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ディスレクシアが強く疑われる中1生の指導覚書

「書き」に強い困難が見られる中1生。
読書はよくしていて、知識や理論(理屈)も強いが、成績は学年でもほぼビリみたいな感じらしい。
先日、本人に会って、少し話をし、
もし、本人の気が向いたら、学習指導を始めるかもしれない。

まだ、教え方がしっかり定まっていない、
というか、本人の内的外的状況を見ながら、本人と話し合いながらどう学んでいくか決めていくことになるだろう。
でも、私の方ではある程度、心構えを作っておかないと、繊細な学習者を傷つけてしまうことになるかもしれない。
そこで、ここに(今のところの)覚書を書いておく。

基本の目標

・「書き」を極力避ける方向で、中学生が学ぶべき基礎を入れていく(これは中3専門塾をやっているとき、ほぼそんな感じだったから、その応用)
・もし、通いが叶うようなら、書きのレベルも少し上げる。
全然書けないことはないのだが、「書く」となると、頭の中のワーキングメモリをかなり取られてしまい、余裕がなくなるようだ。少しでも「書き」によって奪われるメモリを小さくして、将来に備えたい。
・どのような支援、そして本人にどのようなスキルがあると、これから先の人生で役に立ちそうか。学習時にそれを試し、一緒に見極めていく。そのために、本人の意思を尊重しながら、また、ディスレクシア支援の現在の到達点も参考にしながら、いろいろ試してみる。

今のところの留意点

・日本語の「読み」は問題ないということだが、「短文」を読むときに、負担感があるかもしれない。私自身が、小説や論説などの文脈があるものは平均以上に読めるが、試験の「設問」などの短い文章は、意味を取るのに若干時間がかかる。この生徒もその可能性はある。
・英語の教科書を見ると、わずかに、ひらがなで読みが書いてある。母語である日本語の読みは問題ないということだが、英語となるとわからない。フォニックス指導から入るべきかもしれない。少し面接したときには、フォニックス理論は理解し応用できるようだった(昔指導した「読み」「書き」両方に困難のある生徒は、フォニックスの考え方がわからないようだった。文字がうまく見えていなかったのかもしれない)
・「書けない」ということに強く囚われているが、それ以外にも、何か学習能力上の問題があるかもしれないことを、念頭に置く
・日本語のおしゃべりは小さい頃からかなり達者なようなので、英語も音を多く取り入れて、英語学習の方向性としては、音でのやり取り(speaking,listening)を武器にできるようにしたい。といっても、学校にテストがあるので、そちらもチラチラ射程には入れる(本人が非常に自信を失っている状態なので)。
・数学は、図形から入るといいかもしれないが(本人が得意そう)、春休み等の短期指導だったら学びやすい方程式からかなぁ。正負の数や分数の計算から入るべきかも(以前そういう生徒を見たので、教材はある)。新学期も方程式等から入るから、少し自信になるかもしれないし。

上記のように書いているのも、生徒の環境や、今の精神状態をかなり加味して考えたことで、誰にも当てはまることではない

今のところ、日本でのディスレクシア支援は、あるとしても「低次の読み書き」への支援で、たとえば、黒板を写真に撮る、代読する、PCやタブレットによるノートテイキング、漢字が書けないことによるミスへの配慮などになる(これすらも全然できていないところが多いと思うが)。
でも、私は、ディスレクシアの人の情報処理は、同時処理的なので、知識を身につけたり理解したりするときにも、同時処理的な指導をした方がいいだろう、と思っている。そのあたりのことをできたらいいなぁ、と今は思う。
低次の読み書きへの支援と、適したスキルの探求、そして、情報の認知処理型に即した学習指導、ここら辺を意識しながら、楽しくゆっくりやってみたい。

書いたらスッキリした。


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