読書TIME 現代語 古事記

現代語古事記  竹田恒泰

そこまで言って委員会でお馴染み、明治天皇の玄孫でラーメン屋の竹田恒泰氏が書いた古事記の現代語訳。

古事記は日本において現存する最古の歴史書です。

上・中・下巻の全3巻に分かれてており、上巻は神の代の物語、中巻は神と天皇の代の物語、下巻は天皇の代の物語となっています。

「神話」というとお伽話、作り話として捉える方が多いと思います。

しかし、国の神話に作り話かどうかはあまり関係はなく神話があること自体が重要なことです。

神話はその国の成り立ちや国のありようを示しています。

海外の多数の国の歴史は神話から始まっていることを知っていますか?そしてその神話を信じている国もたくさんあります。

イギリスの歴史学者アーノルド・J・トインビー(1889~1975年)は、「12~13歳くらいまでに自国の神話を学ばなかった民族は、例外なく滅んでいる」と言っています。日本人はどうでしょうか?

日本の神話である「古事記」を知らない人が多くなってしまった今だからこそ、読んでみる価値があるのではないでしょうか?

古事記には日本人の自然観、死生観、歴史観が詰まっており、日本人の伝統的な精神である「大和心」を知るためには必須の本となります。


①上つ巻

冒頭はどのように宇宙ができたのかというところから書かれています。そしてどのように地球が生まれ、どのようにして日本の島ができたのかが描かれており、これを「国生み」と言います。また天照大御神、須佐之男命、月読命が誕生し、八岐大蛇や出雲の国ゆずりなどの話が登場します。そして天照大御神の孫である邇邇芸尊(ニニギノミコト)が地上世界に降り立ちます。このことを「天孫降臨」と言います。その際に天照大御神から邇邇芸命に託されたのが「三種の神器」と呼ばれる鏡・勾玉・剣を受け取っています。そして最後に天孫降臨から三代後に、初代天皇である神武天皇(神倭伊波礼毘古命)が誕生します。

②中つ巻

神武天皇が日向の国(宮崎県)から東征し、奈良県の橿原にて大和を平定し神武天皇へと御即位します。この大和平定と神武天皇御即位は我が国日本の建国を意味し、現在2月11日は「建国記念の日」となっています。日本書紀によれば紀元前660年2月11日になります。そして第15代応神天皇までが描かれています。

③下つ巻

第16代仁徳天皇から第33代推古天皇までが描かれています。下つ巻は古事記が編纂された712年から近くなるのでかなり現実味を帯びた話が多くなります。その中でも有名な仁徳天皇の「民のかまど」のお話を紹介します。仁徳天皇は高台に登られ国を見渡された所、民家のかまどに煙が立っておらず、これを目にした仁徳天皇は「これは民が貧しいからである。3年間の徴税を禁止し、免税とする」と仰せになり、免税を行われた。そのため皇居の屋根を葺く材料にも事欠いてしまっていたが、天皇は気になさらず3年後に炊煙が盛んに登るのをご覧になられ「我は富んだ。素晴らしき事」と仰せられたのを聞いたお后が、この状況下で富めるのはなぜかと問いかけると、仁徳天皇は「まつりごとの基本は民。民が富まねば天子である私も富んだ事にはならぬ」と仰せになられた。という逸話で、天皇は国民のことをおおみたから(大御宝)として国民のことを最も大切にされていることがわかります。


古事記を読むことで、日本とはどのような国なのか、日本人とはどのような国民なのかがわかり、自分たちのご先祖様が何を大切にしてきたのかが見えてくると思います。先人たちの築いてきた日本を振り返って、今後どのような日本を目指していくべきなのかを考えるきっかけになると思います。

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