都会のマンション暮らしでも、「ベランダ菜園」「保存食」からでも、ひとつずつ依存を解いていくことはできます。生きかたを問い、ちょうどいい塩梅を模索するには時間がかかるもの。家族をふくめ「このレベルまでは無理だ…」と限界を知るのも学びですし、各人にとっての「ちょうどいい」は生活しながら自ら試行錯誤するものです。


幸せは「憧れられる暮らし」の中にあるわけではない

現代人は、いくら憧れのモノを購入しても、満たされない何かを感じています。承認欲求のために見栄を張っても、幸せを感じることができません。
幸せであるために、私たちは別に「誰かに憧れられる暮らし」をする必要はありません。手づくりDIY生活で創造性が満たされてくると、不思議なほど消費欲が静まる人が多いです。
「自分にとって本当に価値あることとは何か?」
目に見えない価値に気づくことが、幸せな暮らしの第一歩だと思います。
自分の手で暮らしをひとつでも一からつくってみたとき、どんな世界が見えるのでしょうか。きっとこれまでの都会暮らしでは感覚的距離があった自然が、少し身近になってくるはずです。
自然からの恵みを栄養としていただき、いただきものや身近な素材をとことん活かす。余った物は保存食やおすそ分けで循環させ、来年につなぎます。自然の恵みに感謝し、自然と共に生きていくことができることに気がつけば、より豊かに生きて行けるのではないでしょうか。

<教授あべゆかさんからのメッセージ>

自分でつくる「自給的な暮らし」には、日々発見がいっぱい

飼っているヤギが小屋から逃げ出したり、廃材を手に入るために朝から晩まで解体作業をしたり、畑で採れたトマトを大量に干したりソースにして保存したり。上手くいったことも、失敗したことも、現在挑戦していることも、たくさんあります。
「地球に暮らす自給学」では、「楽しむこと」が本当に大切だと思います。お金をかけずに自分で暮らしを自給するということは、つまりその代わりに時間と手間がかかる。効率よく作業することも一つの生活スキルです。たくさんある暮らしの「自給」仕事、かぎりある一日の時間。毎日あっという間の中で、自分の手で暮らしをつくっていく面白さは、お金には代えられないなあと日々実感しています。この講義を通して、自分で暮らしをつくる自給的なライフスタイルの第一歩を一緒に踏み出せたら嬉しいです。


■講義計画

第1回 暮らしの中の「自給力」
自給的暮らしは、自分の理念や哲学を持つことから始まります。自分にとっての「豊かさ」「楽しさ」とは何か? 自分はどんな風に暮らしたいのか? なぜ自給力を持って暮らしたいのか? 初回は、お金、組織、社会に依存しないで豊かに生きる自給的暮らしライフスタイル思考を学びます。日々の暮らしでのエピソードや感じていることから、自分にとっての理想の暮らしを思い描いてみましょう。

・お金・組織・社会に依存しないで豊かに生きる「自給力」
・自給的暮らしのライフスタイル思考
・社会とのちょうどいい距離とは
・現代社会の中でバランスを取った理想のライフスタイルの実現
・実際に暮らしの中で感じていること、理想のくらしを話しあうワーク
・さまざまな自給的ライフスタイル具体例

第2回 【住】小さな家のつくりかた
家はお金を払って建ててもらうもの? いえいえ、正しい知識とスキルとやる気があれば、自分でつくることができます。一般的には「人生で一番高い買い物」である「家」。この大きなコストを自分の手で最低限コントロールできると、これまでの「買って済ませる暮らし」に比べて、確実に人生の自由度が上がります。「住む」とはどういうことだろう? 「家」とは何だろう? 住居の歴史を遡りながら、住むことの本質を考えましょう。

まずは最小限のモバイルハウスを例に、家を作るためのDIYの基礎知識を学び、実際に家の構造から材料、設計図まで、具体的に考えてみましょう。

・普段当たり前に住んでいる「家」について。
・住居の歴史、住むことの本質について。
・自分で小さい家をつくるには。
・道具や材料の選び方、廃材利用などのDIY基礎知識
・モバイルハウスを題材に、構造から材料、設計図まで、具体的に考えるワーク
・具体的に「つくる力」を身につけるDIY基礎知識
・足りないものをどう手に入れる? つくる、もらう、交換する、買う、その選択の基準

第3回 【フィールドワーク】
自給的な暮らしの中に入って、実際に動く〜埼玉県ときがわ町〜

ゲスト: 金子勝彦さん(農家民宿「楽屋」店主)

自給的な暮らしの全体像、自分がこれから実践していきたいことが見えてきたら、実際に自然豊かなフィールドに行ってみましょう。四季の自然の中で、その時の暮らしの仕事‥例えば畑での種まきや肥料まき、収穫、保存食づくり、薪集め、廃材を使用したDIYなど、季節の仕事を体験することで、実際に自分が実践していくイメージも掴めます。ヤギやニワトリ、またいろいろな生き物にも出会いながら、お昼には収穫した野菜をいただきます。自給的な暮らしの豊かさを五感で感じることで、日常の中でも実践できるヒントが多く見つかるでしょう。

・季節の暮らしの仕事(例えば畑での種まきや肥料まき、収穫、保存食づくり、薪集め、廃材を使用したDIYなど、季節にあったものを体験します)

・ 自然にやさしい生活の知恵。ヤギ、ヒヨコ、薪の調達、コンポスト、ハーブ、乾物等
・畑で採れた野菜でスパイスカレー作り、畑で採れた小麦を使ったナンを、タンドール窯で焼きます。薪、炭、のエネルギーを利用して、自給率高めのごはん時間を体験しよう。

第4回【食】有機農家から学ぶ畑の自給~自分だけの自給菜園を考える~

ゲスト: 金子勝彦さん(農家民宿「楽屋」店主)

自分の体をつくりあげる必要不可欠な「食」。私たちが普段食べているものは、誰が、どのように作っているのでしょうか。畑はどのような環境なのでしょうか。日常の中で、生産者と消費者が繋がる機会がまだまだ少ない現代。有機農家として出荷もしながら自給菜園も実践しているゲストから、自給に必要な、野菜、米、麦を育てるための自給菜園の作り方、また自分にあった自給菜園を実現するために必要な知識や技術を学びます。

ゲストは農薬不使用、無化学肥料で農産物を育てる農家である金子勝彦さん。

・ローカルな社会ですすむ「自立し・循環する暮らし」
・実際に、自分サイズで自給畑をつくるには
・畑を借りるときに確認する重要ポイント
・野菜の種や苗を植え、育てるときのコツ
・自給自足をする場合どのくらいの畑が必要か
・自然に触れ、農家の話を直接聞く・話す体験
・畑から今住んでいる場所の衣食住を振り返る
・自給自足をする場合どのくらいの畑が必要か

第5回【食・エネルギー】自分でできる暮らしの自給。実践を考える~50の実例から~

食費と光熱費にどのくらいお金をかけていますか? どのくらいの電力で暮らしているか、その電力はどこで作られているか、把握していますか?

「食・エネルギー」を自給する50の実例を学びます。またグループワークを通じて、自分の暮らしの中に取り入れられる自給の視点を考えていきます。意外と自分の暮らしでできることの多さに、驚くはず。自分の理想の豊かな暮らしに向けて、一歩を踏み出しましょう。少しの自給的な視点を取り入れることで、普段の何気ない日常も、見える世界も変わってきます。やってみたいことを考えて、実践していく過程を大切にしながら、少しずつ「自分で暮らしをつくる」力をつけていきましょう。

・「食・エネルギー」を自給する50の実例
・エネルギーの自給‥電気をつくる、電気を使う量を減らす、火を使うなど
・食の自給‥水、自然貯蔵、乾物、瓶詰保存、発酵など
・みんなで自分ができる自給を考えるワーク

第6回 自給力を今の暮らしに活かす~自給暮らしの習慣をつくる~

本当に豊かな生活ってなんだろう。自給的暮らしをつくるための準備をします。これまでの講義の中で、得意なことや探求したい分野、これから大切にしていきたいこと等を整理して、自分だけのオリジナルの自給的暮らしの理想の全体像をつくりましょう。そして、講義後からそれぞれの自給的暮らしをつくっていくために、暮らしをレベルアップさせていくための視点、自給的な習慣をどのように取り入れることができるか考えます。

・実際に自給的視点を取り入れてみて感じたことの共有ワーク
・オリジナルの暮らしの自給力の全体像マップをみんなでつくろう
・これから「自給的暮らしの習慣」をつくるワーク

■教授 あべゆか氏 (自給暮らし研究家)

あべゆか1992年山形県生まれ。大学時代から環境教育、自然と共に生きる暮らしを実践的に学ぶ山形のNPO「美しいやまがた森林活動支援センター」でボランティアとして活動。多くの自然暮らしをする人々と出会い「自分もそんな暮らしがしたい」という想いが強まる。大学卒業後は、里山保育の保育園に2年間勤務。2017年、栃木県那須町にある「エネルギーとお金に頼らない豊かさ」を提唱する「非電化工房」に住み込み弟子入り。自給自足の基礎的な知識・技術を学ぶ。修了後は自作の軽トラモバイルハウスに乗り、ひとりで北海道から福岡まで縦断旅しながら「ちょっとだけ自給力を上げる」ワークショップを全国各地で開催。現在は埼玉県にある自給自足がテーマの農家民宿「楽屋」を拠点に、DIYや食農体験をテーマにしたワークショップを開催中。暮らしと仕事を自分でつくることで、生きる選択肢を増やし、楽しく豊かに生きるライフスタイルを探求中。

▶︎インタビュー記事など
【対談】あべゆか、「境界線のない旅暮らし。」 https://www.youtube.com/watch?v=1ZCA19Y7_xg&ab

暮らしと仕事を分断させず、小さな仕事を作る『ナリワイ複業』に挑戦中の20代女子(2018年)
https://mirailab.info/column/20352

■ゲスト 金子勝彦氏(農家民宿「楽屋」店主)

金子勝彦


1977年埼玉県生まれ。大学卒業後、営業職、会計事務所勤務を経て「生きるとは何か」という問いを胸に、西表島で半年間、沖縄料理屋とパイナップル農園で働く。その後、寿司屋で3年修行、ワーキングホリデーでオーストラリアで約3年、福岡で約1年、日本企業の海外カフェ出店事業で香港へ、など国内外の飲食業で働く。
日本帰国後、老人ホームのキッチン業務のかたわら、土いじりを始める。非電化工房にて自給自足大学プログラムを修了。
2015年、埼玉県ときがわ町で農薬不使用、無化学肥料で農産物を育てる「LOVE LIFE FARM」と、自給自足がテーマの宿「楽屋」を開業、現代社会における無理のない自給自足の形を模索している。楽屋を通してすでに5家族がときがわ町に移住するなど、地に足をつけた地域活性活動を展開中。

▶︎インタビュー記事など
自然と触れ合う仕事がしたくて就農
https://www.pref.saitama.lg.jp/nouarukurashi/exp/005.html

農家民宿楽屋(らくや)〈埼玉県ときがわ町〉金子勝彦オーナーhttps://note.com/m_okawara/n/nc3912a0efb2f


日程
第1回:5月21日(日)15:00ー16:30
第2回:5月21日(日)17:00ー18:30
第3回:6月11日(日)10:00ー14:00
第4回:6月25日(日)10:30−12:00
第5回:6月25日(日)13:00−14:30
第6回:7月2日(日)10:30−12:00

定員
12名  ※定員になり次第締切 

申込締切日
5月14日(日)

▼講義詳細・お申し込みはこちら


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