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(飛行機のあれなに?これなに?) その8


まずは写真をご覧下さい。


地上でエンジンを回している時に撮られた写真です。

エンジンのINLET(前方の空気を取り入れる部分)が白くなっていますね。
水蒸気なのか、煙なのか、はたまた液体なのか、皆さんはなんだと思いますか?

ここで問題です


この写真から言えることはなんでしょう。
A、エンジンが劣化している
B、エンジンが故障している
C、これが普通






さくっと答え合わせ


正解は
C、これが普通

この写真で白く見えているものは、吸い込まれた雨水が水蒸気になっている状態です。
晴れの日には、INLETの6時位置に、空気の渦が発生します。
雨天だと雨水でクッキリと見えますね。


なぜこのようなことが起こる?

前提として、
飛行機のエンジンは前の空気を吸い込み、後ろに熱風を排出します。

空気を吸い込む部分はAIR INLETと呼ばれ、曲線状になっています。
ここで流れが乱れると、空気の速度や圧力の関係で渦が発生します。


エンジンで違いはある?


大型のエンジンではこれが普通なのです。
写真の飛行機はB777なので、おそらくGE相当の大型のエンジンが装備されています。

小型のエンジン、例えば
PW(Pratt & Whitney社)や
CFM(SafranとGEの合併会社)のものは
写真のような現象は発生しません。

GE(general electric)社のエンジンのような、出力が大きいものは、写真のような空気の渦が発生します。
吸い込む力も強くなるので、顕著に渦が見えるということになります。


エンジン運転中はとても危険

写真のような渦ができるほど、吸い込む力はとても強いです。
各エンジンの出力によりHAZARD AREAというエリアが設定されています。
「エンジン回している間は、危ないからこのエリアに入らないでね」という意味です。

エンジンの大きさにより範囲は異なります。

・前方は吸い込まれて危険
・後方は排気(熱風、風圧)で危険
・周囲は全体的にノイズで危険
という風にエンジンを運転している際は、危険が溢れています。

そのためHAZARD AREAは整備士やパイロットは必ず押さえておかなければならない内容になります。

整備によりエンジンを回すときは必ず前と後ろに監視役を付けます。

しかし、たまに教育を受けていないバイトワーカー達は、
・HAZARD AREAに入りそうになったり、
・機内清掃後のゴミをエンジンの前に飛ばしそうになったり
することもあり、監視している側はハラハラと苛立ちの混ざった複雑な感情を経験することができます。

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