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継次の人>学習計画を立てることを支援する2(全体を見るという発想へいかない傾向があるが、一度計画を立てきれたら万能である)

到達目標のある学習のためには、”学習計画”が必要だ。
学習計画というのは「学習手順を明確にする」ということだ。
継次処理の人は、手順がはっきりしていれば、うまく取り組めることができるのだが、その前段階にあたる「”手順”を自分で作ること」は、比較的苦手である。
このあたりに支援が必要なことがある。

やるべきことを、日数で割る。その方法に気づかない
再度その傾向を見た。(継次傾向が強い人の例2)

全体を分割して、それを計画に落とし込む。それが継次傾向の人はそれが苦手なのかもしれない。そう思ったのは、大学の学部で学生の学習支援を始めてからだった。

大学で実施していた”個別学習相談”に申し込み、やってきたその学生の「悩み」は多かった
学習の進行のみならず、学習時間を奪う家庭内の家事や友達付き合いなどなど、悩みを聞くだけで、かなり時間をとった。

「じゃぁ、まずは、今考えている学習計画で、本試験に間に合いそうか、考えてみようか」
肝となる学習の問題解決から始める。
1週間に1単元。彼女の問題集の進め方はそんな感じだった。終わらなければ、持ち越し。それで間に合うのか? そんな質問だった。
現在残してある取り組んでいない単限数が、問題集を1周回しきるのに必要な週数となる。だから、単元の数を数えてのち、カレンダーをチェックすれば、とりあえず問題集を1周し終わる期日がわかる。
ところが学生は、計算のために与えたコピー用紙に、ひたすら書き始めた
「◯月◯日〜◯月◯日。問題集p◯◯〜p◯◯
 ◯月◯日〜◯月◯日。問題集p◯◯〜p◯◯
 ◯月◯日〜◯月◯日。問題集p◯◯〜p◯◯・・・」
そうして、時間をかけてそれを書き終わった後、
「あ!先生。1周終わるのが△月△日です! これでは間に合いません!

途中で口を挟むこともできた。
もっと要領よく計算する方法を教えることもできた。
でも、たまたまそのとき、私は一瞬席を外さなければならない用事があり、そのままにした。そうして、学生のやり方を後から見て、結構驚いた。
その学生は、普段の成績も良く、この試験に合格は間違いないだろう、と考えられていた優秀な学生だったため、これはいったいどういうことだろう?と不思議に思った。

そして、もしかして、これが継次処理傾向の強い人の特徴なのかもしれない。と以前の元塾生との話を思い出すと同時に、ほぼ確信した。
全体を見て、割り算をするのではなく、
1ステップ1ステップを積み上げる思考法の方へ、どうしても流れるのだ

その日にやることが決まるとほぼ全ての問題が解決するのが継次処理

学習計画を一緒にたて終わると、
学生は破顔一笑した。
「これで大丈夫」
あ、友達の誘いを断れない、って悩んでたよね?
「大丈夫です。私、この計画さえあれば、その日の計画が終わっていない段階では全ての誘いを断れます」
え、そうなの? 家の夕食を何年も作っているんだよね?それは?
「大丈夫です。この計画でなければ、合格はなく、そのためだったら時間を捻出するために家族を説得することができます」
その日の計画が終わらなかった時はどうする?
「大丈夫です。私、決めたら、必ず終わらせられます。」
自信を持って立てた計画は、気持ちの持ち方さえ裏支えするのか・・・。

果たして、
学生はその通り、その後全ての悩みが吹っ飛び、着実に学習を進め、
優秀な成績で、資格試験合格をした。

単純な全体計画を立てられない。
でも、そこを支援したら、その後の”実行”は着実に行え、
その遂行のためなら、大方の悩みを制することができる。

それから後の個別学習相談では、
この学生は継次処理傾向が強いな、と感じた時は、
学習方法を一緒に探ると同時に、計画への落とし込みも一緒にする
ようにしている。
「あと計画を立てるだけなんだど、家で立てて、といっても、結構やらないよね?」
と聞くと、ほぼ全員が思い切り強く何度も頷く。
「相談終わったー。と思って、どへーとして、計画立てるの面倒で、やらないんですよ・・・」
確実に計画立ての支援をする。
それが、継次処理傾向の強い学習者への支援となる

さて、このような場合、同時処理傾向の強い学習者はどうなるか?
彼らは「一緒に計画立てようか?」と聞くと、
ほぼ確実に、
「いや、いいです。自分でできます」
と答える。

同時処理傾向の強い学習者の特徴である。そしてその他に・・・(次回へ続く)


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