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スプレーマム ユリオプスデージー〘心情①〙

白がどうしようもなく眩しかった
どの色より好きな白
何色と何色を混ぜたって絶対に白にはならない

唯一無二な白

何色と混ぜたって個性を淡くしてしまう白

僕が目指す色で
僕が怯える色

つくることは不可能なのに染まるのは一瞬だ

夜に沈む僕の光

普通を望む僕は個性が滲む白に手をのばした。
手が掠ることもなく身体は黒に堕ちた。

僕は気が付く黒に白の足を引っ張ったって意味は無いと


時計のなかのような
あるいはスノードームのなかのような
そんな日常、人間関係が欲しかった

代わり映えしない安寧
それ以上の望みはなかった

鼓膜を叩く秒針
いつの間にか責め立てられているように感じるようになっていた

こんな人生誰か代わってくれと心の中で泣き叫ぼうと
誰も代わってはくれなかった
都合のいい時だけ僕の代わりはいた
僕はいつだって誰の代わりにもなれないのに


僕の言葉には血が通っていない
温かみに欠ける

自分の気持ちをパンドラの箱にしまってから、
事実以外を口にすることを躊躇うようになった

事実さえ僕の口から紡がれてしまえば
嘘のような気がして仕方ない

僕は文字を綴ることが好きで
本を読むことが好きで
人の心に触れることが好きだ

でも僕の言葉からは
人間味
を感じることができない

無味無臭


刺すような太陽
零れる涙
目を隠す眠気

眩しさに、脳が揺れるのを感じながら窓の外を眺める。

手で掴めないあたたかさをあの子に重ねた

自分がどうしようもなく暗く思えて影がおちた。

欠伸と眩しさから出た雫が体温を伝った

もう感情から雨がこぼれ落ちる感覚も忘れた。

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