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ニーレンベルギア《心情⑱》

陳腐な僕が腐敗していく
まわりにガラクタばかり
ぎらつく後悔が火を放って
まわりは思い出ばかり
君もいつか捨てる
憧れ色の城壁、見上げる背丈
「ちょっとそれ以上入らないで」
堀はあなたとの境界線
過剰すぎる自意識 自己否定一歩下がれば肯定?
ため息とともに瞳を隠した。

誕生だ
苦しさ、悲哀、喪失、悲痛、屈辱、焦燥、落とし散らばった
長靴で踏み入れた
興奮、満足、感心、尊敬、憧れ、幸せ、曇り空に蹴り上げた
眩しさ由来の眩暈

何度目の「優しい」
優しさのない褒め言葉
僕に我慢させるのは易しい
の間違いではないか。

そんなことも僕が選んだ獣道

自由に並ぶ列は一番後ろに。
掃除の時間は雑巾兼ちりとり。
鬼ごっこは鬼役ばかり。
おままごとは問答無用で母親役。
敬遠されてる子と同情されてもなかよくした。
学級委員も副部長も引き受けた。
じゃんけんで負けて200m走った。

でもそれらだって僕が選んだことだ。
悪いのは僕だ。
助けを求めてはいけないのは僕だ。

それに全てが嫌だったわけではない。
一番後ろはなにかと気が楽だし
雑巾もちりとりも嫌いじゃない
お節介焼きだから母親役だって苦じゃない
あの子が敬遠される理由だってピンと来ない

流石に
足の遅い僕がやる鬼役は孤独だったし
200m走ったときは惨めだったし、
副部長も学級委員も辛いことだらけだったけれど。

今はそんな思いをしてきた僕を匿う城がある。
そこら中に思い出とは名ばかりのガラクタが
ガラクタとして捨てそうになっていた思い出が転がっている。
空洞な言葉ごときで割れてしまう城壁と、
あなたを踏み入れさせない堀、
湿った気遣いを通さない門で形成された
脆く冷たい城が。


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