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失敗は笑い飛ばして、笑い物にしない【比べない体育Vol.3】

船橋インターナショナルスクールで、『古武術で遊ぼう』のクラスを担当してくださっている玄武術【天根流】代表の方条遼雨さんと共に、比べず、体を育んでいくための場について学びを深めるため、『比べない体育』という講座を開いています。詳しくは、こちらのnote記事へ。

この記事は、2021年3月開催分の講義ノートです。
◆は方条さんのお話、◇は参加者の方のお話です。

◆誰でも体育教師になれる

『比べない体育』での学びをオープンソースとして公開します。ここでの学びをご自身の場で改良して、進化させてください。

比べない体育が目指す場は、特殊な技能を得るための場ではなく、身体と人が育まれる場です。

【実践】なんとなく覚えていることを出してみよう

前回も参加してくださった方々に、前回の内容について「なんとなく覚えていること」をみんなの前で話す時間を持ちました。

前回の内容はこちらのnoteをご参考ください。

◇場と重力

Q:場の重力が均一であるのがなぜいいの?
A:その場にいる人たち皆が嫌な想いをせずに学び会える場になるからです。

Q:場の重力バランスが取れるとはどういうこと?
A:場によってちがいますね。
・誰をも認めることが場において大切。

・場に来たことがある人をエネルギーが大きい人とすれば、初めて来た人はエネルギーが小さい人です。

・方条さんがFIS(船橋インターナショナルスクール)にきてくださった時に、初めて参加した人や小さいエネルギーの人に目をかけてくれているんです。するとその人は、場の楽しさを知り、この場を好きになって、また来てくれるんです。

・声が大きい人、積極的な人、元気な子はエネルギーの強い人。

・エネルギーが小さい人は秘めたる大きな重力を持っているかもしれないんです。

・場の重力が均質になるようにするために、重力の大きすぎる人がいたら小さい人とペアにしてみたり、重力が大きくアピールしてくる子には待つことも大切であることを伝えるなど、大きすぎる重力は時に小さくするよう寄り添うことも大切。


◆潮目をよむ

潮目とは、場における重力関係やタイミングなどです。

場も関係性も気持ちも1分1秒変転するので、俯瞰的に全体を見ることで、細かく潮の流れを捉えることが大切です。

掌握領域が広いほど、正確に場を作っていくことができます。場にいる全員が全体を俯瞰的にみられるようになれば、1人1人が監督となり自立した集団となります。

潮目をよむには、観察する力と寄り添う力が大切です。全体の色を見ながらそれぞれの箇所を微調整していくイメージです。

また、その場での自分の重力を感じて、大きさを認識することも大切。自分の重力が小さいのであれば、他の人と集まって1つの重力となってやってみればいい。3人でやってみてできたら、次は2人で、そしてそれもできたら1人でやってみる。そのように場を作る側も常に変転していけばいいのです。


◆プロフェッショナル

何かを習得してできるようになったから、「はい、あなたは先生です」とする概念も取り払っていきたいのです。

"プロフェッショナルとは、人の目で磨かれた存在"

アイドルには、カッコよくもなければ、能力もない、けれどプロフェッショナルである人がいますよね。何が違うのか。彼らは、圧倒的な人前で、圧倒的な回数のパフォーマンスをして、磨かれているんです。そして、その人にしかできない社会とのつながり方を身につけているんです。

現場に出てやってみることが大事ということです。どんどんやりながら学び、失敗してもらうのがいいのです。

◆失敗

私(方条さん)は、今はどんな分野のどんな質問でもだいたい5秒くらいで応えられるんです。それは人前に出て、話したり伝えたりしてきたからなんです。拙かろうが、ぼろぼろだろうが場に出てやる。やれば自分で自分へのフィードバックが得られます。そしてやっていくうちに慣れていきます。

だから、引っ込み思案な人ほど、前に引っ張り出した方がいいのです。自分で前に出る人ほどレベルは低いと思っています。自分を弁えているshyさは大事です。自分を見せることを引っ込めている人の方が、面白いことが多い。

"失敗は笑い飛ばして 笑い物にしない"

どんどん失敗できる環境を作ってあげてください。しどろもどろでもいいんです。だめだなぁと否定はされない、失敗ができる場が必要です。


◆失敗できる場

集団の中で、部下と上司を逆転させるような機会を作って、リーダーを順にやってみるといいと思います。役割がその人を育てることがあるからです。横綱になったから横綱感が出ることがあるように。

人の上に立つには、資質が必要になってきます。それを誰もが手に入れられるわけではない。だからこそ、擬似的に体験してみる機会をつくるといい。役割になることでその人なりに目覚めてくるんです。そしてその経験が武器になってくる。

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◆自分の資質

自分の資質にないことを失敗してもいいからあえてやってみるといい。すでにある資質もなかった資質も全て自分のものになる豊かさがそこにはあります。だから、参加者それぞれが自分の持っている資質を持ち寄ってやりとりする場を目指しています。

重力の振り幅(エネルギーの差)が大きい人たちで組んでみると、学び合うことができ、重力バランスが均されていきます。重力の大きい人には小さい人ができないことが参考になり、今までの説明を砕いて伝えられるようになったりするのです。逆に小さい人も大きい人から学べることがたくさんある。

他者から見られている資質は、必ずしも自分が持っていると思う資質ではなかったりすることがあります。だから、自分自身で自分の資質を観察しておくことも大切です。


◆ないことの豊かさ

貧しさだけだと得られるものがないですが、足りない豊かさが見えると得られるものは多いのです。

"足りない豊かさの中には学びがあるからです。"

ないことの豊かさに着目すると学びが多いのです。自分できることってなんだろう、と歩を進めていくとその人の重力は増します。自分の目的のために見てよ!とアピールしていても、重力は増さないものなのです。

自分を捉えて全うする。すると自然となるようになってくるものです。全うするためには、自分の性質を的確に把握して、改善して良さを伸ばしていけばいい。身近な誰かが気づいてくれるかもしれないとやり続けていたら、感性の合う人と繋がっていくことができます。


◆いいところを伸ばす

欠点にも、いいところにも気づいて、いいところを伸ばしていきたい。今の体育では、欠点を見せる前に子どもたちがシャットダウンしてしまうような環境になり、伸びるチャンスを奪ってしまっているんです。レベルが高いものを求める文化が強すぎるのかもしれません。

"楽しいからやるし、楽しいから健康になる、そして一緒に楽しく過ごせる場になる。"

それがいいところを伸ばしていくには必要です。

講師 / 方条遼雨
文責・写真 / あおいえりか

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